アニメ映画『AKIRA』をリスペクト!クルーザー&ネイキッドの世界に新風を吹き込む【ロイヤルエンフィールド ショットガン650】
写真:長谷川徹

ロイヤルエンフィールドのフラッグシップクルーザーである「スーパーメテオ650」から派生した全く新しいバイクが「ショットガン650」だ。漫画や映画から飛び出してきたかのような、痛快かつ愉快なデザインと走りが新しい!

バイク好きの心をくすぐる、ワクワクするスタイリング

ショットガン650の佇まいは、新しさに溢れています。様々な国のカルチャーが詰め込まれていることやクルーザーとネイキッドのハーフ的な佇まいがそう感じさせるのかもしれません。バイクへの憧れや乗り始めたきっかけが、漫画や映画、車名はわからないけど思い出に残るカッコいい佇まいのバイクといった方は多いと思います。ショットガン650は、そんなバイク好きの琴線に触れるキーワードを集めて制作。それが新しさや楽しさ、独特のカッコよさを感じさせるのです。

ショットガンのアイデアは、アニメ映画『AKIRA』に登場する金田のライバルである暴走族クラウンのバイクからきています。ロイヤルエンフィールドのデザイナーであるエイドリアン・セラーズさんは、子供の頃に熱狂した漫画や映画をイメージし、実際にショットガン650をイメージした漫画イラストをたくさん描いたといいます。

意外なつながりで日本カルチャーの強さを改めて知り、そのクリエイティブの派生に触れられるのはとても嬉しいこと。ショットガン650のどこか未来っぽいテイストや、空冷エンジンが放つメカメカしいスタイルが不思議な文化の交流を感じさせてくれると同時に、バイク好きの心をくすぐるのです。

ショットガン650のベースはクルーザーのスーパーメテオ650です。スタイリングと足回りを大幅に変更しています。前後サスペンションは全長とストロークを伸ばし、ホイールはスーパーメテオ650の前19/後16インチから前18/後17インチに変更。また、ホイールやサスペンションの変更に合わせフロントのオフセット量を減らし、きちんとトレール量を確保。このあたりのスペックからも走りに妥協していないのがよくわかります。

その走りはクルーザーがベースとは思えないほどの爽快さに溢れていたのです。

前後サスペンションだけでなく、リヤホイールの取り付け位置をスーパーメテオ650よりも前方に移動することでホイールベースも短縮。写真はシングルシート仕様ですが、もちろんダブルシートを装着した2人乗り登録も可能です。

スタイリングの要となる燃料タンクは、スーパーメテオよりハイトを抑えることでスタイリッシュに。サイドカバーやリヤフェンダーもショットガン専用デザインです。

何かをオマージュするのでなく、全く新しいスタイルとカテゴリーを生み出したショットガン650。

車名は映画『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』でのショットガンを放つシーンが由来。ツインエンジンとツインサイレンサーは、ダブルバレルショットガンをイメージしています。

エイドリアンさんは、憧れた漫画や映画から抜け出したようなバイクを目指し、ショットガン製作前にたくさんのイラストを描いたそうです。

アウトロー、未来的、そしてメカメカしさを持っていることが漫画に出てくるバイクの特徴なのかもしれません。

ネイキッドやクルーザーを潮流に持つ、新たなスタイル&カテゴリー

ロイヤルエンフィールドの650シリーズには様々なモデルが用意されていますが、ショットガン650ほど個性のあるモデルはないかもしれません。見るほどに、走るほどにそう感じさせてくれます

エンジンは定評のある648cc空冷パラレルツイン。車体デザインの中でも特別な存在感があり、エンジンそのものがカッコいいことも特徴でしょう。スロットルを開けると車体が理想的な反応を見せ、これだけで良いシャシーに良いエンジンを搭載していることが伝わってきます。

270度クランクが生み出す不等間隔爆発の鼓動感はどこかクラシカルな一方で、その加速フィーリングはとても伸びやかで速さも感じさせてくれます。スロットルの開け方、またはライダーの感じ方でテイスティにもスポーティにも感じることのできる不思議なキャラクターです。

ポジションはネイキッド的。スーパーメテオ650は足を前に投げ出すフォワードステップで好みが別れますが、ショットガン650はどちらかというと普遍的なネイキッドスタイル。簡単に馴染むことができます。

