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【WR155R試乗インプレ】可変バルタイ機構“VVA”がスモールオフ車の可能性を広げる!

▲photo by Atsushi Sekino

【インドネシア・ヤマハ WR155R】
ディテール&試乗インプレッション

国産車から外国車、中古車を扱うバイク館SOXが、インドネシア・ヤマハから独自輸入&販売しているWR155R。このマシンは、以前国内モデルとしてラインナップしていたWR250Rの弟分的な排気量だが、回転数でカムプロフィールを切り替えるVVA(バリアブル・バルブ・アクチュエーション)というハイメカを搭載。その気になる乗り味を、元初心者向けオートバイ雑誌編集長の谷田貝 洋暁が試乗レポート。

1.フロント21インチのフルサイズの本格派車体

【全長/全幅/全高】2,145mm/840mm/1,200mm
【車両重量】134kg
【軸間距離】1,430mm
【最低地上高】245mm

本格オフロードモデルの証であるフロント21インチの大径ホイールに、245mmを確保した最低地上高、またコンパクトなエンジンを活かしたスリムな車体がオフ性能の高さをうかがわせる。見た目の印象は250ccよりもひとまわり小さい125クラスのような気軽さもあり、とっつきやすそうだ。

【販売価格】
ブルー/ブラック:399,000円(税込)

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2.スリムで軽い車体のポジション

【シート高】880mm
大きな最低地上高を確保するためにオフロードバイクのシートはどうしても高くなる。880mmというシート高はナンバー付オフロードモデルのなかでは標準的だが、身長172cm・75kgの筆者だと、両足のかかとが6、7cm浮く程度の足つき性。不安定に見えるが、コンパクトで軽い車格のおかげでバランスをとりやすい。オフロードバイクの足つき性は慣れの問題なのだ。それに少々タチゴケしようが、キズがついても、致命的な壊れ方をしないのがオフロードバイクだ。

3.低回転域から高回転域までワイドレンジで使えるWR -実走インプレッション-

低速から高速までストレスフリー

このバイクは125ccですと言われても違和感のないコンパクトな車格。跨って驚いたのはスリムさと車体の軽さ。本当に125ccクラスのようなサイズ感でまとまりがよく、思わず排気量をもう一度確認してしまったくらいだ。走り出すと、低速、低回転域からきちんと押し出し感を感じる力強いエンジンに関心させられる。ヤマハのオフロードバイクといえばセローシリーズがすぐに頭に浮かぶが、セローを想起させる潤沢な低速トルクでエンストがしにくい。実際、乗り味に関してもかなりセローを意識したというか、セローに通じる部分を多く感じる。この潤沢な低速トルクならば免許取り立てのライダーにも十分扱いやすいことだろう。

しかし、この手の150ccクラスで低速トルクにキャラクターをふったマシンはハイスピードレンジでパワー不足を感じることが多いものだ。とくに高速道路走行などでその不満がでるワケだが、はたしてこのWR155Rはどうだろうか? 水冷エンジンとはいえ155ccしかないのである。この低速重視のトルク型エンジンなら、まぁ90km/hも出れば御の字だろうな?…なんてちょっとナメて高速道路に向かったのだが、びっくりである。なんと100km/h巡航は余裕。状況によっては120km/hにも届こうかという速度が出せるじゃないの!?車体の操安性に関しては、オフロードバイクのそれで、この速度域で上限ギリギリという感じだが、この高回転域の伸びの良さは155ccという排気量以上のフィーリングだ。

これがVVA、バリアブル・バルブ・アクチュエーションの効果なのか!? 思わずヘルメットの中でニヤリとしてしまう。普通、エンジンの特性は、ピークパワー重視の高回転型か、低速トルク重視の中低速型か、設計段階でキャラクターが作り分けられるものだ。当然乗り物的には両方いい方がいいに決まっているのだが、シリンダーの中に混合気を流し込む量や、排気ガスを排出するタイミングによってピークパワー重視か、低速トルク重視かが、ある程度決まってしまうためこの2つの特性を両立させることが難しいのだ。ヤマハは昔から、排気管の中に弁を設けて排気の流れをコントロールするエグザップを採用するが、この装置も低速のトルクと高回転側の伸びを両立するための工夫だ。

ならば低回転域と高回転域で、シリンダーの中に混合気を流し込む量や、排気ガスを排出するタイミングを切り替えればいいじゃない?…と産まれたのがこのVVAをはじめとする可変バルブ系の装置だ。ホンダのCB400SFに搭載されているVTEC(ブイテック)は、2本ずつある吸気・排気バルブの1本の動きを低回転域で休止させる機構だが、このWR155Rに搭載されているVVAは、バルブを押し動かしているカムシャフトのキャラクターが別物に切り替わる。

このVVAが実際に体感できるかというとできる。高速道路でアクセル開度を一定にして速度がジワジワと少しずつ上がるような走りをしてみる。すると7,000回転以上になったところで、加速が二次曲線的に若干良くなるのを感じる。大きい排気量ではイマイチ感じにくいこともある可変バルブ機構だが、この排気量のクラスだとよりその効果が体感しやすいのかもしれない。

4.オフロードでの実力も十分!

