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【Z900試乗インプレ】排気量を感じさせない 乗りやすさに脱帽

【カワサキ Z900】
ディテール&試乗インプレッション

「エキサイティング&イージー」をコンセプトに948cc水冷4ストローク並列4気筒エンジンを、鋼管トレリスフレームに搭載したZ900。125ccクラスからスーパーチャージャー付きエンジンまで、ラインナップ最多の8機種を擁するZシリーズのなかで、Z900はどんなポジションのオートバイなのか? 元初心者向けオートバイ雑誌編集長の谷田貝 洋暁が試乗レポート。

1.スリム&コンパクトなスタイリング

【全長/全幅/全高】2,070mm/825mm/1,080mm
【車両重量】213kg
【軸間距離】1,455mm
【最低地上高】145mm

Zシリーズの共通アイコンである“Sugomi”デザインのスラントルックを継承しながらも、前のめり感は同一排気量帯のZ1000よりも随分と浅く、万人受けするネイキッドらしいアップライトなスタイリングが与えられている。948ccという大きな排気量の直4エンジンを搭載しているにも関わらず、非常にコンパクトで機能が詰まっている印象だ。

【販売価格】
メタリックスパークブラック×メタリックフラットスパークブラック:1,100,000円(税込)
※2020年12月現在

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2. 意外にとっつきやすいコンパクトなポジション

【シート高】800mm
600ccクラスと言われても違和感のないコンパクトな車体は、跨ってみてもやはりコンパクトに感じる。213kgの車体は引き起こしも軽くハンドル、ステップのポジションも1000ccクラスというより、ミドルクラスネイキッドのそれに近い。排気量から考えられないほど非常にとっつきやすく、扱いやすそうなポジション設定がされている。

3.ここまで乗りやすい900ccクラスがあったか? -実走インプレッション-

乗りやすいマシンはやっぱり速い!


本当に排気量が900ccもあるの? 実車を前にした正直な感想だ。試乗にあたっては兄貴分のZ1000も一緒に走らせたことも大きいだろうが、それにしても車体がコンパクトに感じる。搭載するエンジンは、そのZ1000のエンジンをショートストローク化して、排気量を95ccほどサイズダウンした948ccのユニット。Z1000に電子制御的な装置が一切ない(ABS以外)のに対し、このZ900には、ABSは当然としてトラクションコントロール&パワーモードが変更できる4種類のライディングモードも装備している。メーターにはTFTのカラー液晶を採用し、最近流行りのBluetooth通信機能も搭載している。そんなギミックばかりに目が行きがちだが、このZ900、本当にすごいと思わされたのは実は車体の方である。


カワサキお得意の鋼管トレリスフレームを採用しているのだが、走らせてみるとこの車体の完成度がものすごく高い。低速からしっかりとしなるおかげで、見た目だけでなく走ってみても車体がコンパクトに感じるのだ。とくに交差点などの低速旋回がとてもしやすく、街中をはじめとするストリートセクションでとにかく扱いやすい。それでいてワインディングなどの少しスピードレンジがアップするような状況では、このしなやかなフレームがまたいい仕事をしてくれる。路面へのタイヤの踏ん張り具合をしっかり伝えてくれるおかげで、ものすごく安心感が強いのだ。いわゆる“路面からのインフォメーションが多い”というヤツだが、だからこそ“まだアクセルが開けられる!”なんて判断もしやすいし、“もうこれ以上は怖いな...”なんていう限界も感じ取りやすいというワケ。つまりは、スポーツ走行における“余裕”や“限界”の見極めがものすごくしやすい。正直な話、トラクションコントロールシステムなどの電子制御装置で保険をかける必要ないんじゃないの? なんて思うほどインフォメーションが強く、コントロール性もいい。


なんて調子に乗って走っていたところで、“そういえば、このマシン948ccだったな?”なんて事実を思い出すのである。あまりの乗りやすさについつい600~700ccクラスのつもりで気持ちよくアクセルを開けていたが、どうりでなんだか加速がいいワケなのだ。ここまで扱いやすい1000ccクラスの直4マシンも珍しいと思う。本当に速いバイクとは、車体もエンジン特性も素直で排気量を忘れてアクセルを開けられるもんだ。ライバルがついついスロットルを緩めてしまうところでさらにアクセルを開けられるから速いのだ。