スーパーメテオ650よりも走りに振った足まわりとディメンションが軽快な走りを約束してくれます。

身長165cm、体重68kgの筆者(小川勤)がショットガン650に跨った状態。どこにも無理のないリラックスしたポジションを約束してくれます。

身長165cm、体重68kgの筆者(小川勤)がシート高795mmのショットガン650に跨った足つき。通常時は片足で支えた方が、安心感があります。

47psを発揮するエンジンは648ccの空冷パラレルツイン。シリンダーとシリンダーヘッドに空冷エンジンらしいフィンを刻み、クランクケースは迫力のあるデザイン。

ヘッドライトナセルは金属製。フロントフォークのトリプルツリーは斜めにカットしてフロントマスクとのラインを大切にしています。こだわりのディテールが所有欲をさらにくすぐります。

地面とほぼ水平となるタンク下側のラインが、バイクをシャープに見せてくれます。タンクの前部分は丸みを大切にしつつ、膝の当たる部分はシャープにして、ライダーとのフィット感を向上させています。

オーナーのセンスで様々なバイクライフにフィット!

どこか未来的なスタイルは、様々な景色に溶け込みます。カラーバリエーションも豊富で、多彩なファッションを楽しませてくれるでしょう。ただ、驚くのは意外なほどのスポーツ性です。ショットガン650の優れた運動性を、キャリアのあるライダーなら走り出してすぐに察することができるでしょう。

足まわりをきちんと追求したショットガン650は、いわゆるネイキッドスポーツ的なコーナリングを披露。スーパーメテオ650もコーナーが得意なクルーザーですが、ショットガン650はさらに軽々とリズミカルにコーナーをクリアします。

前後サスペンションはとてもコシのある動き。国産車のような初期のソフトさはありませんが、それがシャープなハンドリングを実現。ライダーの操作にレスポンスよく応えてくれ、それが清々しさや奥ゆかしさを感じさせてくれます。その魅力的なハンドリングは、思わず連続するコーナーに没頭してしまうほどです。

ブレーキのタッチも優しくコントローラブル。走りを支えるパーツに特別高価なものはありませんがディメンションとバランスがよく、しっかりと走りの楽しさを追求してきたのがわかるのです。走るほどにバイク好きが作ったバイクであることが伝わってきます

市街地では高いギヤ、低い回転でも粘り強い走りを見せ、高速道路の長距離巡行ではクルーザー的な一面も披露。直進安定性は抜群で、風圧さえ我慢すれば120km/h巡行も余裕でこなします

ショットガン650の美点は加速の質にあります。スロットル操作がエンジンとの対話になり、走るほどに心が繋がるような感覚があります。そして時には驚くほどの加速やスポーツ性を見せる一方で、人を和ませる独特の優しさを持ち合わせているのです。

過激にも穏やかにも変身し、ライダーにフィット。メーター越しに見る風景は、クルーザー、ボバー、ネイキッド的であり、そこはライダーの自由な感性で捉えるのが良いのだと思います。確かなのはそこに広がる風景がかつて感じたことのない新しい世界観であり、常に新鮮な気分を味わわせてくれることなのです。

ショットガン650はシングルシート仕様もとてもよく似合います。

エンジンやマフラーはブラックアウトされ、これがスーパーメテオ650とは全く異なる雰囲気を生み出します。

ホイールサイズはスーパーメテオ650の前19/後16インチから前18/後17インチに変更。腰高&前下がりにすることでスポーツ性を向上させています。

空冷エンジンならではのシンプルな車体構成。センタースタンドを装備しているため、メンテナンス性にも優れます。

視認性の高いスピードメーターに簡易ナビのトリッパーも装備しています。トリッパー使用時のスマホ充電に役立つUSB電源はサイドカバー内に装備しています。

フロントブレーキはシングルディスク。キャリパーはバイブレ製。フロントフォークはショーワ製ビッグピストンタイプの倒立で、スポーティな設定が施されています。

リヤサスもショーワ製。フロント同様、スポーティな味付けが特徴です。

シートはコシのある作りで、長距離でも疲れにくい設定になっています。

2本出しのマフラーはバンク角を確保するため、若干アップタイプになっています。

ショットガン650は4カラーを用意

ショットガン650の基本スペックをチェック!

ROYAL ENFIELD SHOTGUN650 [2025]主要諸元
車重:240kg
エンジン:空冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒648cc
最高出力:47PS/7250rpm
最大トルク:52.3Nm/5650rpm
燃料タンク容量:13.8L
変速機:6速リターン
ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
タイヤ:F=100/90-18、R=150/70 R17
シート高:795mm
価格:97万4600〜101万5300円



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