雪がない路面でも注意!愛車がサビだらけになる「塩カル」ってなんだ!?【教えて!バイクの暗黙のルールQ&A その5】

【文:沼尾 宏明】

冬のライディング中、白い粉が撒かれた道路を見たことありませんか? この「塩カル」は路面凍結を防止するための薬剤
滑りやすく、アッという間にバイクがサビだらけになってしまいます。寒くても走りたい人は、本格的な冬の前に塩カルへの対処法を学んでおきましょう!

「塩水」でたちどころに金属部分がサビてしまいます!

冬に積雪や路面凍結が起きる地域では、雪を融かしたり凍結を防ぐ薬剤が撒かれるケースがあります。「融雪剤」や「凍結防止剤」と呼ばれ、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムなどが主成分となっています。そのため、通称「塩カル」と言われます(決して“塩カルビ”の略ではありません笑)。

路面の白い粒が塩カル。この粒が車のタイヤで潰され、石灰のような粉状になります。


拡大するとこんなカンジ。峠道では、水に溶けると発熱して効率的に氷や雪を溶かす塩化カルシウムが使われるケースが多いです。


要は「塩」が含まれています。水は0℃で凍りますが、塩分を混ぜると凍結する温度がマイナス20℃以下になります。この性質を利用して路面の雪を融かしたり、凍結を防いだりしているのです。なお、塩化カルシウムは水に溶けると発熱するため、雪や氷を溶かす効果もあります。

ところが…ご存じのとおり、塩水は金属をサビ(腐食)させます。路面から巻き上げ、チェーンやスプロケ、ブレーキ、車体下回りのボルトナットといった剥き出しの金属類がサビてしまいます。そしてエンジンやエキゾーストパイプ、マフラーといった高温になる金属と塩水の組み合わせは、特にサビを促進させてしまいます

「雪が積もってたら走らないから自分には関係ない」と思うライダーもいるかもしれません。ところが、ツーリング先で出くわす場合はかなりあるハズです。ワインディングなどの高地では凍結するため、撒かれているケースがあります。特に管理が行き届いた有料道路(箱根、伊豆の峠道など)ではよく見かけます

また、都市部で雪が残っていなくても、塩カルが路面に残っている場合もあります。

雪が降る地域には、路肩に凍結防止剤が設置されています。これを見かけたら近くに塩カルが撒かれている可能性が高いです。

塩カル路面を走ったら、可能な限り早めに洗車を!

塩カルが金属部分に付着しても数時間でサビることはないですが、数日でサビが出てくる可能性が高いです。

そこで、冬場にツーリングに出かけた際はなるべく早く洗車しましょう。下回りをホースで水をかけて流し、ブラシやウエスで擦ります。水をかけずにウエスで拭き取った程度では落としきれないと言われています。

マンションなどで洗車が難しい場合には、研磨剤入りのワックスをかければ、こびりついた塩カルも削り落とせます。

エンジンの下回りを中心に洗車。メンドウでもなるべく早めにやりましょう。
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塩カルが撒かれるのは当然、厳寒期なので正直、洗車は気が乗らないところですが、一度サビるとキレイにするのが大変なので頑張りましょう。

なお、塩カルは皮膚に付くと赤くなったり、ただれたりすることがあるので、洗車時はゴム手袋をして皮膚に付着しないようにします。もし付いてしまったら、すぐに水で洗い流し、状況によっては医師の診断を受ける必要があります。

もしサビてしまったら…?

つい放置してしまい、愛車にサビが発生してしまったら…? そんな時は柔らかい真鍮ブラシなどで擦り、それでもダメならメタルコンパウンドで磨いてサビを落としましょう。

全てを落としきるのは難しいので、やはり早めに洗車しておくのが大事です。

塩カルは滑りやすい! 走行中も御用心

走行中も塩カルには注意が必要です。塩のほかにも様々な成分が入っており、水と混ざっているので、かなり滑ります。凍った路面よりは滑りにくく、クルマならマシなのですが、バイクの場合、普通の濡れた路面より滑りやすいです。

塩カルは、水や雪に反応して溶けてしまうと、普通の濡れた路面と見分けがつきにくいです。峠などで道が濡れていたら「塩カルかも?」と考え、速度を落として慎重に走りましょう

なお、寒い時期は散布車が道路を走って、塩カルなど凍結防止剤を撒いています。こんな光景を見かけたら、なるべく後ろを走らないようにしましょう。

凍結防止剤の散布車。走っているのを見かけたら、なるべく後ろを避けて走ることです。

ホームセンターでも販売中、街中や住宅街でも塩カルが?

ほぼ雪が積もらない都内などでも降雪後は市街地に塩カルが撒かれていることがあります。また、近頃はホームセンターでも塩カルが一般に販売されています。雪が降った後や路面が凍結するほど寒い時は、家の前などに塩カルが撒かれているケースがあります。

降雪地帯ではおなじみ? 一般販売されている塩化カルシウム。

【まとめ】冬場はマメな洗車がオススメです

塩カルが撒かれていそうな場所では慎重に走り、走行後はなるべく早めに洗車をするのがオススメです。ツーリングに出かけた際はもちろん、街中や住宅街でも塩カルの被害に遭うケースがあるので、冬場はこまめに洗車したいところです。愛車をキレイな状態でキープするためにも頑張りましょう!


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