インカムは何ができる?初心者ライダーには危険?それとも安全?

【文:沼尾 宏明】

以前から人気を集めているインカム。走行中に会話や音楽ができるらしいけど、具体的にどんな機能があるのか、気になっている人も多いと思います。

そして「ビギナーが使っても大丈夫なの?」と不安になっている人も中にはいるかもしれません。普段インカムを使っている筆者が解説していきましょう!

大人気、ライディングに新しい楽しみを与えたインカム!

そもそもインカム(インターカム)とは、ヘルメット内に小型のスピーカーとマイクを仕込み、会話を楽しめるもの。以前はタンデムライダーや同行したライダーと無線通話する機能に特化しており、一部のライダーが愛好していました。

ところが、近頃はスマホとブルートゥースで無線接続し、アプリのナビ音声や音楽を聴くことが可能に。価格も買いやすくなり、飛躍的に普及しています。

日本自動車工業会のアンケートによると、バイク用インカムの普及率は22%、購入検討者は10%を超えるとのことです(「2021年度二輪車市場動向調査」より)。

まずインカムで何ができるのか整理してみましょう。

第一に「通話機能」。ライディング中は停止しない限り、ライダー同士で話をするのはまず無理です。しかしインカムがあれば楽々と通話可能。仲間と話をしながら走行するのは、一人で走るのとは違った楽しさがあります。特に淡々と直線を走る高速道路は退屈しがちですが、インカムがあれば飽きることはないでしょう。

また、右折、左折などの進路を尋ねたり、急なルート変更やトラブルが発生した際もすぐに通話できるので安心です。

距離は障害物の有無によって大きく左右され、高速道路などでは300m程度、街中では100m程度の製品が一般的。ただし複数のインカムごとに通信を中継して接続する「メッシュ通信」機能がある製品なら最大で3kmの通信距離を誇るモデルも存在します。

なお、LINEなどの通話アプリを使えば、距離を問わず無料で会話することが可能です。

高性能なインカムは、本体ユニットをヘルメット外側に装着する製品が多いです。取り付けはベルクロ+両面テープや専用ベースを使うのでカンタン。


通話だけじゃなく、快適にナビ音声や音楽を聴ける

スマホの「ナビ音声」が聞けるのもポイントです。ナビアプリは画面だけでなく、音声でもルート案内してくれますが、走行中はほぼ音声が聞き取れません。しかしインカム経由ならしっかり音声が聞けるので、より確実にルートを走行できます。

ちなみにスマホをバイクにマウントせず、ポケットにしまい、音声案内だけで走ることも可能。筆者は、仕事などで借りたバイクを乗る時によくやりますが、難なく目的地に着けます。こんなことができるのもインカムがあってこそです。

さらにYouTube Music、Amazon Music、Spotifyなどのアプリで「音楽」を楽しめます。1人で走る機会が多い人は、インカムで通話しなくても音楽を聴いて走るのがメインの使い方になります。ちなみに筆者はradiko(ラジオが聞けるアプリ)を流すことが多いです。

「電話」の応答や発信もできます。運転中に電話がかかってきても、ボタンをワンタッチすれば電話に出ることができ、そのまま通話が可能です。

価格帯は1000円台から!用途に合ったモデルを選びたい

ちなみに価格帯は1000円台~4万円台中盤と幅広いです。ただし安価なものには通話機能がなく、スマホとブルートゥース接続のみとなります。インカム同士で通信できる製品は2万円弱からとなり、通話可能人数が多い機種ほど高額になりがちです。

様々なタイプが販売されており、音質自慢だったり、カメラを搭載しているものもあります。ただし、マスツーリングやタンデムせず、ソロで走るならインカム同士での通話ができない製品でも十分使えます。

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判断力が鈍ったり、周囲の音が聞こえない危険性も

さて、インカムはライディングの妨げになってしまうのか、それとも安全なのか、検証していきましょう。

一概に言うのは難しいですが、オススメできないのは免許取り立ての本当のビギナーや、周囲の物事へ極端に気が取られてしまう人。人間が一斉に受け取れる情報には限りがあるので、会話やインカムの操作で漫然と運転し、不意のアクシデントに対応しきれず事故! なんてケースもあるかもしれません。

ただし、無意識にスロットルやブレーキ、クラッチの操作を確実にできて余裕があり、注意力が持続できるライダーなら、インカムを使ってもまず問題ないと思われます

また、運転中は周囲の「音」も重要な判断の要素です。インカムの音声を大ボリュームで聞いていると、死角に車両がいることに気付かなかったり、バイクからの異音に気付かなかったりするケースがあります。

インカムの場合、カナルタイプのイヤホンのように耳に突っ込むわけではなく、オープンタイプのスピーカーをヘルメット内に装着するため、極端に外部の音が聞こえにくいわけではありません。しかし適切な音量でなければ、危険を招くケースもあるのです。

インカムの通話や音楽に気を取られて事故が起きたケースはあまり聞きませんが、特にビギナーは判断が遅れてしまうケースはあるかもしれません。


脇見運転を防ぎ、他のライダーとつながれるのは大きなメリット!

一方でインカムによって安全性が増す面もあります。

ナビが音声で案内されるため、スマホの画面を見るために視点を移動しないで済み、画面を注視することもありません。脇見運転の危険が大幅に減ります。

スマホをハンドルなどにマウントしてナビを使う場合、いちいち画面を見る必要があります。しかしインカムがあれば、音声案内と画面で確認できるので、より安全&確実に走行できます。


また、他のライダーと走りながら、アドバイスをもらうこともできます。後ろをベテランライダーが走り、車線の走行位置、ブレーキングするポイント、右左折のタイミングなどを教えてもらうのです。

初心者が公道を走ることは不安だらけですが、別のライダーとつながることで安心できる一面があるハズです。

【まとめ】バイクの運転に慣れてからがオススメ

インカムの役割および安全性&危険性について書いてきましたが、結論を言えば、初心者はある程度バイクの操作に慣れて、走りに余裕ができた頃から使うのがベターかと考えます。会話や音楽に夢中になりすぎず、周囲の音が聞こえるボリュームで楽しめば、実に快適なアイテムとなるでしょう。

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