【俺が勝手に勧めたい!】スズキ・テンプターは美しいビッグシングルのスタイルに最上級のメカを隠し持つ

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ビッグシングルの代表として知らぬ人のいないヤマハ・SR400が2021年3月にファイナルモデルとなり、入れ替わって4月に国内発売されたホンダ・GB350。チラホラと街中でも見かけると、ビッグシングルの世代交代を感じるこの頃。その中で今回紹介したいのは、一見するとBSAかノートンか!? と思ってしまうようなカンペキな外見を持つ「スズキ・テンプター」です。

モトレポートでは、試乗インプレの他に新車・中古バイク検索サイト「ウェビック バイク選び」に掲載されているバイクに関する情報を発信しています。
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国産車離れした風貌はまるで1950年代のノートンマンクス!

バイクの原型ともいえるシンプルなスタイルはビッグシングルのならではのもので、これからも魅力的なカテゴリーとして愛されるでしょう。そんなビッグシングルは多くがオフロード譲りの空冷エンジンにカウルレスのシルエット、17~19インチの大き目なホイールを採用しており、これはビッグシングルのデザインのベースに、伝統的なブリティッシュスタイルのクラシックバイクがあるからともいえます。

211029_motorepo_tenputa_02.jpg▲1997年発売のテンプターは396ccのビッグシングル。ほとんど垂直な巨大シリンダーの存在感に目が行きますが、セルモーター搭載でシート高はSRよりやや低く、かつ27PSの出力はSR400・GB350のどちらよりハイパワー。

そんな中でテンプターは、ロングタンク、直立するシリンダー、低めに構えたハンドルの雰囲気はまさしくカフェレーサー……というより、クラシックなノートンやトライアンフなどのマン島レーサーを彷彿とさせるシルエット。メーカーもそれをシッカリ狙っていたのか(?)、初期モデルでは「SUZUKI」のエンブレムがなく、タンクには「TEMPTER」のエンブレムのみが装着されていました。おかげで国産車っぽさがないどころか、メッキパーツを多用した細部からもチープさが全くみあたらず、「どこのバイクですか?」と聞かれること間違いなし。

細かく見ると、ディスクブレーキが当たり前の時代に「あえて」搭載した前後ドラムブレーキや、クラッチカバーに沿うように丁寧に曲げられたエキゾーストパイプ、そしてOHCながら4バルブで性能を追求したエンジンなど、独特の美学が見て取れる部分があります。

211029_motorepo_tenputa_03.jpg▲直立するエンジンに目が行くものの、ゴチャゴチャした配線やメカが見えないスッキリしたエンジンまわりは特有のもの。エキゾーストパイプもエンジンに沿って美しく曲げられています。

211029_motorepo_tenputa_07.jpg▲メーターはシンプルな2連式。スピードメーターは180km/h、タコメーターは9000rpmまでを表記。メーターまわりにもメッキを多用してあり、必要最低限ながらチープさを感じさせない重厚さがあります。

テンプターは羊の皮をかぶっていた!レトロな外見の裏に隠していたのは・・・

テンプターの見た目に反して力強いのはまずエンジン。27PSのパワーは、24PSのSR400よりも一段上。1978年登場のSRに対して、年式が新しい分だけ技術力のアップを感じます。そんなハイパワーは理由があり、燃焼効率を最適化できる4バルブを搭載しています。

もっとも、スズキはシングルモデルでも高性能エンジンとするコンセプトで1991年にグース350をリリースしており、これがセールス的に不発だったことから次は本格派クラシックスタイルのテンプターでリベンジを図ったと言えるかも知れません。

211029_motorepo_tenputa_04.jpg▲直立したバーチカルシングルエンジンは、トラディショナルなデザインながら燃焼効率に直結するバルブ数を4バルブに高性能化し、27PS/7000rpmのハイパワー。DR600などのオフロードマシンの技術を活かしています。

211029_motorepo_tenputa_05.jpg▲「直線は退屈だ、グース。」という衝撃的なキャッチコピーで1991年に登場したスズキ・グース350。車名はマン島TTコースのグースネックコーナーからきており、ビッグシングルカスタムに新風を巻き起こそうという狙いは明確でした。

しかし、テンプターで語るべき最大のポイントはブレーキなのです。どうしても高性能化せずにはいられないスズキの開発陣は、それでもレトロな外観をコンセプトとするテンプターに超強力なメカニズムを採用しました。

フロントブレーキに搭載されたデュアルツーリーディング方式は、GPレースにさえドラムブレーキ車が参戦していた時代の技術。Wディスクに相当する左右に独立したドラムブレーキを装備し、ブレーキシューを動かすカムをそれぞれ二つ備えるという、最高峰のドラムブレーキなのです。

それを現行として持ってくる技術的逆転もさることながら、ドラムブレーキの欠点である熱対策のためにわざわざフィンを設置するのも、スポーツ性を捨てていないこだわりを感じるポイントです。

211029_motorepo_tenputa_06.jpg▲異様でさえある巨大なドラムブレーキは、性能とレトロさを両立させたデュアルツーリーディング方式を採用。ブレーキシューを押し広げるように作動するドラムブレーキのパワーを上げるために、カムを2本配置する方式はSR400でも採用されていましたが、デュアルにするところがスズキらしいです。

斜め上の角度で「SR400には絶対負けない!」と力を注いだグース350、そして、過剰とも言えるこだわり装備を持って作られたスズキ・テンプター。こちらも販売台数は多くはなく、2000年には生産終了していることからなかなか見かけない車種ではありますが、ブリティッシュスタイルに高性能メカニズムを詰め込んだ立ち位置は面白さに並ぶものなしです。

語らずにはいられないテンプターのベース車

最後に、テンプターの兄貴分ともいえるモデルを紹介します。1986年発売のサベージは、他のどんなクルーザーにも似ていないスズキの意欲作でした。テンプターのエンジンはこのサベージのものを流用したものだったのです。

本格的なクルーザーといえばVツイン、というイメージに一石を投じるサベージは、アップハンドルにベルトドライブを搭載(ちなみに、スズキのベルトドライブ初搭載車はこのサベージです)したクルージング性能追求型。しかしシングルの強味である構造の簡単さから、取り回しよく扱いやすいという評価を得ました。国内では1990年代で販売されなくなったものの、北米では2019年までラインナップされていたご長寿モデルです。

211029_motorepo_tenputa_08.jpg▲テンプターのエンジンは専用設計ではなく、ベースは1986年発売のLS400サベージ(写真は1992年モデル)搭載のもの。Vツインこそスタンダードなクルーザー、という固定観念をぶち壊す直立シリンダーは一度見たら忘れられない。

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いやちこ

投稿者プロフィール

・身長:165cm
・バイクの所有歴(所有が古いもの順):エリミネーター250、ベンリィ50S、VanVan50、GB250
・主なバイクの楽しみ方:寺社ツーリング、レストア
・ライセンス:Araiヘルメット販売員!
・特技:イラスト、寺社案内

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