株式会社IMPALA KTM神戸イースト/ハスクバーナ神戸イースト/WP神戸イースト
特集記事

KTMと共に成長して20年、全国に轟く独自セットアップの名店

掲載日:2023/07/31

世界中でファンを増やし続け、日本でも年々オーナーが増えているKTMとハスクバーナ。
兵庫県には2003年の創業以来、KTMと共に歩んできた正規ディーラーがある。『KTM神戸イースト/ハスクバーナ神戸イースト』である。同店はWPサスペンション専門のプロショップ『WP神戸イースト』という顔も持ち、お客様一人ひとりに合った最適なサスペンションのセットアップで評判を集めている。そんな高度な技術だけでなく、スタッフの温かい人柄や接客、居心地の良い店舗が魅力の『KTM神戸イースト/ハスクバーナ神戸イースト/WP神戸イースト』を紹介していこう。

KTM神戸イースト/ハスクバーナ神戸イースト/WP神戸イーストとは

「ワクワクと余裕の空間でKTMとハスクバーナの車両をゆったり見られる」

兵庫県尼崎市の国道171号線から見える『KTM神戸イースト/ハスクバーナ神戸イースト/WP神戸イースト』。2022年8月に移転開設された店舗は銀色の壁とガラス張りの外観で、まるでアパレルのセレクトショップのようだ。国道側から見ると少々小さめなショップのように思えるが入口側では一転、広い建物と敷地と多数の試乗車が迎えてくれ、そのギャップに驚く。

国道171号線から見た店舗は瀟洒(しょうしゃ)でコンパクトな印象。1993年創業当時の屋号「IMPALA」の文字が銀色に輝く。 正面の店舗入口側に回るとダイナミックな印象に変わる。このギャップも店舗設計の狙いどおりとのこと。

白を基調とする店内に入ると、爽やかなアロマが微かに香り観葉植物が置かれ、明るく清潔感に溢れている。外観だけでなく店内もアパレルショップを思わせる雰囲気で、どことなくアメリカ西海岸のような雰囲気も感じる。ゆとりのある空間には整然と余裕を持って最新ラインナップが展示されており、高揚感と心地よさが同居した空間だ。

取材時はKTMの車両が18台、ハスクバーナの車両が7台展示されていた。見応え十分な上に車両と車両との間にもゆとりがあり、様々な角度から気になる車両を観察できるのが嬉しい。プライスプレートの脚が、サススプリングになっているのも特徴的。WPサスペンションプロショップである同店ならではのオブジェだ。茶目っ気とユーモアを感じ、思わずニヤリとしてしまう。

バイクがギッシリと詰められたショップを多く目にするが、様々な角度からバイクを見るには断然こっちの方が良い。店内には自社開発のオリジナルパーツやそれを組み込んだ試乗車も用意されている。乗り手に合わせたトータルでのセットアップに定評のある同店では、サスセッティングをはじめ、足着き性やライディングポジションをライダーの体格や乗り方に合わせて最適化してくれる。これも車両の性能を引き出し「ライダーに楽しんでもらう」ことが目的だ。それにしても店に入るだけでワクワクする。こんなバイクショップは中々ない。後に「全部計算ずくです」と代表の山鹿さんから聞かされるのだが、このワクワク感はどこかKTMというブランドにも通じている気がする。


オフロードでトップに立ち、オンでも絶好調なKTMとハスクバーナ

KTMはオーストリアで1953年に創業した後、オフロードのトップメーカーとして君臨。1990年代中盤からオンロードにも注力し、2004年には世界GP125ccクラスで年間タイトルを獲得したほか、近年は二輪ロードレースの最高峰モトGPでも好成績を挙げている。そしてハスクバーナモーターサイクルはスエーデンで1903年創業、KTMと同じく1950年代からオフロードレースで活躍してきた名門ブランドである。2013年からKTMモーターサイクルズAGの傘下となり、設計デザインをハスクバーナモーターサイクルズのスタッが行い個性的なデザインと独自の味付けで、ブランドの棲み分けを図っている。
 KTMのモノづくりは、ブランドスローガンの「READY TO RACE」に表されている。レースで鍛え上げた技術を市販車に注ぎ込み、不必要なデザインや機構は徹底的に排除。PURE(純粋に)、ADVENTURE(冒険的で)、EXTREME(極限の)、PERFORMANCE(性能)という4つの哲学に当てはまる製品のみを提供している。KTMのモデル群は、いずれライダーがレースに参戦する時を見据えたものではあるが、究極のところレースに限らず日常から「ライダーを楽しませること」が主眼に置かれている。そしてKTM神戸イーストもKTMと“同じ方向”を向いていると思えるのだ。

カウンターの背後にはブランドスローガンの「READY TO RACE」が描かれる。代表の山鹿さんに似せた粘土人形も必見(お客様からのプレゼント)

おもてなしの空間に充実したラインナップが揃う!

