【車検の基礎知識-2】そのカスタム、車検は大丈夫?意外なパーツが違法に!

【文:沼尾 宏明】

バイクをカスタムする時は、知らないうちに違法改造になってしまい、車検に通らないケースも!
マフラーやハンドル、ミラーなどなど適正なパーツでないと車検をパスできない場合があるのです。またネットの個人売買でカスタムバイクを購入したら、車検に通らなかった……なんて場合もあります。
どんな場合に車検が通らないのか、ありがちなケースを見ていきましょう。

カスタムの定番=マフラーはバイクの年式によってルールが複雑!

愛車を自分好みに変えていくカスタムはバイクの楽しさの一つです。でも何でもかんでも合法なわけではなく、様々なルールがあります。これに適合していないと当然、車検をパスできません。

一昔ほど前ほどではありませんが、現在も「社外マフラーへの交換」はカスタムの定番。しかしバイクが製造された年式によってルールが細かく異なり、車検に通らないパターンが多いです。

まず自分のバイクがどの規制適合車か、車検証の備考欄に明記されているのでチェックしましょう。平成22年(2010年)4月1日以降に製造されたバイクは「認証プレート」またはE(e)マーク付きの市販マフラーに交換する必要があります。

2010年4月1日以降に製造のバイクでマフラーを交換する場合、加速走行騒音にパスした認証プレート付きマフラーでなければ車検に合格できません。さらに平成10年(1998年)排ガス規制以降、多くのバイクがノーマルマフラーに触媒を採用。これらの車両で市販マフラーを装着した場合は、付属の「排出ガス試験成績証明書」を提出します。中古車で購入した場合は、手元にない場合が多いハズなのでご確認を。


こちらが排ガス試験成績書。車検対応のJMCAマーク付きでも、この書類がないと車検で認められないことがあります。市販マフラーに同梱されているので、もし紛失したならマフラーメーカーから取り寄せましょう。騒音規制値については一般社団法人全国二輪車用品連合会HPでご確認ください。

ハンドル、ミラー、ウインカーなど手軽なカスタムもご注意!

続いて、ありがちなのがハンドルやミラー、ウインカーなど交換しやすい外装パーツです。

大原則として、カスタムパーツを付けた時の変化が一定範囲内(全長±3cm、横幅±2cm、高さ±4cm、重量±50kg)に収まっているなら、パーツの種類や取り付け方法に制約なくOKです。

範囲外でも、国が定めた「指定部品」をボルトなど外せる形で固定した場合は合法。スクリーンやカウル、エンジンガード、キャリアなどが指定部品で、着脱できないトップケースも寸法と重量が範囲内ならパスできます。

一方で用心したいのがハンドル。アップタイプや幅広のハンドルに交換した場合は、寸法が範囲内か要チェックです。車検証に記載されている「高さ」と「幅」はミラーではなく、ハンドルで決まる車種が大部分なのです。ノーマルから一定範囲内(横幅±2cm、高さ±4cm)であれば問題ナシです。

ミラーは車検証の車体寸法には含まれません。ハンドルは写真のようにバーハンドルからセパレートタイプにした場合も横幅±2cm、高さ±4cmの範囲内なら合法です。ただし寸法が変わっても、ナンバーの管轄の車検場に持ち込む場合は「構造変更申請」すればパスできます。この申請は、改造を施した日から15日以内に申請する必要があります。特にユーザー車検の場合、車検に合わせてカスタムし、車検を受けるのと同時に構造変更申請すると手間が省けます。
さらに、ミラーは「鏡面の面積が69㎠以上」がルールで、円形かそれ以外で細かく基準が決まっています。特に2007年製造以降のバイクは基準が厳しいので、社外品の小型ミラーに交換している場合、車検をパスできない場合があります。
ウインカーに関しては、光が「オレンジ」である必要があり、クリアレンズの場合は電球がオレンジでなければNGです。さらに小型タイプに交換するカスタムも一般的ですが、ウインカーのサイズや角度についても決まりがあります。


ウインカーはこんな小型サイズでも車検対応だったりする場合も。
関連記事「どこにウインカーがあるの?これで車検対応な事が信じられない!【週刊インプレ No.123】


ナンバープレートは2016年と2021年にルールが厳格化

ナンバープレートも近頃、車検で不合格になるケースが増えてきているようです。特に2021年10月以降登録の車両に新基準が導入された影響が大きいと思われます。

新基準ではナンバープレートの「上下の角度は上向き40度~下向き15度」「左右の向きは0度」となり、ナンバープレートのフレームに関する幅などが厳しくなりました。

また2016年4月以降はナンバープレートを回転して縦付けしたり、折り返したりすること、カバーなどで覆うことが違法となっています。

2021年10月以降に登録したバイクのナンバープレートは、上向き40度まで、下向き15度までの角度で取り付ける必要があります。フェンダーレスキットなどを装着した際はこの角度を厳守です。


リヤシートに被せるシングルシートカウルも構造変更が必要

うっかりしがちなのがシングルシート。2人乗りのバイクは車検証の乗車定員が「2名」となっており、タンデムできないシングルシートカウルに交換したり、タンデム用のステップを取り外した場合は車検に通りません。なお、リヤシートに被せるタイプのシングルシートカウルも同様です。

ただし、これも構造変更を申請して乗車定員を「1名」に変更すれば合法です。

リヤシートと付け替えられる着脱タイプのシングルシートも本来は15日以内に車検証の乗車定員を2→1名に改造申請する必要があります。


【まとめ】車検に通らないだけでなく、交通違反になる場合も!

違法カスタムは、車検に通らないだけでなく、「整備不良」として交通違反に問われるケースも。度が過ぎた違法カスタムは検挙される場合だってあります。

カスタムする場合は、車検適合パーツを選ぶのはもちろんですが、基準が変更になって車検に通らないケースもあります。万一の際に戻せるようノーマルのパーツを保存しておくのも手です。


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