やっておけば全く違う!初心者向けバイクの冬眠ノウハウ教えます【前編】

【文:沼尾 宏明】

積雪や路面凍結で数ヶ月バイクに乗れないライダーも多いことでしょう。また、冬じゃなくても諸事情でバイクに乗れなくなるケースもあります。
しかし、きちんと保管しないと愛車がダメージを受け、再び走り出す時に苦労することも。長期間乗らない時に、ビギナーでもできる愛車保管のワザを解説しましょう!

バイクカバーはマスト、でもそれだけじゃ足りません

寒い地域や雪国では、春になるまでバイクを冬眠させる必要があります。また出張や病気などで当面バイクに乗らないため、保管する場合もあるでしょう。

こうした場合、自宅で保管するほか、預かりサービスを実施しているショップもあります(もちろん有料です)。今回は自分で保管する場合のノウハウをレクチャーしていきます。

まず重要なのは保管場所。ガレージが望ましいですが、いずれにせよバイクカバーが必須です。特に冬場は紫外線が強く、朝晩と日中の寒暖差が激しくなるため、バイクへのダメージが大きくなります。これを防ぐバイクカバーは、長期保管で何より重要なアイテムと言えます。

特に注意したいのは、寒暖差によって発生する「結露」。バイクカバーをかけていても、カバー内で結露して、車体がサビだらけになってしまうケースもあります。これを防ぐために、バイクカバーと車体の間に毛布などの湿気を吸ってくれる布をかけておくのがポイントです。屋外保管の場合、塗装面とカバーが擦れることによる傷の発生も防げます。

屋外でバイクカバーの下から雪が吹き込んでくる場所なら、カバーの裾をブロックなどで地面に固定したり、大きいブルーシートをバイクカバーの上にかけて二重三重にしておくのも手です。

そして時々カバーを外して乾燥させることが大事です。

雪が吹き込まない場所なら、通気孔のあるバイクカバーの方が湿気が溜まりにくいです。
関連記事:青空駐車で1年10ヶ月!バイクカバーの耐久性はどうだ?

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ガソリンタンクを満タンにしてサビを防ぐ

長期保管する場合、よく議論になるのが「ガソリンタンク内の燃料を満タン(タンク内を燃料で満たすこと)にしておくか、それとも空にしておくか」というポイント。1シーズン(4か月程度)なら、ガソリン満タンで問題ないでしょう。

ガソリンタンク内にスペース=空気があると、タンクの金属部分が冷えて結露してしまい、水分が溜まったり、タンクが錆びてしまう場合があります。そこでガソリンを満タンにしてタンク内になるべく空気をなくしておけば、トラブルを防ぐことができます。

また、ガソリンは長期保管によって劣化し、変質します、この変質した物体がガソリンを噴出させるキャブレターやインジェクションノズルなどに付着すると不具合の原因となります。こうしたガソリンの劣化、変質を防ぐガソリン添加剤を使うのも効果的。タンクのサビを防ぐ効能もあるので冬眠前に入れておくのがオススメです。

ガソリン添加剤は非常に効果的。ガソリンタンクに入れるだけでOKです。

燃料・ガソリン添加剤ーの一覧を見る
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キャブレターのコック位置も重要、できれば燃料を抜きたい

キャブレター車には「ON」や「PRI」、「OFF」などのコックがエンジン付近にあります。冬眠の際、OFFがある場合はOFF、OFFがない車両はONやRESなどにしておきましょう。

これはタンク内のガソリンが減るのを防ぎ、キャブレター内部のバルブなどが破損した際にガソリン漏れを防ぐ効果があります。

さらにキャブレター内のパイプに残っているガソリンを排出するとより確実。この部位のガソリンが劣化すると、パイプ自体を詰まらせてしまい、エンジンの始動不良を引き起こしてしまうからです。

この部分のガソリンを抜くドレンボルトがある場合は、OFFまたはPRIの状態でボルトを緩めて排出。ドレンボルトがない負圧式のキャブはホースを外して行います。

さらにガソリンコックが「OFF」の状態でエンジンをかけ、キャブレターに残っているガソリンを燃やすと万全。ただし種類によってはこの方法が使えない場合も。ビギナーの場合、こうしたキャブレター内のガソリン排出に関してはバイクショップに相談した方がいいでしょう。

ちなみに前述のガソリン添加剤はキャブレター内のガソリンに関しても劣化防止の効果があります。

なお近頃は、ポンプで圧力をかけて燃料を送るFI(フューエルインジェクション)車が主流です。キャブより内部の密閉性が高く、詰まりも生じにくいため、抜かなくてもまず問題ないです。

これがキャブレター(自然落下式)のコック。FI車にはありません。

ドレンボルトを緩めると、キャブレター内のガソリンを排出できます。このドレンボルトがない車種もあるのでご注意。出てきたガソリンはバットなどでキャッチします。

バッテリーは外して室内保管、端子を外すだけでも効果アリ

バッテリーは使用していない時でも少しずつ自然に放電しています。また、気温の変化でバッテリー自体が劣化する場合もあります。基本的に長期保管の際は車体から取り外して、温度変化の少ない室内で保管をしましょう。

保管中も1ヶ月に1回程度、専用充電器を使用して充電してあげるとより良い状態を保てます。長期間充電しないとバッテリー内に充電を阻害する結晶=サルフェーションができてしまいます。これを除去できる充電器もありますが、その前に充電しておくことが肝要です。なお、近頃はつなぎっ放しでOKの「トリクル充電器」というタイプもあります。

バッテリーを外すのが面倒な車種は、マイナス側の端子を外しておくだけでも効果があります。ターミナル部をテーピングしておくと、よりグッドです。

バッテリーが外しにくいなら、端子だけでも外しておきましょう。バッテリーを外す際は、必ずマイナス側(黒)を外してからプラス(赤)を外します。取り付ける際は、プラス側から装着しましょう。


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