さらに詳しく店内を見ていこう。取材時には店内にKTMとハスクバーナの車両が、床材の色で区切られた同じ空間に展示されていた。日本法人のKTMジャパンおよびハスクバーナモーターサイクルズジャパンのCI(コーポレートアイディンティ)によれば、KTMとハスクの展示は間仕切りなどでしっかり分けるのがルールとなっているのだが、同店では空間を広く見せる目的で、日本法人と相談のうえ現在の仕様としている。

KTMフロアの床は黒、ハスクバーナフロアは白で区別して広がりのある空間に。部分的な窓ガラスとすることで、日差しや外気の影響を抑えつつ明るい店内としている。ショールーム奥の窓際には適度に日射しが差し込む開放感のある商談スペースを設置。それぞれブランドで椅子座面の色を変えている拘りようだ。

各ブランドの壁際には純正アクセサリーをはじめ、ライディングウエア、アパレル、キャップ、キーホルダーなどの小物類まで、数多くの商品が陳列されていた。ここまで充実した同ブランドの品揃えは、筆者もお目に掛かったことがない。いずれの製品もセンス良く、街着や普段着としても使えるのも良い。

純正アクセサリーに加え、ウェアや小物類も豊富。アパレルは普段着として使用してもおしゃれなデザインで、KTMはアクティブ、ハスクバーナはシックなイメージだ。

ショールーム入口から左手にはサスペンションプロショップ『WP神戸イースト』のスペースがある。他メーカーのユーザーも入りやすいようWP専用ドアを設置。代表の山鹿さんは以前からサスセッティングやカスタムを行ってきたが、2003年にWPのメンテナンスライセンスを取得して、現在も全国のユーザーから依頼が絶えない。
その左にあるのがピットだ。ショールームと同様、清潔で広い空間には埋設式のリフトとリールを各3機用意。山鹿さん自身も整備を行い、システマチックに効率性を追求している。冷暖房を完備するとともに排気ガスダクトホースを設置したことで、季節を通してピット内のエンジン始動が出来るのもこだわりで、作業しやすい環境といえる。外階段から2階に上がるとパラソルとチェアが置かれたテラス席もある。

WPサスペンションを展示するほか、作業様子を見られるガラス張りのサスペンション専用整備ルームを完備。クリーンルームとしても機能している。

倉庫にはサス関連パーツの在庫を潤沢に用意。サススプリングやオリジナルパーツがストックされており、その出番を待っている。

2Fには、ご来店のお客様にくつろいでもらう歓談スペースを用意。この場所は今後バーベキューなど、お客様との交流イベントにも使用したいとのこと。

KTM神戸イースト/ハスクバーナ神戸イースト/WP神戸イースト:山鹿代表インタビュー

「困っているライダーを助けたかった」今も昔も、それが原点

建物や設備の良さを紹介してきたが、同店の最大の魅力はスタッフという「人」に他ならないだろう。取り扱う車両を熟知しているのはもちろんのこと、明るく丁寧で親身になって話を聞いてくれ、お客様が納得されるまできちんと説明をしてくれる。とにかくバイクとライダーが好きという、気持ちが伝わってくるのだ。そんな輪の中心にいるのが、代表の山鹿延也さんである。1962年生まれの山鹿さんは、10代から二輪の量販店に勤務。オンオフ問わず様々なレースに参戦する生粋のライダーで、自らも整備やセットアップを行ってきた。そして1993年(31歳)に独立し、メンテナンスショップ『インパラ』を立ち上げた。代表インタビューでは、現在に至るまでの経緯や山鹿さんの思い描くショップ未来像など様々なお話を聞かせて頂いた。

