ファッションバイクに止まらない魅力【ドゥカティ スクランブラー アイコン】ドゥカティ唯一の空冷エンジンを搭載!

誕生から10年。ドゥカティの新たなるイメージを創造し続けるスクランブラー

ドゥカティといえばスピードやレース。特に近年のMotoGPでの圧勝劇を見ていると、市販車にもそんな印象を持つ方は多いでしょう。実際、パニガーレV4シリーズはMotoGPマシンに最も近い市販車と言っても過言ではなく、他のV2&V4エンジン搭載車も基本的にスポーティでハイスペック。さらに高価格帯です。

そんな中、10年前に登場し、ラインナップを変えながら熟成し続けているスクランブラーシリーズは、スペックよりもライフスタイルやファッション、さらに音楽や各国でのカルチャーとの結びつきを大切にしたモデル。そのコンセプトは、新しいユーザーを獲得し続け、スクランブラーならではの世界観を定着させてきました。

そしてユーザーの声に応えるように、スクランブラーはこの10年間で様々なバリエーションを展開シックスティ2という400cc、1100cc、オフ仕様のデザートスレッドなどが登場し、現在は803ccのみの展開で、「アイコン(133万3000円)」、「フルスロットル(153万8000円)」、「ナイトシフト(153万8000円)」、「10°アニバーサリオ リゾマ エディション(180万4000円)」、「アイコンダーク(119万9000円)」の5機種をラインナップしています。価格も他のドゥカティと比較すると手が届きやすいと言っていいでしょう。

今回はその中でも中心的かつベーシックな存在でもある「アイコン」を試乗してきました。

ドゥカティのラインナップの中で最もシンプルな車体構成を持つスクランブラーシリーズ。年齢や性別、キャリアやスキルを問わずに楽しめるドゥカティです。

筆者(小川勤)は、スクランブラーの最も魅力的なディテールとして、803ccのLツインエンジンに注目します。ドゥカティのラインナップで空冷エンジンを搭載するのはスクランブラーシリーズだけ。73ps/8250rpmを発揮し、デスモドローミックの恩恵もありレスポンスはとても軽やかです。

伝統の空冷Lツインエンジンを楽しみ、味わい尽くす

アイコンはスクランブラーのデビュー時からずっとラインナップにある王道モデルです。2019年には初のマイナーチェンジが行われ、エンジンの扱いやすさが格段にアップ。ちなみに中古車を狙うのであれば、2019年以降のモデルがオススメです。そして、2023年には「Next-Gen(次世代) Freedom」を掲げてフルモデルチェンジ。スクランブラーは第2世代となり現行モデルとなりました。

普遍的な魅力を持つ空冷Lツインエンジンは2.5kgの軽量化を果たし、車体トータルでは4kgの軽量化を実現。電子制御も搭載され、「ロード」「ウェット」のライディングモード、トラクションコントロールやコーナリングABS、アップ&ダウン対応のクイックシフトもアクセサリー設定(フルスロットルは標準装備)されました。

4.3インチのTFTカラーメーターは、視認性が高く電子制御の状況も確認しやすくなっています。

空冷エンジンの存在感が際立つ車体構成。Lツインエンジン&パイプフレームの伝統が守られています。

筆者(小川勤)は歴代のスクランブラーに試乗してきましたが、最新モデルの完成度の高さには舌を巻きます。スクランブラーというと、そのスタイルからファッション性の高いネオクラシックカテゴリーを想像する方も多いと思いますが、アイコンはとてもスポーティなバイクです。

そしてそのフィーリングの良さに貢献しているのが空冷の803cc Lツインエンジンです。1980年代から基本構成を変えずにドゥカティが大切に育んできたエンジンは、気持ちよさと速さを兼ね備え、ドゥカティらしさを全身で感じることができます

スロットルを開けるだけで笑顔になれ、身体に響くバイブレーションに酔いしれることができ、良いエンジンを操っている実感をリアルに味わわせてくれるのです。このフィーリングを知ると、この価格帯にも納得することができます。