VVAによる潤沢な低速トルクはもちろんオフロードセクションでも有用だ。とくにちょっとフロントタイヤをリフトアップして段差を乗り越えたい時。難所で足をついてゆっくり進みたい時。オフロードでは高速レンジよりも極低速~低速ぐらい領域を多用するものだが、そこでのパワーの出方が本当にちょうどいいと感じる。これが4ストローク125ccのオフロードバイクだと、どうしても力不足が否めず、フロントタイヤを上げようにも上がらないようなことが多い。一方このWR155Rなら、軽いボディアクションとアクセルワークを合わせてやるだけで、ポンっとフロントタイヤが持ち上げられる。

車体に関してもかなり作り込まれている印象だ。ピックアップのいいエンジンに調子に乗ってフロントアップしたり、段差でステアケースまがいの遊びをしたり、段差から飛び降りてみたりしたのだが、そんなちょっと車体に負荷のかかる走り方をしても意外に根を上げない。端的にいえばサスペンションのストロークを使い切らず、しっかりと踏ん張るのだ。ジャンプでフロントから着地してみたり、ステアケースでフロントタイヤの当たりを強くしてみたり、かなり意地悪な乗り方もしてみたのだが、それでも“ガツッ”とフォークストロークを使い切らないことに関心させられる。

オフロードバイクは、車体性能が勝ちすぎても、エンジン出力が勝ちすぎてもコントロールしにくくなり、面白くないものだ。車体とエンジンのバランスがものすごく重要なワケだけど、近年、どんどん車体が重くなる傾向のなかで、ここまでエンジンと車体のバランスがとれたモデルも珍しいと思う。林道走行ぐらいならこなせるオフロードバイクはいくらでもあるが、さらに上のテールスライドや、フロントアップといった、オフロードバイクならではの3次元的な動きを習得するのに、このWR155Rはかなりいいところをついたキャラクターになっている。

5.ディティール メーター&灯火器

【表示項目】
スピード/エンジン回転数/燃料残量/時計/オドメーター/トリップメーター×2/ギヤポジション/平均燃費/瞬間燃費

ヘッドライトやウインカーなどの光源はLEDではなく電球タイプで、ウインカーは形状から察するにWR250Rと同じもののようだ。最近は大きくなりがちなヘッドライトデザインにおいてここまで小顔にできたのは、さすがは“デザインのヤマハ”といったところ。

6.ディティール 走行性能

・エンジン

【エンジン形式/排気量】水冷4ストローク OHC4バルブ単気筒/155cc
【最高出力】12.3kW/10,000rpm
【最大トルク】14.3Nm/6,500rpm

VVAの搭載や管長を長めにとったエキゾーストパイプの効用だろう。最大トルクを6,500回転という低めの回転数で発揮しながら、最高出力はだいぶ回転数に開きのある1万回転で発揮。低速から力強く、高回転までしっかりと回りきるエンジン特性がスペックに見事に表れている。実際に走らせてみても、発進時などの低速域に十分な力があって扱いやすく、しかも高速道路で使うような高回転域でもしっかりパワーが出ている。この排気量でここまで実用域がワイドレンジなエンジンは珍しい。

VVA(バリアブル・バルブ・アクチュエーション)
ワイドレンジな実用域を可能にしているのVVA機構。その効用を説明すると、まずエンジン内部で、混合気を送り込む吸気バルブの開閉タイミングを決めているのがカムシャフトのカムプロフィール(カム山)だ。卵の断面のような形のカムプロフィールは通常1つのエンジンにつき1つだが、VVAは、7,000回転を境に高回転用と低回転用でカムプロフィールが切り替わる。これによりバルブが開く時間やリフトの量が変わり、トルクフルな低回転型と、伸び上がりのいい高回転型の両方のエンジンのいいとこどりをする。実質的には7,000回転を境にカムシャフトが横にスライドして、カム山を入れ替えており、エンジン回転数をあげると“カチッ”という作動音がシリンダーヘッドあたりから聞こえる。

・ハンドル

振られたタイヤを抑え込みやすいよう、オフロードバイクらしく幅広840mmに設定されたハンドル。素材は快適性を考えてだろう、しなやかで振動の少ない鉄材を採用。太さはテーパータイプではなく、ミリバーサイズのφ22.2mm。

・足まわり
【タイヤサイズ】フロント:2.75-21/リヤ:4.10-18

フロントフォークはインナーチューブ径41mmの正立タイプ。コンパクトに感じる車体のハンドリングはこの細身のフォークによるところも大きそうだ。リヤショックはリンクタイプでプリロード調整が可能。ちなみに前後ともにサスペンションストローク量は未発表。

