

史上初の2年連続ディーラー・オブ・ザ・イヤーを獲得!
ラグジュアリーブランドとして顧客満足度の向上を目指す
取材協力:株式会社バナー
取材:小川 勤
掲載日:2025/07/01
東大阪市に「ドゥカティ大阪イースト」と「スクランブラーキャンプ大阪」を、西宮市に「ドゥカティ兵庫」の2拠点3店舗を展開するバナーは、2023年と2024年に2年連続で「ディーラー・オブ・ザ・イヤー」獲得した。
株式会社バナー:兼田代表インタビュー
「日本屈指の大型ドゥカティストアが生み出すハイエンドなカスタマーサービス」
2006年からドゥカティを取り扱うバナーは2014年に「ドゥカティ大阪イースト」をオープンし、2021年には同店に隣接するカタチで日本初の「スクランブラーキャンプ」をオープン。2023年には「ドゥカティ兵庫」をオープンし、2023年と2024年にディーラー・オブ・ザ・イヤーを獲得。ディーラー・オブ・ザ・イヤーは売り上げだけでなく、カスタマーサービスを中心に30項目ほどのトータル評価によって選出。2年連続となると前年評価に対するプラスアルファも求められるため、獲得のハードルはさらに高まる。しかしドゥカティジャパン、さらにイタリア本社はバナーを選んだ。
そんな「ドゥカティ大阪イースト」の自動扉をくぐると、とてもいい香りと共に美しいバイクが目に飛び込んでくる。一瞬にしてドゥカティの世界へと引き込まれる。入店した瞬間、なんとも言えない心地の良さに包まれた。

左が代表の兼田 智浩 さん。一緒に映っているのはMotoGPテストライダー
兼田代表:ディーラー・オブ・ザ・イヤーの2年連続受賞は史上初のこと。嬉しいですね。スタッフが頑張ってくれています。詳しい評価点は我々にも分かりません。ただ、新車から新車への乗り換え率や、購入していただいたお客様が整備で来店していただける率は高いと思います。
また、これは2006年から変えていないのですが、弊社ではお客様のバイクを雨風にさらしません。いかなる時も屋根がある車でドゥカティを運びます。納車時はもちろん、例えば車検の際もお客様は見ていなくても、必ず屋根付きの車で運ぶのです。濡れたら納車前に磨けば良いではなく、大切なお客様の車両を雨風にさらさないことを心がけています。
「ディーラー・オブ・ザ・イヤー2024」と納車式の様子
兼田代表:2拠点とも新車、中古車を問わず、ドゥカティを購入していただいた方にアンベールを行い、シャンパン(ノンアルコール)で乾杯をします。自分はドゥカティが提唱するアッパープレミアムでなく、ラグジュアリーなブランドとして捉え、扱うことで購入して頂いたお客様やバナーファンに高評価を頂いていると思っています。
正直、弊社の何が特化しているのかは分かりません。ただ自分自身が、いちオーナーとして、こうしてくれたら嬉しいということをスタッフ全員と共有し、徹底しています。四輪でいうとポルシェではなくフェラーリの世界を目指したいのです。“バナーで買って良かった”と、思っていただける空間とサービスを心掛けています。
「ドゥカティに乗る」そのステイタスを大切にしたい
兼田代表:ドゥカティが生み出すプロダクトには魅力しかありません。ステイタスと性能、全てにおいて価格なりの魅力と価値があります。イタリアのミサノ・サーキットで、MotoGPマシンの4秒落ちで走れるパニガーレV4Sが買える。一昔前なら数千万円を出さないと手に入らなかったパフォーマンスです。その性能を使いきる方は少ないと思いますが、このステイタスはとても魅力です。
またスポーツモデルに限らず、全車がハンドリングを追求しているのも魅力です。ドゥカティはコーナリングに妥協しない、唯一のメーカーです。そういった意味では、物作りに関して全面的に信頼しています。全車が乗って楽しく、デザインも魅力的。きちんと面を作り込んでくるデザインを見ると、イタリア人は天才だなって思います。
「経営者であり、レーシングライダーとしての一面を持つ」
経営者である一方で鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦するプロライダーでもある兼田代表。2008年から11年間バナーレーシングとして鈴鹿8耐に参戦し、気がつくとスーパーバイクモデルを日本一売るショップとなっていた。兼田代表はドゥカティのパフォーマンスを引き出し、サーキットを走り続けてきた。だからこそ同店では走行会をはじめとするイベントを積極的に開催する。
兼田代表:2店舗合同で年に数回、岡山国際サーキットで走行会を開催します。また月に1度ツーリングも行います。ちなみに走行会でパニガーレV4Sの7Gに乗ったら、もう一度鈴鹿8耐を走りたくなってしまったほどです。(笑)それくらい7Gはよかったですね。
どちらの店舗も決してレースを推しているわけではありません。しかし、鈴鹿8耐を戦ったデータとスキルを持っているのは事実ですし、走行会でお客様にアドバイスできたらば、それは魅力的なサービスだと思います。またツーリングでは、きちんと下見をし、お客様がUターンなどしなくても済むルートを設定するなど、徹底した配慮もさせて頂いています。
新旧のドゥカティを手がけ、イタリア車だから手が掛かるというイメージを払拭
ドゥカティ大阪イーストのセールスマネージャーの布施 豊さんは、元コーンズ (フェラーリディーラー)のスタッフだった。元々バナーのお客さんでもあり、鈴鹿8耐ではバナーレーシングの監督を5年間務められた方。そして現職の今。
布施さん:「兼田は良くも悪くも厳しいです(笑)。セールスではお客様の心をどう動かすか、お客様の心に対して私たちがどうアクションを起こすか?を常に心掛けています。お客様によってバイクに求められていることは異なります。その中でアンテナを張り、正確かつスピード感のあるセールスを提供しています。非日常の空間で心が動く、そんなサプライズ提供をするのです。
また弊社はサービスにも強いです。ピットには6機のリフトが並び、今もフル稼働中です。弊社のサービスの山本は社歴14年のベテランで、鈴鹿8耐のメカニックも経験しています。ドゥカティは二輪業界で最高のブランドといえます。それを手にする方には最高のサービスを提供したいと考えています。
例えば1098系の片持ちスイングーアムのナットを外す時は、ナットを養生してから工具を当てます。弊社のサービスには、こういったところが沢山あり、それもベテランの山本がいるからです。

