【転倒や事故を起こしたらどうする? 後編】折れた部品は○○○があれば何とかなる? 緊急時の対処法を教えます!

【文:沼尾 宏明】

前編からの続き↓】
転倒したバイクを引き起こしたら、すぐ走り出すのはNG。まずは各部の状態をチェックして、ダメージを調べます。燃料漏れでエンジンがかからない場合や、アクセルの動きが悪い際の対処法を、この後編ではレクチャーします。レバーやペダルが折れても、あるモノがあれば、かなり対処できるのです。

まずは全体を点検し、液漏れ、エンジンが始動できるかチェック

バイクを無事に路肩などの安全な場所に移動したら、バイクの状態を確認しましょう。問題なければそのまま走行できるので、レッカーを呼ばずに済みます。

チェック項目は次のとおりです。

  • 液漏れはないか?
  • エンジンがかかるか?
  • 操作系(クラッチレバー、シフトペダル、ブレーキペダル、ステップなど)が折れていないか?
  • アクセルやブレーキはきちんと作動するか?
  • 灯火類(ライトやウインカー)は破損していないか?

もし少しでも不安があれば、ロードサービスに連絡しましょう。

まずは路面や車体各部を見て、液体の漏れがないかチェック。特にタンクが破損してガソリンの漏れが止まらないと危険です。ロードサービスを呼びましょう。

他にもエンジンオイルやブレーキ液、クーラント(水冷エンジンの場合)が漏れているケースも。ガソリンの場合は臭いですぐわかります。エンジンのクランクケースなど外側に割れなどの破損があった場合はエンジンオイル、ブレーキ系統にダメージがあればブレーキ液が漏れているかもしれません。なお、オイルは指で触ってみて粘りがあるかどうかで判別できます。

エンジンがかからない? キャブレター車はまず時間をおく!

続いてエンジンをかけてみましょう。転倒するとエンジンがかからなくなることがあります。

キャブレター車の場合は「キャブレターからガソリンが漏れてエンジンの燃焼室に混入している」「タンクからガソリンが漏れて点火プラグが濡れている(カブッている)」といったケースが考えられます。

対処法としては時間をおくこと。燃焼室に混入した場合、バイクを起こしてから5分程度時間をおいてからエンジン始動を試してみましょう。点火プラグがカブッている場合はさらに時間が必要で、30分ほどするとエンジンがかかる場合があります。

FI(フューエルインジェクション)車の場合は、少し事情が違います。FI車は基本的にガソリンの漏れでエンジンがかからないという現象は起きませんが、バイクの傾きを計測するセンサーが搭載されています。転倒した場合、このセンサーが燃料計を遮断するため、センサーをリセットさせないとエンジンがかからない場合があるのです。

リセットは簡単で、キルスイッチとメインキーをオフにしてから、両方をオンにしてエンジンを始動するだけ。これでも始動できない場合、車載コンピュータが故障してしまった可能性があります。この場合、出先で自力修理するのはほぼ不可能なのでレッカーを呼んでショップに持ち込んだ方がいいでしょう。

レバーが折れた! ペダルが曲がった! こんな時は?

ブレーキやクラッチレバーは転倒時に折れやすい部分。操作できないと走行に支障が出てしまいます。緊急対応策としては、車載工具を固定して延長することです。

根元から折れてしまうと難しいですが、半分ほど残っているなら、スパナやドライバーなどの車載工具をガムテープや針金などで巻き付け、レバーを延長するのです。

針金やガムテープ、結束バンドなどを携帯しておくと安心。パニアケースなどを装着して積載性に余裕がある場合はもちろん、バッグなどに入れておくといいでしょう。ガムテは粘着力のある布テープだとベター。ガムテを載せるスペースがないなら、適当な長さで切って畳んでおけばコンパクトです。


転倒してクラッチレバーが折れてしまいました。このように先端が折れて、握る部分が多く残っている場合は走行にほぼ支障はないはずです。ただし先端が尖っているので注意しましょう。


折れた場合の対処例は次のとおりです。ウインカーステーを例に見てみましょう。

左側に転倒して後ろのウインカーステーが折れてしまいました。こんな場合もレバーと同様に対処できます。


車載工具から適したサイズの工具を探してあてがいます。いいサイズがあったら、これでステーを支える補強にしてガムテープやビニールテープで巻き付けます。


ビニールテープをグルグル巻き付けて、しっかり固定できました。見かけはよくないですが、緊急の対処と考えれば問題なし。後できちんと修理すればいいのです。

スチール製のペダルやステップは曲げ直しできる!

ブレーキやクラッチペダルが曲がった場合、スチール製なら曲げ直しできます。車載工具などでテコの原理で曲げ、ギヤやブレーキの操作ができる範囲まで曲がりを戻します。

ただしアルミ製のペダルは曲がりを戻そうとすると折れる可能性が高いです。なんとか乗れるならそのままにするか、折れるのを覚悟で試す必要があります。これもまた操作が難しいなら、レッカーを呼ぶべきでしょう。

折れた場合は、根元か先端かによりますが、ドライバーなどを添えて針金で固定することで操作できるか試してみましょう。

ステップの場合も同様です。スチール製なら曲がった場合は戻せますが、アルミ製は恐らく転倒の衝撃で折れてしまうはずです。折れた場合でも安全に足を載せられるか確認してみましょう。

ロードスポーツに採用例が多いアルミ製ステップはこんな感じでポッキリ折れてしまいがち。筆者ならステップホルダーの部分に足を載せてゆっくり運転で移動するかもしれませんが、不安ならやめておきましょう。
参考:ツーリング先で故障したり転倒してしまったら?バイクに積めるおすすめトラブル対処グッズ!


こちらはスチール製のステップ。オフロード車は転倒を考慮し、スチール製の場合が多いです。

アクセルやブレーキはきちんと作動する?

走行するにあたって、アクセルとブレーキが問題なく作動するかは非常に重要です。

ブレーキは、リザーバータンクから液が漏れていないか点検し、押し歩きしながらきちんと作動しているかチェックしましょう。走り出した場合は、まずは低速できちんとブレーキが利いているか調べてから、少し速度を出して利き具合を点検。さらに速度を出して。。。と慎重に点検しましょう

アクセルに関しては、まずエンジンをオフにした状態で、スムーズに回って戻るかチェック。特にアクセルが戻らないとエンジンが高回転のまま走り続けることになるので、大変危険です。

アクセルの動きに問題があれば、ハンドルのバーエンドを見てみましょう。バーエンドは転倒時に最も接地しやすいパーツで破損しがち。激しく壊れた場合、アクセルが動きにくくなったり、戻りにくくなったりするケースがよくあります。この場合、バーエンドを緩めるか、スロットルホルダーの固定ボルトを緩めてみましょう。

レバーの内側についている四角い箱がブレーキ液のリザーバータンク(車種によって形状が異なります)。写真は実際に転倒した後ですが、角が削れているだけでだけで中のブレーキ液は漏れていませんでした。

【まとめ】無理せず安全を第一に行動しましょう

2回にわたってお送りしてきましたが、いかがだったでしょうか。転倒や事故の際はとにかく自分の安全が最優先。バイクはまた買うことができますが、命や健康は取り返しがつきません

バイクに関しても、安全に走り出せるならいいのですが、ダメージが大きい場合、無理は禁物。素直にレッカーを利用しましょう

予期せぬ事故や転倒が起きるとショックですが、起きてしまったら安全を第一に行動することを覚えておいてください!


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