走り出した瞬間からドゥカティらしさと楽しさに溢れるのがスクランブラーなのです。

現在スクランブラーシリーズのホイールサイズは、全車フロント18、リヤ17インチ。タイヤはピレリ製のMT60RS。ブロックパターンですがロードでのグリップは十分。前後サスペンションはKYB製を採用しています。

従来モデルからのXマークを踏襲したLEDヘッドライト。

幅狭Lツインエンジンがもたらす様々な魅力

スチールフレームに空冷エンジンを搭載するシンプルな車体構成から伝わってくるのは、シンプルな魅力でした。ハンドリングはとても軽快でわかりやすく、これは幅の狭いLツインエンジンが生み出すメリットです。

近年、270度クランクを採用する並列ツインエンジンを搭載するバイクがたくさんあります。ヤマハMT-07系やスズキのGSX-8系がそうですが、このエンジンとドゥカティのLツインは同じ爆発間隔(0度→270度→450度でクランク2回転)を持っています。

シリンダーやカムシャフトなどが2つ必要なLツインは製造コストがかかりますが、ドゥカティが頑なにこだわるのは、幅が狭いエンジンの方が車体をスリムにできるし、ハンドリングを追求できるからです。これは近年のリッター4気筒スーパースポーツを見ても同じです。国産は並列、ドゥカティはV型を採用しています。ちょっと難しい話になってしまいましたが、ドゥカティはハンドリングや運動性を追求するために、幅狭エンジンにこだわるメーカーなのです。

シングルディスクにブレンボキャリパーをラジアルマウント。効力は十分で扱いやすさにも長けています。

第2世代となりフレームを一新したスクランブラーシリーズ。リヤサスペンションはこれまでの左サイドからセンターへ移設されました。

スクランブラーは一見オシャレなバイクですが、ドゥカティ伝統の幅狭のLツインエンジンを搭載しています。だからこそスポーツライディングも楽しめます。

ワインディングでかなりアベレージを上げてもスクランブラーは全く不安な挙動を示しません。ブロックパターンのタイヤもグリップは上々。スロットルを大きく開けて、後輪のグリップを引き出す走りを許容してくれるのには驚くばかりです。

エンジンの高回転の伸びの良さは、バルブ開閉機構にデスモドローミックを搭載しているからで、これはMotoGPマシンであるデスモセディチGPとも同じ機構です。

そんなスポーティな振る舞いを見せますが、スクランブラーはライダーを急かすようなクイックさや、手に追えない難しさは一切ありません。むしろドゥカティの魅力、バイクの面白さ、スポーツライディングの素晴らしい世界をシンプルかつわかりやすく見せてくれる存在です。

現在スクランブラーは5機種をラインナップ。ハンドル幅などに違いはありますが、タイヤサイズは全て同じ。全ての車種からスクランブラーらしい魅力を知ることができます。ライフスタイルやファッションの好みで選んで良いでしょう。また、手に入れてから自分の色に染める楽しみもスクランブラーの魅力です。多くのアクセサリーが用意されているので、そちらもチェックしてみてください。

第2世代になってマフラーのエキゾーストパイプの取り回しを変更。スタイリッシュな雰囲気に。どのアングルから見てもひと目でドゥカティスクランブラーをわかるデザインも魅力です。

燃料含まないアイコンの重量は176kgで、シート高は795mm。オプションで810mmになるハイシートと780mmになるローシートも用意されています。

様々なバリエーションから自分に合ったスクランブラーを見つけたい

センスの良い配色と美しいリゾマ製のアルミ削り出しパーツを組み合わせた「10°アニバーサリオ リゾマ エディション」(180万4000円)。

シリーズで唯一、スポークホイールを装着する「ナイトシフト」(153万8000円)。

左はブラック×ブロンズの「フルスロットル」(153万8000円)。右は「アイコンダーク」(119万9000円)。

「アイコン」(133万3000円)は、‘62イエローとドゥカティレッドの既存カラーの他に、7色ものカラーから着せ替えカバーキットを選べるのが面白いですね。

 

 

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