ライバル比スポーティ増し! “大リーグ養成ギプス”スタイル!!

近ごろ盛り上がりを感じさせるのが、排気量600〜900ccあたりの“ミドルクラス”。各メーカーがこぞって環境性能とパフォーマンスのバランスに知恵を絞り、魅力的なモデルを続々とリリースしています。

せっかく大型免許を取ったのに、リッターオーバーだと「持て余すなあ」と感じる場面も多いし、400ccを選ぶなら「中免でもよかったのでは?」なんて声もチラホラ。そんな今こそ、走りもサイズ感もちょうどいい“ミドル”に注目したいところなのです。

中でもヤマハは、かつての主力スーパースポーツであるYZF-R6の生産を2020年で終了しており、そこからバトンを受け継いだのが今回の主役YZF-R7です!!

でもR6とR7は、見た目こそ似ていても中身はまったくの別モノ。R6が「勝つため」のマシンだったのに対し、R7は「楽しむため」のリアルストリートスポーツです。そんなYZF-R7の魅力を、じっくり探っていきましょう!

”ルック”扱いはナンセンス! R7はピュアなスーパースポーツなのです!

YZF-R7は、ヤマハのフルカウルスポーツ「YZFシリーズ」の中でミドルクラスに位置付けられるモデル。今ではすっかりおなじみになった並列2気筒エンジン”CP2”を搭載し、2022年に登場しました。

実は「YZF-R7」という名前は以前にも使われていたのですが、あちらは並列4気筒で、完全にレーシング前提の超レアモデル。今回のR7とは開発思想も目的も別モノなので、混同しなくて大丈夫です。

さて、今回なぜ改めてR7に注目したのかというと、スズキのGSX-8Rの試乗テストを行ったことがきっかけで、電子制御も充実した素晴らしい出来のバイクだったこともあり、「じゃあ従来型のワイヤースロットルを持つR7はどうだろう?」と気になったわけです。

さらに思い出したのが、R7初登場時のサーキット試乗会。ある業界の方から「R7ってルックだけなんじゃないの?」と言われたのです。でもね、それってちょっとズレた見方じゃないですか?

かつてR6がWSS(スーパースポーツ世界選手権)向けのホモロゲモデルだったのは確かです。でも最近はレギュレーションが変わって、排気量やエンジン形式に幅が出てきています
つまり「ルールに収めるための縛り」が減った分、自由な設計のマシンが活躍できる時代になったのです。

だから、R7が“ピュアなレーサーレプリカじゃない=ルックモデル”と決めつけるのは、ちょっともったいない考え方かもしれません。

タイトなポジションにドキッ! このスポーツ感、想像以上!

久しぶりにR7にまたがって、まず驚いたのがライディングポジション。けっこう前傾がキツめなんです。

以前は「R1よりはずっと楽で、万人向けかな?」という印象だったのに、今回あらためてGSX-8Rなどと比べてみると、R7はなかなかにスパルタン。

最近のフルカウルスポーツは、ステップが低くてハンドルが高め——つまり少し“ゆるめ”のポジションが主流。でもR7は真逆。タイトで、グッと前傾。だからこそ、乗り始めた瞬間から「よし、今日は攻めるぞ!」とスイッチが入るんです。

搭載されているCP2エンジン(MT-07XSR700テネレ700と共通)は、低中速でしっかりトルクがありながら、扱いやすくて高回転の伸びも気持ちいい。

MT-07などに比べると、R7は明らかにスムーズかつシャープな印象で、走らせるごとに“スポーツの楽しさ”がじわじわ伝わってきます。

ぐるぐる回るぞ、スポーツマシン! 全身を使って乗る感覚が気持ちいい!!

R7に乗ると、自然と「全身でバイクを操ってる感覚」がよみがえってきます。

最近のバイクはどんどん快適になっていて、あまり意識せずとも“それっぽく”走れるモデルが増えてきました。でもR7は、ちゃんと乗り手に働きかけてくるんです。

セパハンの角度は深く、ハンドルに体重を預けてしまうとコントロールが乱れがち。だから、背筋と腹筋、脚のホールドをしっかり使って乗る必要があります。

このあたり、「スポーツってこうだったよなあ……」と思い出させてくれるポイント。乗れば乗るほど、ライディングフォームや操作が洗練されていく。そう、まるで“大リーグ養成ギプス”的なバイクなんです。

コーナーでは、まるでコマのようにクルクルと旋回できる。しかもそれが、びっくりするほど気持ちいい!

ストイックだからこそカッコいい!! 過剰な装備? そんなのいりませんよ!

ここまで読んでいただけたなら、R7のキャラがかなり見えてきたかと思います。

電子制御てんこ盛り! というより、必要な部分をきちんと磨いた“筋トレ型”の仕上がり。ライディングモード切り替えやクイックシフターはナシ(シフターはオプション)。その代わり、サスペンションはフルアジャスタブル、ブレーキはブレンボのラジアルマスター&ラジアルマウントキャリパーと、走りの核心部分にはしっかり投資されているのが◎。

ハンドル位置はR1やR6よりも高めで、付き合いやすさもちゃんと確保されています。“がっつり構えるけど、毎日でも乗れる”。そんなスーパースポーツなのです!!

◆Good:ハンドル周りの質感がピカイチ!

この価格帯のフルカウルスポーツで、ここまで質感のあるコクピット周りはなかなかありません。ライダー目線で見ても満足感が高く、「所有してる喜び」がちゃんと味わえます。

◆Bad:タンデムシート、いる……?

正直に言って、タンデムシートはデザイン面でも実用面でも“中途半端”。乗るときの快適性や積載性はそれほど期待できないし、だったら最初からシングルシート仕様でも良かったのでは? と思わせるくらいです。

モデル末期と思えるから狙い目? 現行R7の魅力、乗るならいまです!!

そろそろモデルチェンジの話も聞こえてきたYZF-R7。でも、だからこそ今がチャンスかもしれません。

完成度の高いシャシーに、扱いやすくてパンチのあるCP2エンジン。ハード過ぎず、でも甘くない。そんなバランス感が、このR7の最大の魅力です。

最新型が出ると、つい“新しい方が良さそう”と思ってしまいがち。でも現行型R7には、熟成された“いましかないおいしさ”が詰まっているのです!

スポーツライディングって、やっぱ楽しい!
そう思わせてくれる1台を、ぜひ体感してみてください!!

YZF-R7の基本スペックをチェック!

YZF-R7[2025]主要諸元
・全長×全幅×全高:2,070×705×1,160mm
・ホイールベース:1,395mm
・シート高:835mm
・車重:188kg
・エンジン:水冷4ストローク単気筒DOHC 688cc
・最高出力:73PS(54kW)/8,750rpm
・最大トルク:37Nm/6,500rpm
・燃料タンク容量:13L
・変速機:常時噛合式6段リターン
・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70ZR17、R=180/55ZR17
・価格:105万4900円

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