今さら聞けない!?最近のバイクに搭載される『電子制御』ってなに??その4

前回は主にツーリングで活躍する電子制御について紹介していきましたが、今回はサーキットでの使用がメインの機能について紹介していきます。

ローンチコントロール

ローンチコントロールとは、停止状態からの発進時に、最も効率的な発進・加速をサポートする機能で、主にレースでのスタート時に使用します。通常のスタートでは、停車時に予め適切な回転数になるようにスロットルの操作が必要となり、発進時のクラッチミートも自身の手で行う必要があります。そのため、回転数が高すぎればクラッチミート時にフロントが浮いてしまったり、逆に回転数が低ければうまく加速しなかったりします。
ローンチコントロールを使うことにより、停車時にスロットルを全開にしても予め設定された回転数をキープするようになるため、常に最適な回転数で発進することが可能となります。また、最新のローンチコントロールでは、IMUによる姿勢情報から発進後も最適な加速ができるように、トラクションの調整によりホイールスピンやフロントアップを抑えてくれます。

ローンチコントロールを搭載しているバイクの一例

ウィリーコントロール

ウィリーコントロールとは、意図しない不要なフロントアップ(ウィリー)を抑える機能です。近年のスポーツモデルは200馬力を当たり前のように超えることもあり、スロットルを開けただけでも簡単にフロントタイヤが浮き上がってしまいます。フロントタイヤが浮き上がってしまうと、加速する力が逃げてしまうだけでなく、車体のバランスを失いやすくなり転倒の危険も生まれます。特にコーナー立ち上がりの加速時にスロットルをワイドオープンする際に活躍します。
他の電子制御と同じようにIMUによる姿勢情報や車速センサー、スロットル開度といった情報から制御を行っており、車種によっては介入度を設定するこで、フロントタイヤのリフト量も調整することができます。

ウィリーコントロールを搭載しているバイクの一例

エンジンブレーキコントロール

エンジンブレーキコントロールとは、その名の通りエンジンブレーキの効き具合を調整する機能です。エンジンブレーキはスロットルを戻した際にエンジンの回転によって発生する減速力のことで、一般的にブレーキや減速を助けるものですが、サーキットではエンジンブレーキの効きが強すぎることで、コーナーで思った以上に減速してギクシャクしたり、シフトダウンの状況によっては後輪がロックしたりします。必要に応じてエンジンブレーキの強さを調整することにより、ブレーキ操作に対してより自然な減速が期待できます。
仕組みとしては、ECU(エンジン制御ユニット)がエンジンの回転数、ギアポジション、車速などの情報を基に、スロットルを閉じた状態でも意図的に燃料をエンジンに送ることでエンジンの回転数を落ちにくくしています。

エンジンブレーキコントロールを搭載しているバイクの一例

ピットレーンリミッター

ピットレーンリミッターとは、その名の通りピットレーンを走行する際に決められた速度以上に速度が出ないようにする機能です。リミッターの発動方法はメーカーによって異なりますが、速度や回転数が設定値に達すると失火することでそれ以上速度が出ないようになります。そのため、スピードメーターの無いレーサーがピットレーンを走行する際、速度がわからなくてもスピードオーバーしないために誕生しました。
ピットレーンリミッターは後付けの場合が多いですが、海外メーカーのスーパースポーツモデルには標準装備していることがあります。また、現行のスズキ HAYABUSAには、市販車で初めてライダーの任意でスピードリミッターを設定できる「アクティブスピードリミッター」を搭載しています。

ピットレーンリミッターを搭載しているバイクの一例

まとめ

電子制御は元々より安全に速く走るために生まれましたが、その機能はさらに多岐にわたって進化しました。特にハイパワー化している現代のバイクには無くてはならない機能と言えるでしょう。それでも電子制御を過信せず、それぞれの機能を正しく理解した上で最後はライダーのテクニックも安全に走るためには重要です。

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