独創的なエレガントさを持ち合わせるミドルイージークルーザー【ロイヤルエンフィールド スーパーメテオ650】

ロイヤルエンフィールドのフラッグシップクルーザーとなる「スーパーメテオ650」は、大人気機種であるスーパーメテオ350の兄貴分。350ccシリーズからのステップアップはもちろん、スタイルやファッションだけでなくクルーザーで走りを楽しみたいライダーにもオススメ。ただただ真っ直ぐの道を行くのは気持ちよく、さらにコーナーを駆け抜けるときのライダーとの一体感が抜群なのです。

アメリカ製クルーザーにはない独自パッケージを楽しもう!

「メテオ」には「流星」という意味があります。その車名の通り、輝かしく、さらにクルーザーでありつつスピード感のあるモデルとして、まずは350シリーズが世界中でヒット。そして2022年のミラノショーで発表されたのが、今回試乗するスーパーメテオ650です。

コンチネンタルGT650INT650で定評のある648ccの空冷パラレルツインエンジンを、ハリスパフォーマンスが開発に携わった専用フレームに搭載。ディメンションやポジションをクルーザー用に最適化することで、実に気持ちの良い乗り味を実現しているのです。

僕は2023年にインドで開催された試乗会にも参加。さらに同年に日本で行われた試乗会にも参加。これまでに様々なシーンでスーパーメテオ650を楽しんできましたが、今回改めて試乗して感じたのは、スーパーメテオ650が日本の交通&道路状況にとてもマッチすることです。日本での速度域や使い勝手がスーパーメテオ650の感性にフィットし、いつまでも走り続けたい気持ちにさせてくれました。

ルックスもアメリカ製クルーザーとは異なるエレガントな雰囲気。欧州とインドの血筋が混ざり合った、独創的なリッチ感があります。どこかクラシカルな雰囲気やヴィンテージ感があるものの、何かをオマージュしているわけではなく、歴史を感じさせつつ現代にふさわしい本物らしさがそう感じさせるのです。

丁寧に作り込まれたディテールはクオリティが高く、足まわりもバランスを重視したパーツをチョイス。これなら様々な用途はもちろん、ファッションも楽しませてくれることでしょう。

さらに今回試乗するスタンダードは新車価格が100万円を切る97万9000円〜、スクリーンやツーリングシートを採用するツアラーも103万9500円(2025年2月現在)と価格もとても魅力です。

これはホンダのレブル500よりも少しだけ高い価格ですが、各部のクオリティ、特にメッキパーツを多用したディテールはとても魅力的に映ります。国産の250〜400ccユーザーの方が初めての外車に選ぶのも良いと思います。

見た目はどこかクラシカルですが、現代に求められるクオリティが与えられているのがスーパーメテオ650の特徴です。ちなみにロイヤルエンフィールドの新車は全車3年保証があります。

 

実用性の高いクルーザーを具現化するためにエンジンとシャシーをどこまでも作り込んでいます。その雰囲気は知的でスタイリッシュさを感じさせます。

クラシカルさとモダンさがバランスしたスーパーメテオ650は、日本の様々な景色に馴染み、存在感も主張します。

 

コーナーも楽しい、ミドルスポーツクルーザー

走り出すと定評のある空冷ツインエンジンは低回転域で重厚感をアピールし、高回転ではなんともいえない浮遊感を味わわせてくれます。カフェレーサースタイルのコンチネンタルGT650やブリティッシュネイキッドのINT650とはまた異なる表情が魅力的です。あまりの調律の良さと完成度の高さは、すぐに身体を委ねたい気持ちにさせてくれ、どこまでも走り続けたくなります。

エンジンの声を聞く」。バイクに乗りながらそんなことに意識を傾けられるのがこのエンジンであり、スーパーメテオ650なのです。スロットルを開けると648ccとは思えないトルクが重々しく身体に響き、それがやがて脳に伝わり、全身になんともいえない心地よい共鳴をもたらすのです

ポジションは足を前に投げ出すクルーザースタイル。ただ意外なのは着座位置がそれほど低くないことです。「ロー&ロング」、クルーザーにそんな印象を持っている方は多いと思いますが、スーパーメテオ650はそれほどローではありません。これは、スーパーメテオ650がクルーザーでありながら「ハンドリング=スポーツ性」を妥協していない証ともいえます。

身長165cm、体重68kgの筆者(小川勤)がスーパーメテオ650に跨った際のポジション。僕の体格だと少しステップが前にありすぎる感じもします。

身長165cm、体重68kgの筆者(小川勤)がシート高805mmのスーパーメテオ650に跨った足つき。つま先で支える形になりますが、不安はありません。

エンジンは648ccの空冷パラレルツイン。270度クランクの不等間隔爆発で、最大出力は47ps。コンチネンタルGT650やINT650よりもローギヤード化し、エアボックを拡大しています。