KTM神戸イースト/ハスクバーナ神戸イースト/WP神戸イースト代表 山鹿延也氏

メンテナンスショップ『インパラ』を創業した理由は、困っているライダーが沢山いたからです。当時はメーカーや車種を問わず、無茶なカスタムできちんと走らないバイクが流通しており、それを高値で購入してしまったユーザーも多かったんです。そんな状況をなんとかしたいと思い、調子の悪い車両を修理したり、乗り方に合った仕様にカスタムしたりすることで、お客様から評価していただいていました。
 2002年8月に日本法人のKTMジャパンが設立した当初は、車両を販売するディーラーになるつもりはありませんでした。しかし、インパラ時代からお客様のKTMに触れてきたことや海外のショーでコンセプトモデルのRC8というバイクのデザインに一目ぼれし、こんなバイクを作るメーカーならやってみたい、多くの人に知ってもらいたいと思い2003年にディーラー契約を結びました。私自身も950アドベンチャーを購入してエンジンを何度もバラして、整備性の良さと強靭な機構を再確認しました。
様々なメーカーのバイクを見てきましたが、KTMの圧倒的な特徴は軽いことですね。他にフレーム裏側に配線やホース類をスッキリ止める為の小さなステーがあったり見えない部分へのこだわりもすごい、オフロードモデルのフュエルタンクがボルト3本、シートは1本で外せる整備性の良さなどに感心しています。ディーラー契約後にKTMを主軸にしていく決め手となったのが、2005年に登場した990スーパーデュークの存在でした。軽さは950アドベンチャーで体験していましたが、990スーパーデュークはエンジンまで凄かった!スロットルとクランクが直結したようにシャープで力強く、チューニングしたエンジンに近いフィーリング。「このメーカーどこまでやんねん」と感動しましたね。その後、ハスクバーナがKTM傘下となり、2018年にハスクバーナともディーラー契約を締結しました。2022年8月にリニューアルオープンして現在の店舗となり、KTM正規ディーラーとしてちょうど20周年にあたります。当初はKTMよりハスクバーナやフサベルの方が名が知られていましたが、魅力的なモデルが数多くリリースされたことに加え、ダカールラリーの連覇やモトGPでの活躍なども影響し、今では知名度が上がり若者からの人気も高いです。

KTMのレーサー、EXCでリヤタイヤの脱着を実演してくれた山鹿さん。ノーマルでもたった15秒で脱着していた。公道モデルはこれほどまでに合理性を追求していないものの、同様の機構と思想に基づいて設計されている。こうした割り切りも山鹿さんが惚れ込んだKTMの魅力だと言う。

体格と乗り方に合わせ、より楽しめる仕様にセッティングする

同店の大きな特徴として前述したとおり、ライダーに合わせたセットアップが挙げられる。KTM/ハスクバーナは平均身長175cm、体重75~85kgという欧州のライダーを想定して開発されている。そのためシートは高めで、日本人などアジア系には足着きが厳しい。そこで山鹿さんが提唱するのが独自の「ローシャーシ」だ。いわゆるローダウンとは違い、単純にサススプリングをカットして車高を下げるのではなく、サスペンションの構造から見直し、ショートストローク加工や短いエンドアイに組み替えることで足着き性を改善。さらに前後サスのスプリングレートも見直し、シート、ハンドルもライダーに合わせて最適化する。そのため、KTM/ハスクバーナの軽快なハンドリングを損なうことがない。セットアップに関しては、驚いたことにロードサーキットやモトクロスコースに出向いてお客の走りをチェックし、スキルやセクションごとの走りからセッティングを導き出す場合もあるという。「困っているライダーのバイクを楽しめるようにしたいんです」と山鹿さん。その原点はインパラ創業時と何ひとつとして変わらない。

同店が開発したオリジナルパーツは多数。独自の長さ、硬さ、色に変更したスプリング(ノーデン901)、イニシャルを変更できるカラー、リヤサスのフックレンチ式プリロード調整を六角レンチで可能にするキット(右390ADVほか)を用意。

車種に応じたカスタムシートも開発。レース用シート制作で有名な野口装美との共同開発で独自のスポンジと角を落とした設計を実現し、足着きを改善しつつ快適性も向上する(左の2つはKTM純正)。下段にはハンドルポジション調整キット、ソフトスプリング、ショートエンドアイも展示する。

車両はハスクバーナのスヴァルトピレン250のノーマル状態。身長155cmのライダーだと両足が浮き、サポートがないと倒れてしまう状態。同店の独自のローシャーシ加工を施した車両では楽々と両足が接地している。この加工は前後サスを一度分解し、ローシャーシ用パーツを組み込み、シート高を50mmダウン。それでいて運動性能を損なわない仕様となる。

