バイクの”諸元表”の見方を知っていますか?その2

その1」では全長やシート高など主にバイクのサイズに関する諸元表の情報について紹介していきました。「その2」では、バイクのエンジンに関する諸元表の情報について紹介していきます。

バイクのエンジン種類

各バイクのエンジンのタイプや種類を示している項目で、主に6つの内部構造や動作方式に基づいて分類されます。
その6つの要素として冷却方法、作動方式、カム形状、バルブ数、シリンダー配置、気筒数が挙げられます。
1つ1つの要素について解説したいところですが、それだけで1記事になってしまうため別の機会に改めて紹介したいと思います。 これらを合わせて「水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒」などと記載されます。

水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒

空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒

総排気量

エンジンの全てのシリンダー内で排出されるガスの総量を示す項目です。一般的にはシリンダーの合計容積を表し、シリンダーの内径(ボア)と行程(ストローク)を用いて計算されます。
一般的には、排気量が大きいエンジンはより多くのガスを一度に処理できるため、より多くのパワーやトルクを発生する傾向があります。ただし、排気量だけでエンジンの性能や性格が全て決まるわけではなく、エンジンの設計、燃料供給方式、点火方式など、他の要素も重要となります。

ちなみに排気量には諸元表の「総排気量」とは別に「名目排気量」と呼ばれる排気量があり、恐らく名目排気量の方が日常的に目にする機会が多いと思います。名目排気量は、エンジンの合計容積を簡略化して表しており、主に車種の排気量を区分するために使用されます。例えば車種名が「○○250」「○○1000」と名目排気量で呼ばれている車種も、実際の総排気量は「249cc」「999cc」だったりします。

CB125Rは名目排気量は125ccだが、シリンダーには124ccとある

内径(ボア)× 行程(ストローク)

エンジンのシリンダー内径(ボア)とピストンの上下運動距離である行程(ストローク)を示す指標です。この数値は、エンジンの排気量や性能特性に関与する重要な要素となります。
内径(ボア)は、シリンダーの内部直径を表します。一般的にはミリメートル(mm)で表されます。ボアが大きいほど、シリンダー内の燃焼室の容積が大きくなり、より多くの燃料と空気を取り込むことができます。この結果、エンジンの出力やトルクが向上する傾向があります。
行程(ストローク)は、ピストンがシリンダー内で上下運動する距離を表します。同様にミリメートル(mm)で表されます。行程の長さは、エンジンの燃焼効率やトルク特性に影響を与えます。一般的に、長い行程(ロングストローク)はトルク重視の特性を持ち、短い行程(ショートストローク)は高回転域でのパフォーマンスを重視する特性を持ちます。

先述の総排気量はシリンダーの内径と行程を用いて計算されますが、その計算式は「シリンダー内径面積(内径÷2)の2乗×ピストン行程×気筒数」となります。

圧縮比

エンジン内で行われる圧縮行程におけるシリンダー内気体の最大圧力と最小圧力の比を指します。具体的には、シリンダー内の燃焼室に燃料と空気が混合され、ピストンが上昇して混合気を圧縮する際の最大圧力(上死点)と、ピストンが下降してシリンダー内気体が最小圧力(下死点)になる状態の圧力を比較します。

高圧縮比はスポーツ性能や高出力を追求するエンジンに適していますが、過剰な圧縮比はノッキング(異音や異常振動を引き起こす現象)や燃料の劣化などエンジンの故障に繋がる可能性があります。したがって、エンジンの設計や燃料の品質とのバランスを考慮しながら、メーカーが車種ごとに適切な圧縮比が選びながら開発を行っています。

最高出力

エンジンが発揮できる出力の最大値のことを指し、一般的に馬力(またはキロワット)で表されます。最高出力はシンプルにそのエンジンが持つパワーを示す重要な指標であり、スポーツ性能や加速力などに影響します。高い最高出力を持つエンジンは、高速走行やサーキットのようなクローズドコースでパフォーマンスを発揮します。反対に最高出力が低いエンジンは燃費効率やトルクを重視しているなどパワー以外の部分に焦点を充てていることが多く、安易に性能が劣っている訳ではありません。

ちなみに、諸元表で記載されている最高出力はエンジンのクランク軸で計測されていることがほとんどで、実際にパワーを地面に伝えている後輪で出力を計測すると、エンジンから駆動系を介して後輪にパワーが送られる分ロスが生まれ、多くの場合は諸元表よりも低い数値が計測されます。

最大トルク

トルクとは、エンジンが後輪を回転させようとする瞬間的な力のことで、最大トルクはこのトルクが一番強く発揮されるときの回転数とその値となります。トルクはニュートンメートル(N・m)やキログラム(kgf・m)で表され、最大トルクの値が大きいほど加速性能が高くなります。最大トルクは主に加速力や登り坂での走りに影響し、最大トルクが比較的低回転に設定されているモデルの方が高回転に設定されているモデルよりも少ない回転数で力強く加速していきます。

まとめ

今回は諸元表の中でも、バイクのエンジンに関する項目を中心に紹介しました。恐らく排気量や馬力の情報に目が留まることも多いと思いますが、これからはストローク量や圧縮比、トルクなどからもそのバイクがどんなキャラクターなのかイメージしたり、比較したりしてバイク探しに役立ててみてください。

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