唯我独尊スタイルを貫き通す ストリートボンバーマン!!

2000年前後に流行っていたストリートバイクブームを出し抜く形で、世の中には普通自動二輪免許区分クラスのビッグスクーターがあふれかえった時期がありました。

いわゆるビグスクと呼ばれるそれらは、全国、いや全世界の都市部で生活するライダーの間で空前のヒットとなり、スポーツ系カスタムや、多数の電飾を使用したドレスアップカスタム、さらにはエアサスを組んだローライダーカスタムなど、様々なムーブメントを巻き起こしました

それから四半世紀近い年月が経った今、あれほどあったビグスクはどこへ行ったのかと思えるほど、見かける機会は減ってしまっています。
そのような中、根強い人気を誇りスズキの現行モデルラインアップに名を連ねるモデルがあります。それがバーグマン400ABSなのです!

スカイウェイブという名は消え、 海外の呼び名、バーグマンを逆輸入。

自分で言うのもなんなのですが、ビッグスクーターブームの火付け役、いや、ブーム到来以前の90年代前半、ビッグスクーターという言葉が出てくる前から普通自動二輪免許クラスのスクーターが好きで何台も乗り継いでいました。

きっかけとなったのは免許を取得した高校生の頃に、家に出入りしていた親の知り合いがホンダ・スパーダからフュージョンに乗り換え、それを借りてみたところ驚くほど楽ちんであり、彼女と快適なタンデムクルーズを楽しめ、大容量トランクもとても便利なことに感動。一発で惚れ込んでしまい、当時TZR125TZR250R(3MA)などと並行して家のガレージに並ぶことになったのです。

その後もフュージョン、スペイシー250フリーウェイマジェスティなど何かしらのビグスクを所有したのですが、その中でもスズキ・スカイウェイブ400の登場は大きなターニングポイントとなりました。

250ccエンジンでも普段使いの面では十分なパフォーマンスではあるのですが、基本的に元来飛ばし屋だった私は、モアパワーを求めており、400ccエンジンに心を打ちぬかれて初期型の新古車を購入しました。

駆動系カスタムの定番だったマロッシのマルチバリエーターを組み、マフラーはスーパートラップに、国内販売されていなかったGIVIの大型背もたれをイタリアから輸入したりと、手を加えて楽しんでいたことが懐かしいです。

車格は弟分にあたるスカイウェイブ250や他のライバル250ビグスクと同じでありながら、異次元的な加速を味わえるスカイウェイブ400は最高の相棒でした。

それなのに数年が経つと一気にブームは下火となり、あれだけ様々なモデルがあったビッグスクーターセグメントは、現在数台が名を残すのみとなっています。
そうなった要因としては当時の駐車場問題が挙げられ、都市部での置き場所がなくなったために気軽に使うことができなくなったのです。代わりに台頭してきたのは原付二種スクーターや、それと同サイズでありながらも150~200cc程度のエンジンを搭載するミドルコミューターです。

ただここ数年、にわかにビグスクの中古マーケットの動きが活発であることを肌で感じ取っていた私は、今一度現在における400ccクラスのスクーターの存在意義、そして使い勝手を知りたくなり、スカイウェイブ400の実質的な後継モデルにあたるバーグマン400ABS(以下バーグマン)のテストを行うことにしました。

ぶっちゃけてしまいますとスタイリング的には 新しいか古いか今一つわかりません!

1998年に登場したスカイウェイブ400ですが、その車名は国内向けモデルに使用されており、欧州をはじめとした海外ではバーグマンという名称で親しまれていました

何度か外装を一新するようなモデルチェンジが図られ、2017年にフルモデルチェンジが行われた際に、グローバル共通名称のバーグマンへ変更しています。

なおその昔バーグマンは200ccモデルとして国内販売されていた時期もあったのですが、現在その機種はモデルラインアップから外れ、原付二種クラスのバーグマンストリート125EXが存在しています。

現行バーグマンのスタイリングを見ると、まず美しいカラーリングや、ハンドルカバー、エッジの効いたボディパネルなどから高級感が持たされていることが伝わってきます。

一時期のビグスクはスポーティ志向に進み、ショートスクリーンやハンドルバーむき出しのスタイルが主流となりましたが、バーグマンはビグスクの良き時代の姿を残しながら、現代のエッセンスが散りばめられているまとめ方がされています。

ただ、一方で見慣れたスタイリングに新鮮さは無いとも言えるのかもしれません。

しっとりとした乗り心地に スポーティな味付け、これは萌える!!