比較ついでに同排気量帯のZ1000との違いを書くなら、“刺激的なZ1000”に対し、“本当に速いZ900”といった印象。同じ技量のライダーが走らせれば、間違いなく速いのはZ900の方である。

4.ディティール メーター&灯火器

・灯火類

灯火器類は、ウインカーやナンバー灯を含めてフルLED。尾灯はフル点灯のストップランプに対し、テールランプは“Z”の文字が浮かび上がるようになっている。

・メーター

【表示項目】
スピード/エンジン回転数/シフトインジケーター/燃料残量/時計/オドメーター/トリップメーター×2/ギヤポジション/平均燃費/瞬間燃費/走行可能距離/平均速度/積算時間/ETC/水温計/電圧計

4.3インチのフルデジタルカラーTFTを採用。白黒の反転表示や明るさの調整はもちろん、表示要素は非常に多く、多機能なメーターになっていながら、情報が煩雑になることなく、速度やエンジン回転計といったライディングに必要な要素は見やすい。

・Bluetooth通信機能

Bluetooth通信機能を備えており、スマートフォン用アプリケーション「RIDEOLOGY」を使えば、燃料残量やメンテナンススケジュールなどの車両情報をアプリ上で確認できるほか、ライディングログを取得し、地図上で走行軌跡を確認したり、ギヤポジションや水温などの走行中のデータもグラフで見返すことが可能。また電話を着信、メール受信情報をディスプレイに表示できるほか、別途Bluetoothインカムがあれば、そのまま通話も可能だ。

5.ディティール 走行性能

・エンジン

【エンジン形式/排気量】水冷4ストローク DOHC直列4気筒/948cc
【最高出力】92kW/9,500rpm
【最大トルク】98Nm/7,700rpm

Z1000に搭載される1043ccのエンジンをダウンサイジング。56.0mmのボアをそのままに、ストロークを77.0mmから73.4mmとショート化して948ccにしている。圧縮比に関しては11.8と変わらずだが、ピークパワーは141psから125psとなりかなり扱いやすくなっている。また後輪のスリップを防ぐトラクションコントロールシステムも装備しており、介入度が異なる1~3のモードが用意。後述するライディングモードと連動している。

・ハンドル

ハンドル幅825mmとワイド目のハンドルが与えられているものの、アップライトなポジションのおかげで扱いやすい。素材は快適性重視のスチール素材を採用している。ハンドル切れ角は片側33度を確保。ハンドル上部のアクセサリーソケット(25W)はオプション。

・足まわり

【タイヤサイズ】フロント:120/70ZR-17/リヤ:180/55ZR-17
フロントフォークはインナーチューブ径41mmでストロークは120mm。左にプリロード調整機構があり、右が伸側の減衰調整機構になっている。リヤはユニットが寝かされたホリゾンタルバックリンクを採用し、フロント同様プリロードと伸側減衰調整機能がある。タイヤはダンロップ社の最新モデル、SPORTMAX Roadsport 2を採用している。

・ブレーキ

【フロント】ニッシン対向4ポット/ペータルディスク
【リヤ】ニッシン片押し1ポット/ペータルディスク

フロントブレーキはφ300mmのペータルディスクをダブルで装着。そこに対向4ピストンモノブロックキャリパーが組み合わせられる。リヤはペータルディスクφ250mmでニッシンのキャリパーをシングルで装着。スポーツ走行にも対応するコントローラブルなキャラクターが与えられている。

・マフラー


2020モデルでユーロ5への適合を果たしたZ900。前作比で触媒の容量がアップするとともにレイアウトも変更。プリチャンバーとサイレンサーの内部構造も見直されている。

・フレーム

2020モデルのモデルチェンジではフレームも変更。素性のいいハンドリングを損なわないようにスイングアームピボット部の強度をアップして耐久性を高めている。非常にしなやかで素直な曲がり方をするため、非常にマシンがコンパクトに感じる。合わせて2020モデルではサスペンションのセッティングも最適化されている。