このエンジンは細部までしっかりとディテールのデザインも追求しています。

緩やかな曲線をつなげてデザインされているのが特徴。さらに車体の中でエンジンが存在感を主張するのもロイヤルエンフィールドの大きな特徴です。

車格は648ccのバイクとしては大柄ですが、それがとても良い佇まいに直結しているのです。

サイドカバー部分のフレームの丸みがスーパーメテオ650の一つの特徴になっています。

メーターはアナログタイプ。右側の小さなメーターはスマホ専用アプリと同期させて使う簡易ナビのトリッパーです。

燃料タンクの容量は15.7リットルを確保しています。

長距離でも疲労感の少ないシート。ツアラーはシーシーバー付きのツーリングシートが標準装備されます。

連続するワインディングも得意な意外な一面を披露

峠に入るとスーパーメテオ650はスポーツクルーザーに変身します。コーナリングをこなすというよりはコーナーリングが得意なイメージで、次々と現れるカーブをリズム良くクリアしていきます。

少し専門的にいうとバイクはコーナーで向きを変える際に前輪がステアするのですが、その動きに緩慢さがないのです。クルーザーというと想像より前輪が大回りしたり、タイトなコーナーリングが苦手だったりしますが、スーパーメテオ650はどこまでも軽快です

バンク角は多くないので、たまにステップを擦ってしまいますが、コーナーを十分楽しむことができます。ライダーの操作に対する応答性の良さは、フレーム制作の名門であるハリスパフォーマンスの力を感じることのできるディテールのひとつでしょう。

良いエンジンと良いフレームのタッグが走りを盛り上げます。スロットルを開けた際の車体の反応もよく、さらにシフトタッチが良いのも大切な要素。全てのシーンで思い通りのタイミングで車体から反応があり、クルーザーでありながら高いスポーツ性を持っているのです。

高速道路での巡行も快適です。80km/hでトコトコ走るのもいいし、そこから120km/hまでもあっという間に加速。どの速度域でも安定感が際立ちます。峠でのクイックな感じを忘れてしまうほどに高い直進安定性を提供してくれます。

ただ、高速道路で一気に距離を稼ぎたい方はスクリーン付きのツアラーをオススメします。インドの国際試乗会ではスタンダードとツアラーを2日間かけて乗り比べましたが、ツアラーは高速道路で風圧をもろともせず力強く突き進むため、ライダーの疲労度が全然違うのです。

スーパーメテオ650は、時代や世代、キャリアやファッションなど様々なことの垣根を飛び超えて登場してきたクルーザーです。そしてその車体構成が現代のバイクとしては極めてシンプルなことも特徴です。シンプルにしつつ、バイクの楽しさをしっかり追求するのが近年のロイヤルエンフィールドの上手さ。まさにタイムレスな存在として多くのライダーを楽しませてくれることでしょう。

大径フロントタイヤがクルーザーらしいスタイルを実現。エンジンから伸びるメッキのエキゾーストパイプが美しい。

灯火類、マフラーエンド、ミラーが丸いデザインで統一され、それがどこか優しい雰囲気を醸します。

空冷エンジンが生み出すシンプルな車体構成。タイヤはインドのシアット製を装着。ハンドリングもグリップ感もと良好です。

ブレーキはバイブレ製。フロントフォークはショーワ製の倒立。ビッグピストンタイプでコストのかかった作りとなっています。

リヤサスもショーワ製。日本車よりもバネレートも減衰力も高めで、それがスポーティな走りを支えます。

タンクのエンブレムも高級感のあるつくり。

フェンダーはスチール製。これも重厚感のあるディテールに貢献しています。

マフラーは左右出しのメッキタイプ。鼓動感のあるエキゾーストノートを奏で、スロットルを開ける楽しさを教えてくれます。

スイッチは質感にこだわったアルミ製を採用しています。

鍵で開けることのできるサイドカバーの内側にUSB電源を装備しています。

この佇まいの良さもスーパーメテオ650の魅力です。

スーパーメテオ650は2モデル、5カラーを展開

スーパーメテオ650は、今回試乗したスタンダードとシーシーバー付きツーリングシートと大型スクリーンを装備するツアラーの2モデルをラインナップしています。

スーパーメテオ650スタンダード/セレスティアル・ブルー/103万9500円

スーパーメテオ650の基本スペックをチェック!

ROYAL ENFIELD SUPER METEOR650 [2025]主要諸元
車重:241kg(244kg)
エンジン:空冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒648cc
最高出力:47PS/7250rpm
最大トルク:52.3Nm/5650rpm
燃料タンク容量:15.7L
変速機:6速リターン
ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
タイヤ:F=100/90-19、R=150/80 B16
シート高:740mm
価格:97万9000〜103万9500円
※()内はツアラー



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