今さら聞けない!?最近のバイクに搭載される『電子制御』ってなに??その1

ちょっと前までは上級グレードのモデルにしか搭載されていなかった電子制御。それも今では小排気量モデルにも搭載されるほど「当たり前」の装備となってきました。
今回はそんな電子制御の中から特にメジャーとなっている機能を紹介していきます。

ABS(アンチロックブレーキシステム)

ABS(アンチロックブレーキシステム)とは、急ブレーキをかけた時にホイールがロックしてタイヤが滑らないように電子制御で最適なブレーキングをサポートする機能です。 仕組みとしては、車輪速センサーからECUがホイールのロックを予測し、モジュールを介してブレーキマスターからキャリパーにかかる油圧を調整することでホイールがロックしないようにしています。ABS発動時にはブレーキの油圧を意図的に変化させることから、ブレーキを操作しているレバーやペダルにキックバック(押し戻されたり振動したりすること)が起こります。
2018年10月よりABSの義務化が始まったこともあり、原付二種以上のバイクにはABSが標準装備となりました

最近ではABSも進化し、ライディングモードと連動してABSの介入度を予め調節したり、速度やバンク角など様々な状況に応じて瞬時に介入度を調節してくれるハイテクなものまであります。

ABSはあくまでもブレーキ操作を補助するシステムであり、ABSがあるから転倒しないという訳ではないので余裕を持った減速が必要です。

125cc以上のABSを標準装備しているバイクの一例

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クイックシフター(オートシフター)

クイックシフターはその名の通り、素早いシフトチェンジをサポートする機能です。
アクセルを開けたままクラッチ操作をせずにシフトアップすると、シフトロッドに取り付けられているセンサーがペダルの動きを感知し、一時的に点火をカットすることでアクセルを戻したのと同じ状況を作り出してシフトチェンジを行います。通常のシフトアップではアクセルを戻し、クラッチを切ってシフトチェンジを行うのが一般的ですが、これらの操作を必要としないことから「オートシフター」とも呼ばれています

元々はロードレースでクラッチ操作による加速のロスを減らすために開発されたもので、市販車でもスポーツモデルを中心にアフターパーツやオプションによる後付けが主流でした。それがここ数年でスポーツモデルやフラッグシップモデルだけでなく、小中排気量車でも標準装備されるモデルが登場するようになりました

また、クイックシフターはシフトアップのみが主流でしが、シフトダウンにも対応したオートブリッパーを搭載したモデルも増えています。コーナー進入時のシフトダウンでクラッチ操作が不要となるので、よりブレーキング時の操作に集中することができます。

クイックシフターはレースシーンだけでなく、シフト操作が不要になるのでロングツーリングなどシフト操作を頻繁に行う場面での疲労軽減につながります

クイックシフターを標準装備しているバイクの一例

パワーモード(ライディングモード)

パワーモードはエンジンの出力特性をボタン一つで変化・調整する機能です。
路面コンディションやシチュエーションに応じて出力特性を変化させられるだけでなく、ハイパワーマシンも意図的に出力を調整することで誰にでも扱いやすくすることができます

同様の機能としてライディングモードと呼ばれるものがあります。厳密に言うと「パワーモード」と「ライディングモード」ではそれぞれ出力の調整方法が異なりますが、ここでは割愛させていただきます。モードの中にはエンジンやスロットルバルブ特性を変更するだけでなく、ABSやトラクションコントロールの介入度も一緒に設定されているものもあります。

パワーモードを標準装備しているバイクの一例

トラクションコントロール

センサーがリアタイヤの空転を検知し、タイヤが滑ることを抑制することで転倒のリスクを減らすトラクションコントロール
前後ホイールの回転差を計算することで空転を検知し、点火タイミングや燃料噴射量、スロットルバルブ開度をECUが瞬時に制御することでリアタイヤの空転を調節し滑りを抑制しています。 特にイマドキのスーパースポーツモデルのような200馬力を超えるハイパワーマシンは、コーナー立ち上がりなどでアクセルを開けると簡単にリアタイヤが滑ってしまうので、バイクを安心して走らせるには欠かせないシステムと言えます。

トラクションコントロールには、発進、加速時に適切なトラクションをかけることが目的のシンプルなタイプや、『IMU』により瞬時に細かい制御を行い、コーナー立ち上がりなどで発生するハイサイドを未然に抑制するハイテクなものまであります。

転倒を未然に防ぐシステムとして注目されいたトラクションコントロールも、今では小排気量モデルだけでなくスクーターにも搭載されているほど身近な機能になってきています

トラクションコントロールを標準装備しているバイクの一例

まとめ

少し前までは電子制御なんて無いのが当たり前だったこともあり、「電子制御なんていらない」「腕を磨けば関係ない」なんて思われる方もいるかもしれません。しかし、電子制御の登場により、これまでよりも事故や転倒のリスクが減ったことも否定できません。

転倒のリスクが減るということはそれだけでライディングにも余裕が生まれ、より走りを楽しむことができる
のではないでしょうか。

電子制御はあくまでもライダーをサポートする機能なので、ライダーが状況に応じて適切な設定をしないと効果を発揮しません。これからはライテクの1つとして電子制御の知識も重要になるかもしれませんね。

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