・ブレーキ

【フロント】ニッシン片押し2ポット/φ240㎜ディスク
【リヤ】ニッシン片押し2ポット/φ220㎜ディスク

前後ともソリッドタイプのディスクながら、放熱性の高いウェーブ形状を採用。現行モデルにABSは非装備だが、ABSなしを選べるのは、2021年10月1日の継続生産車義務化以前に生産された年式までとなる。

・ラジエター

冷却水を冷やすためのラジエターは車体右側にのみの装備。転倒による変形、破損を防ぐためのガードパイプ付きという、オフロード走行のツボを押さえた作りになっている。

・スイングアーム

スイングアームは鉄材の角パイプ型だがこのクラスならこの仕様で十分。スプロケットのプロフィールはフロント14丁のリヤ51丁。また、オフロードバイクにしては珍しくチェーンガイドがない。タイヤはIRCのGP-21/22で、チェーンは428のシールタイプを採用している。

・マフラー

ウォーターラインやVVAを避けるためか、それとも管長を稼ぐのには左出しの方がよかったのか、国産メーカー系モデルとしては珍しい左まわしのサイレンサーを装備する。ヤマハお得意の排気脈動コントロールデバイス・EXUP(エグザップ)の装備はない。

・ステップ

ブーツをがっちりホールドするギザギザステップに加え、ステップ類は転倒時に曲がっても折れにくい鉄製にするのはオフ車の常套手段。6速のチェンジペダルの先端が可倒式になっているのも転倒を考慮したオフロードならではの仕様だ。

7.ディティール ユーティリティ

・燃料タンク

【燃料容量】8.1L
タンクは大容量の8.1Lで、燃料はもちろんレギュラーガソリン。燃費はSOXスタッフによる実測値でなんと46.6km/L。つまりワンタンクで350km以上を走ってしまうロングレンジモデルというワケ。この数値はオフロードバイクとしては異例の航続距離である。

・フェンダー

車体はエンデューロマシンのWR系らしいスマートなスタイリングでまとめあげられている。フェンダー上の黒いパーツは、フェンダーの固定強度を上げるためのステーのようだ。

・テールまわり

残念ながら荷かけフックなどの積載のための装備は見当たらない。荷物を積載するためにはキャリアが必要そう。本国のサイトにアクセサリーのページがあり、キャリアも登場しそうなのだが、まだ準備中のよう。

・シート

880mmのシートは足つき性アップのためだろう、鞍部をかなり低く設定している。オフロードでのコントロール性を高めるなら、もう少しシートを高めて座面の荷重入力点を高く設定したいところ。

・左スペース

ラジエターの反対側、車体左のシュラウド内側にはキー施錠のできるカバーがあり、外してみるとなんとバッテリーが入っていた。車載工具の収納場所もバッテリーの脇になっている。

・スイッチボックス

【左】ヘッドライト切り替え&パッシング/ウインカー/ホーン/ハザード
【右】スタータースイッチ/キルスイッチ

シンプルなスイッチボックスデザイン。ブッシュキャンセル式のウインカーなどの基本的な機能に加え、ハザードやパッシングスイッチも備えている。

まとめ

エントリーマシンとしてのバランスもいい!

ちょっとややこしいが、WRという車名の由来を話そう。WRとは“ワイド・レシオ”の頭文字。加速重視のクロスミッションに作られたモトクロッサーのYZシリーズに対し、ギヤ比(レシオ)をワイドにして汎用性を高めたエンデューロ系マシンという意味で車名に用いられたことがその発端だ。さてWR155Rこのマシンも考え方は同じだ。VVAを得たことで、WRはWRでも、ワイド“レシオ”というよりは、ワイド“レンジ”という感じのエンジンに仕上がっている。この汎用性の高いマシンなら、日々の足としての使い勝手はもちろん、高速走行も排気量以上の仕事をこなし、しかもオフロード走行もバッチリ楽しめてしまう。ある意味1台でなんでもできてしまう万能選手。しかもオフロードバイクらしく車重は軽めで扱いやすいというのだから、足つき性さえ気にならなければ、ファーストバイクとしての魅力も十分にある。

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谷田貝 洋暁

谷田貝 洋暁 フリーランスライター

投稿者プロフィール

1974年3月12日、千葉県八千代市生まれ。“旅のにおい”のする道具が好きでバイクに限らず、カヌー、山スキーなどでフラフラと出かけるのが趣味。それがこうじて山小屋アルバイトに、北海道の鮭バイ、沖縄での製糖工場など、しばらく“職業旅人”だったが、21世紀になったところで運良くバイク雑誌編集部に拾われ二輪業界へ。女性ライダー向けの『レディスバイク』 、ミドルクラス専門誌『Under400』、ビギナー向けの『タンデムスタイル』などの二輪雑誌の編集長を務めた後、2019年からフリーランスとして活動開始。誰にでもわかりやすい記事を書くことを信条に、二輪媒体に寄稿したバイクレビュー/試乗記事は約1000稿。ただし、ダート要素がちょっと多めだ。

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