・ステップ

ラバーパッドと振動対策のためのウエイトが取り付けられたステップ。スポーツモデルではあるが快適性も重視するZ900のキャラクターが現れている部分だ。ギヤは6速、チェーンは525サイズでスプロケットは15/44丁。

・ライディングモード

エンジン出力は、フルパワーとローパーワーの2段階に切り替えられ、ローパワーはフルパワーに対して出力が約55%に制限される。ライディングモードは、このエンジン出力のフルパワー/ローパワー、トラクションコントロール(KTRC)の3段階設定を組み合わせ、「スポーツ」「ロード」「レイン」「ライダー」の4モードを作っている。ライディングモードは、左スイッッチボックスのパドルスイッチで変更可能で、「ライダー」ではトラクションコントロールのオフを含めた設定のチョイスが行える。

ディティール紹介 ユーティリティ

・燃料タンク

【燃料容量】17L
ヒンジ付きのタンクは鉄製でマグネットタイプのタンクバックも使いやすい。燃料はハイオク指定で容量は17L。燃料警告灯が点灯したときの燃料残量は約3.9ℓとなっている。

・シート


前後セパレート式のシート。表皮には滑り止めを兼ねたシボタイプの滑り止めが入れられている。タンデムシートも装備しているが、Z1000と同様デザイン優先でベルトも小さく、あくまで緊急用といった雰囲気。ただし、オプションで+20mmのフロントハイシートとともに、リヤ用ハイシート(+20mm)も用意されている。

・シート下


ETC2.0が標準装備され、車載器はタンデムシート下、インジケーターもメーター内に組み込まれている。ライダーシートはタンデムシート下のスライドロックで取り外せるため、バッテリーやヒューズボックスといった点検箇所へのアクセスもしやすい。

・荷掛けフック

荷かけフックは、タンデムステップのヒールガードに2ヶ所、フェンダー裏側のナンバーステー取り付け部に2ヶ所あり、荷物の積載もきちんと考慮されている。

・レバーアジャスター

クラッチ&ブレーキレバーには、好みや手の大きさに合わせて5段階でレバーの握り幅が調整できるダイヤルが備わっている。カワサキお得意の装備だ。

・スイッチボックス

【左】ヘッドライト切り替え/パッシング/ウインカー/ホーン/ハザード/セレクト&パドルスイッチ
【右】スタータースイッチ/キルスイッチ

右のスイッチボックスはシンプルな構成だが、左にはモード切り替えやTFTメーターを操作するため、中央の決定(SEL)ボタンと上下のセレクト機能を備えたパドルスイッチを備える。

7.まとめ

コンパクトで扱いやすく、大型初心者も射程圏内


兄貴分でエンジンのベース車であるZ1000とは全く異なる従順なキャラクターが与えられており、車体もコンパクトで扱いやすい。確かに1000ccクラスのエンジンパワーは強力だが、トラクションコントロールシステムもあるし、ライディングモード切り替え装置をうまく使えば、大型免許を取得後の初ビッグバイクだとしても十分扱えるだろう。また素直な車体はハンドリングがいいうえにブレーキ性能も十分。サーキットをはじめとするスポーツ走行を始めるマシンとしても十分な素質を持っている。

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谷田貝 洋暁

谷田貝 洋暁 フリーランスライター

投稿者プロフィール

1974年3月12日、千葉県八千代市生まれ。“旅のにおい”のする道具が好きでバイクに限らず、カヌー、山スキーなどでフラフラと出かけるのが趣味。それがこうじて山小屋アルバイトに、北海道の鮭バイ、沖縄での製糖工場など、しばらく“職業旅人”だったが、21世紀になったところで運良くバイク雑誌編集部に拾われ二輪業界へ。女性ライダー向けの『レディスバイク』 、ミドルクラス専門誌『Under400』、ビギナー向けの『タンデムスタイル』などの二輪雑誌の編集長を務めた後、2019年からフリーランスとして活動開始。誰にでもわかりやすい記事を書くことを信条に、二輪媒体に寄稿したバイクレビュー/試乗記事は約1000稿。ただし、ダート要素がちょっと多めだ。

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