バーグマンに跨り、まず感じたのは足つき性の良さです。ビグスクの場合、シート下のメットインスペースや燃料タンクを確保したり、アンダーボーンフレームを用いることなどから、シート高はもとより、シート幅が広くなりがちであり、その結果足つき面はスポイルされることが多いのですが、シート形状や足を地面に下ろした際のカウル形状など上手く工夫されており、両足べた足です。

走り出すと、400ccシングルエンジンの力強さとゆとりを存分に味わうことができます。250ccスクーターも駆動系の見直しなどにより昔と比べてずいぶん速く、スムーズにはなりましたが、排気量の差による余裕は絶大で、低速域からぐいぐいと車体を前へと押し出してくれる上に、高速走行時も振動が少なく快適なクルーズを楽しむことができます。

そして特筆すべきはハンドリングです。一大ブームが巻き起こっていたころのビグスクのタイヤは12、13インチ程度のモデルが多く、小径タイヤにありがちな、いわゆる足元をすくわれてスリップダウンするようなことも多く見ることができました。

なので、世の中のビグスクを良く観察してみると、サイドカウルに転倒傷を負っている個体が数多くあることが分かります。

その点バーグマンはフロント15インチ、リア13インチのタイヤをセットしており、フロントタイヤはスリップしにくく、後輪の方が小径であるため直進安定性も高いのです。
それでいながら、ハンドル、着座位置、ステップボードの三点からなる安楽なライディングポジションと相まって、ごく自然なハンドリングを楽しむことができるのです。

ワインディングでは想像以上に軽快な走りができ、ハイウェイクルーズはいたって快適。これを体験してしまうと、他のモデルの選択ができなくなってしまいます!

快適&安全装備も抜かりなし。 これが普通自動二輪免許スクーターのドン!!

私が昔乗っていたのは初期型のスカイウェイブ400なので、それと比べると雲泥の差となってしまうのですが、まずエンジンから伝わってくる振動が少ないのがポイント。スカイウェイブ400は出だしでブルブルとした振動がありましたが、それがかなり軽減されています。
燃焼効率の向上などを図るためにエンジンがツインプラグ化されていることも要因となっているかもしれません。

そして駆動系もしっかりと進化しており、エンジンの美味しい部分をしっかりと路面に伝えてくれます。

先にハンドリングが良いと書きましたが、足回りの動きも熟成しており、減速時にはスッと入り、加速時にはじわっと粘ってくれます。だから乗り心地も抜群です。

雨天時に走行した時、料金所を通過した際にフルスロットルをしたところ、400ccエンジンのパワフルなトルクにより、リアタイヤが若干左右に振れる場面があったのですが、トラクションコントロールが作動しそれを抑えました。つまりトラクションコントロールも有用であるということです。

ラゲッジスペースも広く、フロントボックスには12VのDCソケットも備わっています。

走行面、安全性、利便性、どれをとっても高得点をつけることができるパッケージングとなっている。これが普通自動二輪免許ビッグスクーター界のドン、バーグマンなのです!

独断と偏見で伝えたい ”勝手にGood&Bad!!” テストライダー小松男が独断と偏見で決めるグッド&バッド。

バーグマンでのグッド&バッドを選ぶ際、グッドポイントが多く悩みましたが、その中でも最も良いと思ったのは、駆動系のセッティングでした。

排気量が大きい=トルクがあるということになるので、ベルトやプーリーの摩耗も気になるところであり、設計も余裕を持たせたくなるのですが、あまりそこを緩くするとせっかくのパワーを活かした走りができませんし、一方で発進や加速に振ってしまうとメンテナンススパンが短くなってしまう。

そのような中で、これほどパワフルに仕立ててくれたかと感心させられるセッティングが伝わってきました。
どこを走らせても、スポーティかつラグジュアリーです。

一方バッドポイントはというと、メーターディスプレイの仕様です。速度計と回転計のデュアルメーターは、私のような古参のライダーからすると、スポーティでカッコいい! と思えますが、スマートフォンをはじめとしたガジェット類が生まれた時から親しんでいるイマドキライダーからすると、古臭く見えてしまうでしょう。

今後モデルチェンジが行われるならば、きっとスマートフォンアプリ連動の液晶ディスプレイとなると予言します!

車検があることなど気にしないで飛び込むべき! 所有欲も利便性も希望以上に満たしてくれます!!

巷を走るスクーターを見渡すと、原付二種クラスが大多数、それより少し少ない数の150~200ccクラススクーターというのが現在の実情です。

その根本的な要因は車両サイズです。市街地の時間貸しバイク駐車場は大型バイクを置くことができない場合が多く、車格の大きなビグスクはそっち側のグループに入れられてしまうのです。

でもよく考えてみてください。

バイク置く時間と走らせている時間、どちらが重要ですか?

はっきり言って、コンパクトなミドルコミューターとは段違いの乗り心地でありユーティリティ面も別格に便利なものです。

ソロでの移動はもちろん、タンデムライドも快適かつ余裕ですし、ロングツーリングだってこなせます

車検の有無で250クラスのビグスクと悩む方もいることと思いますが、先ほどのサイズ感の話で言えば、250と400は基本的に同じ車格。
ならばパフォーマンスに優れた400cc、バーグマンを選ぶことは間違いのない選択だと思いますよ!!

BURGMAN400 ABSの基本スペックをチェック!

BURGMAN400 ABS[2025]主要諸元
・全長×全幅×全高:2,235×765×1,350mm
・ホイールベース:1,580mm
・シート高:755mm
・車重:218kg
・エンジン:水冷4ストローク単気筒DOHC 399cc
・最高出力:29PS(21kW)/6,300rpm
・最大トルク:35Nm/4,900rpm
・燃料タンク容量:13L
・変速機:自動遠心式 Vベルト無段変速
・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-15、R=150/70-13
・価格:89万5400円

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