程度良好な916の中古車。この年代のドゥカティもきちんと走らせることができるのは、経験豊富なメカニックがいるからこそといえる。
兼田代表:「バイクのサービス=メカニックの仕事は、世の中の仕事の中でトップレベルにカッコいい仕事です。私がレーシングライダーだからそう思うのかもしれませんが、あの世界で走るバイクをミスなく組み立てるって簡単なことじゃないんです。
その代わりネジ一本で命を落とす世界なので、プレッシャーもかけます。その中でミスなく安全と安心を提供できるメカニックは最高にカッコいい。
また弊社では“イタリア車だから手がかかる”という考えはありません。きちんと整備をすれば、そんなことはないからです。中古車にも力を入れていますし新旧どんなドゥカティでも、また他店で購入されたドゥカティも全て見ます。
「日本で唯一のスクランブラーキャンプを有するドゥカティ大阪イースト」
「スクランブラーキャンプ大阪」はイタリアのパドバとボローニャ、スペインのバルセロナ、フランスのカンヌ、オーストラリアのメルボルンに続く6拠点目の「スクランブラーキャンプ」であり、国内唯一の存在だ。
スクランブラーの各車はもちろん、純正アパレルやグッズを多数展開する。通常はショップの一角にスクランブラーコーナーを展開するのだが、日本で唯一のドゥカティ大阪イーストは、スクランブラー専用のショールーム「スクランブラーキャンプ大阪」を用意。スクランブラーが持つ、ポップなカルチャーをショールームスペース全体でリアルに体感できるのが魅力だ。
兼田代表:ドゥカティのラインナップで、スクランブラーのお客様層は異なります。スクランブラーキャンプ大阪をオープンしたことで、スクランブラーの販売が伸びました。ポップなカルチャーな雰囲気を大事にしつつも、もちろん他のドゥカティと同様にラグジュアリーな接客を心がけています。

右からセールスマネージャー布施さん、兼田代表、サービスの山本さん、スタッフの一同。チームワークから2年連続のディーラー・オブ・ザ・イヤー獲得となった。

今年からデリバリーがスタートのドゥカティ製モトクロッサーのデスモ450MX。日本での取り扱いは2店舗。西日本地区ではドゥカティ大阪イーストが唯一となる。実は兼田代表、モトクロスも大好きで林道にも頻繁に通っている。
ドゥカティ兵庫:ストアマネージャー倉岡さんインタビュー

