オトーサンもワカモノも爆釣!懐かしくも新しいネオフューチャースタイル!!【ヤマハ XSR900GP】

ヤマハ XSR900GPは2024年にデビューしたニューモデルの中でも、ひときわ高い注目を浴びていた一台です。
MT-09をベースとしたネオクラシックモデルであるXSR900の派生モデルなのですが、80年代に活躍した往年のGPレーサーを連想させるアッパーカウルの形状やカラーリングなどで纏められており、”オッサンホイホイ”、”ベテランキラー”などと揶揄されています。
しかし、実はワカモノだって興味津々。
今回はそんなXSR900GPとしっかりと向き合い、中身を探っていきたいと思います!

細部までふんだんに使われるホイホイスパイス。オトーサンはメロメロなのです!

YAMAHA XSR900GP_走行写真

一昨年の話になりますが、ジャパンモビリティショー(旧東京モーターショー)の会場で1980年代にWGP(現MotoGP)で活躍したYZR500(0W70)と共に展示され大きな話題となったXSR900GPは、ほぼそのままのカタチで2024年に市販化されました。
XSR900GP特有の懐かしくも斬新に目に映る独特なスタイリングは、80年代にヤマハワークスチームに在籍していたケニー・ロバーツやエディ・ローソンの活躍を知るファンはもとより、当時のことを知らないワカモノ世代であっても虜にしました。
この記事を書いている私自身も当時TZR250(3MA)を所有していたことがあり、XSR900GPのアッパーカウルのステー形状やコクピットに広がる視界などから、青春真っ盛りだった10代の頃のことを思い出してしまい、ちょっぴりセンチな気分になってしまいました。

素性の良さを活用したマルチな展開、スポーツモデルの楽しさが光ります!

YAMAHA XSR900GP_左横 YAMAHA XSR900GP_右横

XSR900GPはXSR900の派生モデルであり、その元を辿るとヤマハのスポーツネイキッドモデルであるMT-09がベースになっていることが分かります。
MT-09は2024年モデルでマイナーチェンジが行われており、XSR900や今回のXSR900GPもYRC(ヤマハライドコントロール)やクルーズコントロールなどの走行支援、スマートフォンとの連動システムなど多くの部分で共通の装備が施されています。
MT-09で言えばXSR900&XSR900GPという兄弟モデルのほか、足まわりの装備を中心に強化された上位モデルMT-09SP、新たなオートマチック機構を備えたMT-09 Y-AMTなども追加されるなど、2024年はより一層多角的に展開を広げることとなりました。
このことによりMT-09やXSR900などにヤマハが本気で力を注いでいることが伝わってきます。
そして面白いことに、そのどのモデルに乗っても、それぞれのキャラクターが明確に示されているのです。

結構、いや、とびきりのスポーツ志向!ライダーも気を引き締めて向き合います!

YAMAHA XSR900GP_ハンドルまわり YAMAHA XSR900GP_エンジン横

初代モデルからMT-09が好きでこれまで何度も試乗テストを行ってきましたが、マイナーチェンジを受けた2024年モデルではその集大成とも言えるほどの高い完成度に感服していました。
XSR900も同様であり、MT-09と乗り比べると、ややソフトな乗り味とされている方向ですが、ネオクラシックファンの心を鷲掴みにしていることを知っています。
そのような中で満を持して登場したXSR900GPなのですが、まず低くセットされたセパレートハンドルからなるライディングポジションからしてスパルタンです。
シート高は835mmで、これはXSR900と比べて25mm、MT-09より10mm高い数値となっています。
もちろんレーサーレプリカという存在でありヤマハのフラッグシップスーパーバイクであるYZF-R1ほどの窮屈さは無いのですが、それにしてもお腹をしっかりとひっこめなければならないですし、上体を支える背筋も欲しいところ。
この感じがむしろライダーの気持ちを引き締めさせてくれるポイントとなっており、スポーツバイクと向き合おうという気持ちにさせられてしまいます。

最高のエンジンフィーリング!過不足無い足まわりのセッティング!

YAMAHA XSR900GP_アッパーカウル YAMAHA XSR900GP_メーター

クロスプレーンコンセプトを元に誕生したCP3エンジンは円熟されており、アイドリング時のサウンドからしてワクワクしてしまうこと請け合いです。
タッチの軽いクラッチレバーを操作し走り出した瞬間から、極上と言えるほど気持ちの良いエンジンフィーリングを楽しむことができ、一気に脳内トリップしてしまうほどです。
やや前傾姿勢のキツイライディングポジションは、バーハンドルモデルが多い現在において、そのダイレクトな操作がむしろ新鮮に思える方もいることでしょう。
ハンドルに力を入れ過ぎないように、腰もシートにドカッと座らないように、全身の筋肉を使いながら走らせる感覚はスポーツそのもの。
思い返してみると、若かりし日に熱狂的に向き合ったレーサーレプリカたちは、どれもこれも一癖あるものでしたし、当時はそれらをどうやって乗りこなすかということに集中していました。
やわらかな曲線を描くXSR900GPのアッパーカウル越しに見る世界はノスタルジックでありながらも、「まだまだ、やれる!」とオトーサンの気持ちを奮い立たせるに十分な魅力があります。

ストリートメインのアスリート仕上げ、これぞワインディングマジシャン!

