【文:沼尾 宏明】
ガソリン価格が高い昨今、維持費を抑えるためにも「燃費」は重要!そもそも燃費とは何か?さらに計算方法や、燃費をよくするためのノウハウを解説していきましょう!
目次
スペック表で「定地燃費値」と「WMTCモード値」がわかる!
燃費とは「ガソリン1Lで何km走れるのか」を示す数値です。この数値が高いバイクほど1リットル(L)のガソリンで長い距離を走行できるため、燃料代を抑えることができます。
2024年8月現在、レギュラーガソリンは全国平均で170円。近頃この前後の価格で推移しており、値下がりの気配はありません……。しかしながらバイクはクルマより圧倒的に燃費がよく、その点でも人気が高まっています。
燃費を計測するには、自分で計るのが最も確実ですが、メーカーのHPやカタログにも燃費が記載されています。それが「定地燃費」と「WMTCモード値」です。
■定地燃費値
平坦な直線の舗装路を法定速度60km/h(50cc以下は30km/h)で走り続けた時の燃費です。国土交通省にニューモデルの認定を受ける際の届出値で、長い間メーカー発表の燃費として知られてきました。
ただし、これは理想値と言っていいでしょう。実際の走行ではストップ&ゴーがあり、坂道などもあるため、実際の燃費とはかなりの差があります。
■WMTCモード値
シャーシダイナモという機械に車両を乗せ、発進・加速・停止のパターンを再現。実際の走り(市街地、郊外、高速道路など)に近い方法で計算されています。2013年7月から定地燃費値と併記されるようになりました。
測定方法は、気温25度で1名が乗車し、メーカー指定のタイヤ空気圧で実施。排気量や最高速度によって5つのクラスに分類されています。
実際の燃費と開きがある定地燃費値に対し、WMTCモード値は実際の燃費に近い数値になっています。燃費を重視してバイクを選ぶ際は、スペック表のWMTCモード値を参考にしましょう。とはいえ、バイクの燃費は様々な要因で変わり、実際の燃費は概ね下がる傾向にあるので、あくまで目安と考えるべきです。
自分で計る「満タン法」は昔ながらの計測方法
では、ユーザーが実際の燃費を計るには、どんな方法があるのでしょうか。走行距離と燃料を使った量を元に計算した「満タン法」がメジャーです。これは昔からある計測方法で、次の手順で行います。
- 1.ガソリンを燃料タンクいっぱい(満タン)に給油する
- 2.トリップメーターを0kmにリセットする
- 3.走行して再びガソリンを満タンまで給油する
- 4.トリップメーターの走行距離(km)÷給油量(L)で計算する
これでガソリン1リッターあたりの燃費(km/L)がわかります。ただし給油口のどこまでガソリンを入れるかは人それぞれ。多少の誤差が出るので、目安と考えておきましょう。
近年はメーターに燃費が表示される車種も!
ちなみに近頃のバイクはメーターパネルに燃費を表示できるものがあります。「km/L」と表示されています。表示位置はトリップメーターなどと同じ場合もあるので、ボタンを押して表示を切り替えましょう。
メーターの燃費表示は、エンジンのインジェクター(燃料噴射装置)の噴射量と速度×時間(走行距離)から計算されるため、高い精度が期待できます。
なお、残りの燃料であと何km走れるか計算してくれる「航続距離計」や、燃費のいい走りをしている時に点灯する「エコランプ」付きのモデルも存在します。
燃費をよくする走り方はアクセルの開け方にアリ
燃費は、運転のしかたと車両の整備状態が大きく関係しています。
まず運転に関しては「アクセルの開け方」が燃費に大きな影響を与えます。特に急発進や急加速は燃費が悪化するので、アクセルを開ける際はフンワリと穏やかに操作しましょう。また、低いギヤのまま走ったり、エンジン回転数を極端に上げたままだと燃費がダウンします。
さらに燃費をよくするには、停止中のアイドリング時にエンジンをオフにするのも手。クラッチがあるバイクなら、直線など安全な場所での走行中にクラッチレバーを握って、惰性で進む方法もあります(ただしエンジンブレーキが利かなかったり、左右にフラつきがちになるのでご注意を)。
タイヤを筆頭に、エンジンオイルなどの消耗品も要チェック
さらに車両の整備状態も燃費に影響します。特にチェックしたいのは「タイヤの空気圧不足」。適正値より低いと、路面との抵抗が増し、燃費が悪化してしまいます。
また、エンジンの性能をきちんと発揮できるよう消耗品の定期交換やンテナンスも大事です。エンジンオイルやエアクリーナーボックス内に設置されているエアフィルター、点火プラグといったパーツが汚れていたり消耗したりしていると、エンジンが性能を発揮できず、燃費が悪くなります。
特に空冷エンジンはオイルに冷却性能を依存するため、減りが早いケースもあります。念入りに点検や交換をやりましょう。
加えてチェーンやスプロケットといった駆動系もチェック。チェーンの汚れや伸びは、加速性能が悪化し、これまた燃費が伸びません。
高速道路は燃費がいいってホント?
高速道路は街中より速度こそ出ますが、極端にストップ&ゴーが少なく、高めのギヤを使ってアクセル一定のまま巡航するので燃費がよくなります。
また峠道は低めのギヤで回転を上げて走るため、燃費は悪化します。
燃費のいいバイクってあるの?
1,000cc以上の4気筒よりも、50~125cc程度の単気筒バイクの方が燃費は良好です。排気量が小さく、気筒数が少ない方がガソリンを消費しにくく、燃費がよくなる傾向にあるのです。そして一般的に車重が軽いバイクの方が燃費はよくなります。
燃費のいいバイクとして有名なのが、ホンダ・スーパーカブ50/110系の単気筒エンジンを搭載したモデル群。クロスカブ50/110、グロム、モンキー125、ダックス125、スーパーカブC125、CT125ハンターカブといった一大軍団を形成しています。
1,000ccクラスで4気筒の場合、リッター10km台が多いのに対し、カブ系は50km/L以上がザラという燃費のよさです。
[まとめ]燃費がよければサイフにも環境にもやさしい
燃費の計り方や、燃費を良くする方法などをお送りしてきましたが、いかがだったでしょうか。ガソリンが値下げする気配がなく、不景気な今、通勤などの移動手段をクルマからバイクに変えたという人をよく聞きます。燃費が向上すれば、節約にもつながりますし、エコでもあります。燃費のいいバイクを選んだり、燃費の改善を試したりしてみてはいかがでしょうか?
ウェビックバイク選びでバイクを探す この他のモトガイドを読む
この記事にいいねする