ドゥカティ大阪イーストの系列店となるドゥカティ兵庫のストアマネージャーを務める倉岡 慎吾さん
「ドゥカティ兵庫をオープン。バナーの組織力はさらにアップ!」
「ドゥカティ大阪イースト」から「ドゥカティ兵庫」は、高速道路を使うと30分ほどで移動できる。西宮市の「ドゥカティ兵庫」は、広々とした店内が魅力。アパレルやグッズのラインナップも豊富だ。ストアマネージャーの倉岡さんはバナー歴15年のベテラン。京阪神エリアにしばらくドゥカティストアがなかったため、様々なお客様が訪れるという。
倉岡さん:「ハイブランドストアのあるべき姿を代表の兼田にしっかり叩き込まれています。だからこそディーラー・オブ・ザ・イヤーが2年連続で取れました。バナーで買って良かったと思っていただくため、バイクショップがスタンダードでなかった部分をスタンダードにしてきました。ディーラー・オブ・ザ・イヤーは、お客様の声がドゥカティジャパンやイタリア本社に届いてのことだからこそ、やはり嬉しいですね。
ドゥカティディーラーは敷居が高く見えるかもしれませんが、まずはウエアやグッズを見にくるだけでも良いのでお越しください。そしてドゥカティの世界観という非日常をぜひショップで感じてみて欲しいです。ドゥカティは他メーカーにはない、新しいことに挑戦し続けているメーカーです。常にワクワクさせてくれるバイクを作っているので、その魅力をお客様へお届けしたいです。ただ物を売るだけに留まりません。こと売り、ステイタスを売ることを意識してます。イベントや走行会、ツーリングや忘年会など、お客様には存分に楽しんでいただくコンテンツを用意しています。
兼田代表がドゥカティに陶酔し、スタッフ全員が同じ方向を目指している。ドゥカティが作り出す世界観をさらにハイエンドにしようとするこの共通の思いこそが、2年連続でディーラー・オブ・ザ・イヤーを獲った秘訣といえる。

ドゥカティ兵庫のスタッフ。ストアマネージャーの倉岡さんを始め、スタッフ頼りに気軽に訪れてみよう。
筆者は前職で「ドゥカティマガジン」や「ライダースクラブ」といった雑誌の編集長を経験しており、兼田代表とのお付き合いはその時から約20年となる。ドゥカティ大阪サウスをオープンしたのは、2006年11月。そして初めてドゥカティが売れたのは2007年の4月だったという。“ほんまに誰も来なかったわ”と、兼田代表は笑って話されていたが、そこから少しずつ口コミでショップの評判を広めていった。
その頃、兼田代表と会うのは岡山や鈴鹿のサーキット会場。鈴鹿8耐ではチェッカー後に感動して泣いている姿、そして悔し泣きしている姿を何回も見てきた。一緒に泣いたこともある。人間味に溢れる魅力的な人なのである。そんなレーシングライダーとしての顔を持つ一方で、経営者でもある兼田代表は事業をどんどん拡大していった。ドゥカティ大阪イーストをオープンさせた時も当時としては、あまりにも巨大なショップを見て「大丈夫か?」という声もあった。しかしすぐに日本一、スーパーバイクを販売するドゥカティショップとなり、2023年と2024年には2年連続で「ディーラー・オブ・ザ・イヤー」を獲得した。僕の心配には及ばなかったのだ。
直近でも兼田代表と会うのは、もっぱらイベント会場だ。今年、タイで開催されたDRE(ドゥカティ・ライディング・エクスペリエンス)では、インストラクターをぶっちぎり、直後にMotoGPのテストライダー、ミケーレ・ピッロの先導をゲット。日本からインストラクターとして参加した元GPライダーでチャンピオンの原田哲也さんも“DREは兼田さんが一番楽しんでたね。いやホントに。”と、唸るほどだった。「レースのイメージはなるべく隠して」と言いつつも、兼田代表は、とにかくドゥカティで走ることが大好きなのである。また鈴鹿8耐を走っている姿を見てみたいと、この取材を通じて思った。
ショップインフォメーション

ドゥカティ大阪イースト
スクランブラーキャンプ大阪
ドゥカティ兵庫
〒577-0011
大阪府東大阪市荒本北3丁目2番9号
電話:06-6747-0087
営業時間:10:00~18:30
定休日:火曜日、第1・第3水曜日 (祝日は営業)
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代表自らが走り、そして遊んでドゥカティに乗る楽しさや魅力を伝える