【俺が勝手に勧めたい!】スズキ・SW-1は時代を先取りし過ぎたネオレトロマシンだった

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現在、すっかり定着した感のあるネオレトロもしくはネオクラシックのジャンル。今後もZ650RSなど注目のモデルが発売を控えており、まだまだ人気は衰えることがなさそうです。

そんなネオレトロモデルですが、じゃあ最近始まった流行なのか? というとそうではありません。30年ほど前にも同様のレトロブームがありました。今回紹介したいのは、そんな流行のさなかで登場し、新しい価値観をテーマにしたモデル「SW-1」です。

一度見たら忘れられないそのシルエット

1989年の東京モーターショーで参考出品されたSW-1のコンセプトモデルは、プレス鋼板風のボディやホワイトリボンタイヤを装備。エンジンは水冷Vツインを搭載しており、発売時にはかなりの変更が加えられたものの、大きなコンセプトは変わらずに1992年に市販されました。

とにかく一度見たら忘れられない特徴的で独創的なデザインは、1980年代後半に日産のパイクカー・Be-1やパオ、フィガロなどのデザインを手がけた坂井直樹氏・Water Design社によるもの。デザインのベースには1950年代のビンテージなフルカウルドモデルを感じさせるものの、そのコンセプトはただ古典的なだけではない、新しいライフスタイルを提案するものでした。

1f6eb523aefc0ab61b41b48579cc939d.jpg▲1992年に発売されたSW-1。エンジンはシンプルな空冷OHCのシングル。20PS/8000rpmのパワーは当時としてはアンダーパワーですが、街乗りやちょっとしたツーリングでは必要十分。

SW-1-.jpg▲1992年の発売時はレトロブームのさなか。そんな中に登場したSW-1は空冷シングルのアンダーパワーなエンジンながら、1950年代風のデザインはレトロブームの中でも異彩を放つ存在です。

そのキャッチコピーは「ヒューマンウェア」。それまでのスポーティーさや大排気量のワイルドさを求めるライダーだけではなく、女性ライダーやシティコミューターにも選ばれるモデルを狙った意欲作だったのです。そのために主張の強い派手な原色は使わず、カラーリングは「カシューベージュ」1色という割り切り具合で、都会にも田舎にも溶け込めるモデルにしよう、という考えに基づくものでした。

見た目だけではないスズキのこだわり

とにかくインパクトのあるレトロデザインのSW-1ですが、装備や構造を見てみると実用性にもかなりの気を配って開発されていることがわかります。今までオートバイに興味がなかった層のライダーが、新しいライフスタイルをと思って触れるマシンがクセのあるものにならないよう、エンジンはオフロードモデルでも使われているものをベースとし、スタートや低速でのコントロール性では信頼できるものでした。

また、駆動にはベルトドライブを採用。メンテナンスフリーで長寿命、低騒音なベルトドライブは乗り心地の向上に大きな役割を果たしています。シフトは一般的なリターンの5段式ですが、ペダルはシーソー式で、スーパーカブと同様に靴を傷つけないための工夫が施されていました。

c20bda44273d26ed1a8a219f72fefee2.jpg▲エンジンはスズキの4スト250ccオフローダーの先駆けであるDR250Sのものがベースで、22PS/8500rpmのパワーをSW-1では20PS/8000rpmに調整しています。

557c9514b1ef31bb4feff3eb5de9f338.jpg▲トランスミッションはリターン式5速。特筆するべきは特徴的なシーソー型ペダル。シフトアップ時の「かきあげ」動作で靴の甲を傷めないために、カカトで踏み込むシフトアップを可能にしています。

また、巨大なサイドカバーは収納スペースとして解放することができ、キーひとつで開閉が可能。コンセプトモデルでは、ここに半キャップ型のヘルメットが収納されていましたが、市販版ではレインウエア程度と収納力が低下。ちなみに燃料タンク部分の収納もヘルメットを入れることはできません。

また、コンセプトモデルはライダーシートが上下に割れるように開く作りになっていて、そこにKTCのミラーツールが陳列されていたのです。実にこだわった車載工具とその収納方法は、コンセプトモデル・SW-1の評価を大いに高めたのですが、市販版ではさすがにミラーツールという訳にも行かず、この辺りの理想と現実の差にがっかりしたライダーも少なからずいたのも事実です。

L_8502447B30210522003_8502447_68849.jpg▲こちらはタンク部分の収納でSW-1では3ヶ所の小物収納を装備。あまり実用的ではないですが、コンセプトモデルをきっちり踏襲したのは見事です。

「珍車」ながら確かな存在感

SW-1は、レトロな見た目とトルクフルな空冷エンジンをマニュアルミッションで操作するという楽しみは特有のもので、多くの新しいライダーに親しまれてもおかしくはないモデルでした。しかし、実際には市場での販売は今一つという結果に。これはこだわりゆえの高めの新車価格(68万8000円、同年発売のCB400SFが58万9000円、ともに税抜き)、やはり根強くあったスポーツ性能への要求に立ち向かえず、現在では「珍車」とさえ呼ばれるほどレアなモデルとなってしまいました。

ですが、SW-1は現在のSR400のように新車販売が打ち切られてから人気に火が付き、中古価格が高騰しました。その人気に応えるようにスズキは2003年の東京モーターショーでSW-1を意識した「ST250 デザインスタディモデルB」を出品し、2004年に「ST250E Type Sカスタマイズ」として、限定200台で発売しています。

決してSW-1に需要がなかったわけではありません、出てくるのがあまりも早すぎたのです。

1480233997486L.jpg▲こちらは、ST250E Type Sカスタマイズ。仕様は違うもののSW-1の搭載エンジンと同系統なので、タイプSカスタムのベース車としては最適なモデルと言えます。写真:なみへいさん

SW-1主要諸元(1992年)

・全長×全幅×全高:2105×840×1095mm
・ホイールベース:1380mm
・シート高:770mm
・車重:168kg(乾燥)
・エンジン:水冷4ストローク1気筒SOHC4バルブ 249cc
・最高出力:20PS/8000rpm
・最大トルク:2.1㎏-m/5500rpm
・燃料タンク容量:10.0L
・変速機:5段リターン
・ブレーキ:F=油圧式ディスク、R=油圧式リーディングトレーディング
・タイヤ:F=110/80R16、R=140/70R15
・当時価格:68万8000円(税抜き)

スズキ SW-1の価格情報

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いやちこ

投稿者プロフィール

・身長:165cm
・バイクの所有歴(所有が古いもの順):エリミネーター250、ベンリィ50S、VanVan50、GB250
・主なバイクの楽しみ方:寺社ツーリング、レストア
・ライセンス:Araiヘルメット販売員!
・特技:イラスト、寺社案内

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