店頭には試乗車を10台ほど用意。約半数が独自のローシャーシ仕様で、興味を持ったらすぐに乗り味を試せるのがありがたい。

お客様目線で一人ひとり丁寧に向き合う

さらに山鹿さんがスタッフに徹底しているのが常にお客様目線でいること。「自分も心がけていることですが、お客さん目線で見ると色々なアイデアが出てきます。それにセットアップは説明が難しいので、ショップ側がお客さんにあまり説明せず引き渡してしまうケースがよくあります。でも、きちんと納得してもらうことが重要。難しい専門用語を使うのではなく、お客さんに合った言葉で伝えるようにスタッフには常に言っています」。事実、山鹿さんの話は実に分かりやすい。多少バイクをかじった程度の筆者と山鹿さんとでは知識と経験のレベル差は明らかだが、時に笑いを交えながら噛み砕いて話してくれる。さらに我々取材チームに対応してくれたスタッフの皆さんも丁寧に接してくれた。お客様の目線で一人ひとりに向き合うことは商売の基本とも言えるが、バイクショップに限らず、中々実践できるものではない。同店が評判になるのも自然なことで、メンテナンスや修理に関しても高く評価されている。山鹿さんはテクニシャンのスタッフに「故障の場合すぐ診断機を通すのではなく、まず基本的なことを点検しよう」と指導している。「例えばプラグがかぶっているだけなのに、診断機だけを頼ると勝手に燃調を補正してしまうといった事態が起きます。人間に置き換えれば患者さんが“咳が出ている”と言っているのに、医者が何も聞かずに咳止めを出すようなもの。咳は止まるかもしれませんが、いつから咳が出ているのか、熱はあるのかといった状況を無視しているのと同じで、根本的な原因解決にはなりません」

セールス担当の折田さん。常に笑顔を絶やさず、お客様に寄り添った接客が印象的だった。巧みな接客で思わずアパレルを買ってしまいそうに!?
テクニシャンの丸山さん。代表の山鹿さん譲りの「基本」を大事にした整備と丁寧な作業が自慢。

KTM神戸イースト/ハスクバーナ神戸イースト/WP神戸イーストのスタッフ一同。前列(左)から事務スタッフのリオさん、(中)代表兼テクニシャンの山鹿さん、(右)セールスの折田さん。後列(左)からセールスの野田さん、(中)テクニシャンの丸山さんと(右)テクニシャンの和也さん(代表の右腕)

編集部コメント

信頼できる「人」がいる店は、2大ブランドと共により勢いを増す!

 バイクは買っただけでは終わらない。必ず日々のメンテナンスが必要で、時には不具合も起きる。長く車両と付き合っていくためには、自分の体や使い方に合わせたセットアップも必要だろう。「自分の命を預ける乗り物」だからこそ信頼でき、愛車を任せられる「人」と出会えるかどうかは、良いバイクライフを送るために最も大切なことのひとつだと思う。
今回の取材を終えて、筆者は同ブランドのバイクを購入するならば、『KTM神戸イースト/ハスクバーナ神戸イースト/WP神戸イースト』にお願いしたいと思うようになった。山鹿さんの「バイクは人から買うもの」という言葉が、特に重く心に響いたからだ。

 洒落た雰囲気の店舗にちょっと身構えてしまう人もいるかもしれないが、スタッフはみな人情味にあふれ親しみやすく、ボルト一本の注文からでも親身に相談に乗ってくれる。近くにあったら用事もないのに顔を出してしまいたくなるほどだ。KTMとハスクバーナ、WPサスペンションに興味が涌いた方や、愛車のセッティングに不満があったりするライダーは、迷わずに足を運んでみてほしい。ブランドに対する情熱と自らのショップへの自信、バイクにもお客様にも真摯に向き合う姿勢にライダーも自然と惹き付けられるだろう。

 「50年後、100年後にもKTM/ハスクバーナとインパラの名を残したい」と山鹿さんは目標を語る。お客様からは「イーストがあるんだから“ウエスト”はいつなんですか?(笑)」といったことをよく聞かれるそうだ。フレッシュで元気なKTMとクールだけど中身は熱いハスクバーナ。勢いのある両メーカーと共に歩み、お客様からの評判も高い同店だけに“ウエスト”が実現する日もそう遠くないかもしれない。

ショップインフォメーション

株式会社IMPALA KTM KOBE EAST / HUSQVARNA KOBE EAST

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