YAMAHA XSR900GP_乗車姿勢横 YAMAHA XSR900GP_乗車姿勢前 YAMAHA XSR900GP_フロントホイール YAMAHA XSR900GP_リアまわり

MT-09やXSR900と比べると、格段にスポーティな味付けがなされているXSR900GPなのですが、とっつきにくいというわけではありません。
安全面で言えばトラクションコントロールの介入具合はごくナチュラルなものですし、腕の立つエキスパートライダーであればトラクションコントロールを活用するようなスポーツライディングも楽しめます。
足まわりのセッティングも絶妙で、フロントブレーキをかけた際のフォークの沈み込み量、ダンピング特性はワインディングでドンピシャ。リアサスペンションの動きも良く、コーナーの出口に向かってスロットルを開け始めた際の、リアタイヤのトラクションの掛かり具合は涙が零れ落ちるほど気持ちが良いのです!
高速道路ではオートクルーズをセットし楽ちんクルーズができますし、テスト期間中には100kmほどのややロングと言えるタンデムも行ったところ、パッセンジャーは膝の曲がりが強いので、下半身が疲れたそうですが、それでもシートのクッション性は高く、一気に長時間を走るようでなければタンデムツーリングもカバーできることが分かりました。
つまり、XSR900GPはピュアなスポーツバイクではありますが日常的な使い勝手も問題ないということなのです。

独断と偏見で伝えたい”勝手にGood&Bad!!”

テストライダー小松男が独断と偏見で決めるグッド&バッド

YAMAHA XSR900GP_グッドポイント YAMAHA XSR900GP_バッドポイント

XSR900のスタイリングはネオクラシックでありながら中途半端感もあり、個人的に今一つだと思っていたのですが、XSR900GPのデザインは褒めちぎりたくなるほど秀逸でこれが最大のグッドポイントです!!
ビスの頭や、わざと梨地としている部分などの仕上げも総じて良く。懐かしさと高級感を高次元で両立!!これでアナログタイプの丸いケースのメーターだったら最高でした。

バッドポイントは、最初は良いと思っていたバーエンドミラーです。後方視界はくっきりはっきりなのですが、パーキングスペースに駐車する際などで車幅が広く、隣の車両や壁などに当てないように注意しなければなりません。
でも、ミラー形状は昔のTZR250みたいで気に入っているんだよなあ……。

迷わずXSR900GP一点張り!他に選択肢はありませんでした!

YAMAHA XSR900GP_右斜め前

開発陣はとても楽しみながらXSR900GPを造り上げたことであろうということが細部から伝わってきます。
ベテランは懐かしさを上手く表現しながら、そしてワカモノは知らない世界ではあるものの、当時のことをイメージしながら、あーでもないこーでもないと打ち合わせを繰り返したことでしょう。
ネオクラシック系のバイクがブームとなり久しいですが、もはや出尽くした感があるなかで、XSR900GPはしっかりとしたプレゼンスが感じられるものでした。
というか、他の多くは60年代や70年代のクラシックモデルをイメージさせる中で、80年代のリバイバルとしたことが人の目を惹きつけたということもあるでしょう。
XSR900GPで信号待ちをしていたら、隣にいたトリシティのライダーから「やっぱり赤白のカラーリングが良いですよね!私も注文して納車待ちなのですよ!」と声を掛けられました。注目度抜群なのです。
ヤマハが誇るCP3エンジンを搭載するモデルはMT-09系、XSR900、トレーサー9GT、今後はさらにYZF-R9が登場することが決まっていますが、その中でもなつかしさを感じさせるデザインとスポーツライディングパフォーマンスを高次元で兼ね備えているのはXSR900GPだと思います。
他には無い一台であり、長い目で見てもその価値は不変と言えるものでしょう。

XSR900GP[2024]主要諸元

  • 全長×全幅×全高:2,160×690×1,180mm
  • ホイールベース:1,500mm
  • シート高:835mm
  • 車重:200kg
  • エンジン:水冷4ストローク直列3気筒DOHC 888cc
  • 最高出力:120PS(88kW)/10,000rpm
  • 最大トルク:93Nm/7,000rpm
  • 燃料タンク容量:14L
  • 変速機:常時噛合式6段リターン
  • ブレーキ:F=ダブルディスク、R=ディスク
  • タイヤ:F=120/70ZR17、R=180/55ZR17
  • 価格:143万円

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