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トライアンフMoto2マシンに初試乗!3気筒765ccの実力はいかに!?

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

話題のトライアンフ製Moto2マシンに試乗する機会を得たのでレポートしたい。

以前ニュースでも伝えたが、昨年6月にトライアンフが2019年シーズンからMoto2チャンピオンシップの公式エンジンサプライヤーとなることを発表。MotoGPの商標権を持つドルナとの契約により3年間、独占的にエンジンを供給することになった。

2010年に2ストエンジンのWGP250ccクラスに代わるカテゴリーとしてのMoto2が誕生して以来、ホンダが公式サプライヤーとしてCBR600RRベースのエンジンを供給してきた経緯がある。Moto2マシンはレギュレーションでプロトタイプと規定されているので、シャーシは実際のところ「カレックス」や「スッター」、「テック3」といった実績のあるコンストラクターが製造したものを使用するチームがほとんどだ。
つまり、Moto2とはエンジンで同一コンディションの縛りを設けたプロトタイプのマシンによるレースなのだ。

デイトナ675の車体にMoto2エンジンを搭載

目の前に佇むトライアンフのMoto2マシンは一見するとデイトナ675にそっくり。
ただ、エンジンは新型ストリートトリプルRSに搭載される水冷並列3気筒DOHC4バルブ3気筒765ccをベースに大幅な改良が加えられたものだ。つまり、これが2019シーズンから供給されるまさにMoto2エンジンである。

改造・強化箇所はエンジンのほぼ全域にわたるが、主にはエンジンの吸気効率を高めつつ高回転化により全体のパフォーマンスを向上させることで最高出力133ps、最大トルク80Nm(ノーマルは123ps/11,700rpm、77Nm/10,800rpm)を達成している。

シャーシはデイトナ675をほぼ流用したもので、正式には「Moto2エンジン開発先行テスト車」という位置付けだ。
車体面での目立った改造箇所としては、前後サスペンションに英国・Kテック製フルアジャスタブルとGPR製ステアリングダンパーを装着し、アロー製レーシングマフラーと鍛造タイプのワイドホイールを装備してスリックタイヤを履いていることぐらい。
あとは逆チェンジのレーシングステップとクイックシフターを装備。レーシングマシンなので当然ABSもトラコンも無い。ブレーキはディスクも含めてノーマルのようだ。

研ぎ澄まされた加速と圧倒的な力量感

試乗の舞台となったのはスペイン・アルメリアサーキット。一周4km強の国際格式サーキットだ。
初めてのコースでいきなりのMoto2マシン、そして3ラップという厳しい条件付きでの試乗体験となったが、可能な限りの印象をお伝えしたい。

自分もかつてデイトナ675でレースをかじったことがあるが、ライポジとか重心バランスなどの全体のフィーリングは似ている。
そして、ミッドレンジの力強いトルク感はトライアンフ3気筒ならではだ。スロットルを開けると同時になみなみと湧き出るパワー。ただ、その力量感が市販車とはまったく違う。

デイトナ675に比べて排気量で90cc上乗せされ、さらにハイレプ化とイナーシャ(エンジン内部の摺動抵抗)を極限まで減らすことで実現したウルトラスムーズな吹け上がり、そしてスロットルを開けることをためらうほどの鋭いレスポンスはまさにレーシングエンジンそのものだ。

ちゃんとクラウチングポジションをとらずに下手にスロットルを開けようものなら、容赦なくフロントが浮き上がってくる。
起伏に富んだコースは先が見えない縦のブラインドがいくつもあり、その丘の頂上を目指してアクセルを開けていくだけの心のタフさが求められる。それだけでも神経が磨り減るが、とにかく、切れる刃物のように研ぎ澄まされたエンジンと軽量な車体に加え、レーストラック用に減衰力を強めたKテックの前後サスペンションの組み合わせはなかなか手強く、正直なところ最後まで慣れることはできなかった。

トライアンフのテストライダーとして参加していたSS600の全英チャンピオンが高速コーナーを物凄い勢いでぶっ飛んでいったが、そうしたレベルの走りができて初めてマッチングするマシンなのだと思う。

ただ、間違いなく言えるのは相当なポテンシャル持ったエンジンということ。自分も今まで数多くのスーパースポーツモデルに乗ってきたが、このエンジンは公称スペック133ps以上の実力があると思った。

Moto2は次期デイトナへの布石なのか!?

最後にテストの様子を視察しに来ていたトライアンフのチーフエンジニア、スチュアート・ウッド氏にもいくつか質問をぶつけてみた。

多くの皆さんがたぶん一番知りたいこと。それは3気筒のアドバンテージだろう。
ずばり現行Moto2マシンで使われているホンダの4気筒600ccに対してはどうか、という問いにウッド氏は「トライアンフは長年にわたって3気筒を研究開発してきた実績があり、今回のMoto2もその延長線上にある新たなチャレンジと思っている。そして3気筒エンジンは十分なポテンシャルを秘めている。」とうまくはぐらかされた感じだが、その笑みは自信あり気だった。
ちなみに現状でもエンジン自体はほぼ100%完成しているらしく、今後はさらにECUなどの調整を進めるらしい。

また、Moto2エンジンの開発で得たノウハウは当然、市販車にもフィードバックされるものと思われる。
そこで、私自身が最も興味あることとして、今回のプロジェクトは次期スーパースポーツモデル「デイトナ765」の可能性を示すものか、という問いに対しては「それはお答えできないが、非常に興味のあるテーマではある」という前向きな見解を示してくれた。

日本でもデイトナ復活への声は大きく、ぜひ実現してほしいと希望を伝えておいたので、長い目で期待することにしよう。いずれにしても来春、2019シーズンが今から楽しみだ。

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