世界に誇るニッポンのスーパーバイクは ”皆が憧れる一台”であるべき存在なのです!! 【スズキ Hayabusa】

90年代後半から本格的に始まった最高速バトルブーム。その当時人気だったのがカワサキZZ-R1100ZX-9R、そのライバル的存在のホンダCBR1100XXスーパーブラックバードなどでしたが、それらに対抗して登場したのが1999年に登場したGSX1300R Hayabusa、つまり初代ハヤブサ(本項ではどの年式のモデルもハヤブサと表記します)なのです!

ぬめりと有機的で特徴あるフォルムは空力特性に優れ、最高出力は175馬力と当時ではかなりのスペックでした。2000年には時速312.29kmの最高速をマークしギネスブックにも掲載されています。

そんなハヤブサの最新モデルは大まかに分けると3代目となっており2021年に登場しました。
走っているのを見かけると“オッ! ハヤブサだ!!”と思わせる強いインパクトを与えてくれる特異な存在感を放っておりとにかくカッコいいのです!!

今回はそんなハヤブサの使い勝手や乗り味、そして購入時のポイントなどを探っていきましょう!!

忘れ去っていたあの頃の風景 それを思い出させてくれるハヤブサ!

先述した最高速バトルブームというのは日本というより欧州を中心とした海外でのムーブメントでした。スウェーデンで制作されたアンダーグランドビデオである”ゴーストライダー”では公道を時速300kmで走行するシーンなどが撮られており、当時まだ20代だった私も興奮して鑑賞したものです。アメリカではロングスイングアームしたドラッグレーサー的なカスタムがブームとなっていました。日本では正規販売されていませんでしたが逆輸入モデルで楽しむライダーが多くいました。

令和になった今ではかっ飛ばして走るクレイジーライダーも絶滅危惧状態となりましたが、最盛期はそこいらで最高速チャレンジをしてしまうライダーもおり警察の目にも余るだけでなくアクシデントとなれば相当のモノ。特に欧州では社会問題的な扱いがされ、各メーカー300km/hのリミッターを設けることになりました。

その後はアドベンチャーバイクやネオクラシックモデルなどがブームとなり、最高速をうたい文句にするモデルはほぼ皆無となりました。
そのような現在でもハヤブサは根強いファンが存在しており、世界各国のマニアは繋がりを持っています。

”アルティメットスポーツ”と呼ばれる所以 それは本質的な乗りやすさにあるのです!

これまでに初代、2代目、そして現行型と歴代のハヤブサを試乗テストした経験がありますが、まず触れてみて最初に思うのは「こいつ重量級だなぁ」ということです。先代モデルと比べると装備重量で2kg軽くはなっているのですが、それでも264kg。
ただし走り始めるとこれがさほど気にならないものなのです。そしてスピードを上げるほどに安定感は増していきます。時速100km程度では歩いているような感覚で走れてしまいます。

ハヤブサのことを超最高速度を誇る直線番長バイクだと思っている節はありませんか? ノーノ―、コーナーリング性能も秀逸なのです。低速コーナーでの切り返しから高速コーナーまでスマートにこなしてくれるのです。なのでサーキットを走らせてもかなり楽しめてしまいます。

現行モデルでは操作に対して忠実な走行性能をベースに、新たに採用した電子制御システムS.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)では、出力特性、トラクションコントロール、エンジンブレーキコントロールなど5つの制御を設定パターンから選択できるSDMS-α(スズキドライブモードセレクターアルファ)も備わっています。
つまり電子制御スロットルやIMU(6軸センサー)となっているのですが、これがかなり自然なのです。

昨今試乗するビッグバイクはスロットル操作に対してややケミカルな印象を受けることもあるのですがハヤブサに関しては非常に従順であり、それでいて細かな設定を行えるので、自身のライディングスタイルに合わせたハヤブサにセッティングすることができるのです。

大柄には見えますが気のせいです いや、気のせいではないか?


「走行性能のことは分かったけど、それよりも前に実際自分に乗れるかなあ?」と思うかもしれません。確かに先ほど記述したようにハヤブサはかなりの車重です。しかし跨ってみると800mmのシートはさほど高くなく思えるでしょうし、車体を起こしてみると、重心がかなり低い位置に設定されているために”意外といけるかも!”と感じるでしょう。
ただ小柄な方だとシートの幅が広いと思うかもしれません。

前傾姿勢を強いられますが、WSBKレプリカ系のスーパーバイクと比べると、ハンドルの垂れ具合も、ステップの位置による膝の曲がりも緩いです。
これはサーキットで生まれ育ったバイクと、ストリートに根を張るモデルとの違いと言えるでしょう。

ロングツーリング特化型? いいえ毎日乗ってあげましょう!

基本的には超高速スポーツというキャラクターではあるので、ツアラー傾向の仕様であることは間違いないです。優れた空力特性は長時間に及ぶ高速走行下においてもライダーが受ける走行風による疲れを最小限にしてくれますし、シートも厚手で角度が良いのでお尻が痛くなりにくいです。

ただし苦しいと思う場面が無いとも言えませんでした。それは渋滞路です。
走っていればヒラヒラとしているのですが、極低速でストップ&ゴーを繰り返すのは実際のところ少々疲れます。それはこの手のバイクであれば仕方の無いことですし、ズドーンと走った時にはそんなことを忘れさせてくれる快感が得られるのでマイナスポイントとも言えませんが。

シフトアシストシステムやETCも標準装備 これは実際にありがたいことです!

現行型のハヤブサではシフトアシスト機能やETCが標準装備となっています。実用域の2000~3000回転くらいでも結構速度が乗ってしまうので、狭い路地を抜ける際などは半クラも使いますが、ちょっと前の道が開けたらフォーン、フォーン、フォーンとクラッチレバー操作無しでシフトチェンジできるのは気持ち良いものです(シフトアップ/ダウン共に作動)。

そしてETCの標準装備も助かります。というのも最近はETCでなければ通過できないスマートインターが増え、もうETC無くしてはストレスなく気軽に高速道路を使うことができなくなってきているからです。

独断と偏見で伝えたい ”勝手にGood&Bad!!”

ハヤブサというバイクが好きなのでどこを選ぼうかかなり悩んだのですが、現行ハヤブサのグッドポイントはバックミラーにしました! 玄人っぽいでしょw?
ボディとの一体感があるデザイン。タラッと流していてもスピードを出して上体を伏せても後方視界バッチリ。しかも振動でビビることなく速度を上げても走行風で倒れない。
ピンポイントで言えばこのバックミラーが好きです。

バッドポイントは押し引き取り回しの重さ。これは仕方の無いことですが、車幅も広くガレージの出し入れも気を使います。
対応するには体を鍛えるかコツを掴むかです!

超人的な魅力が凝縮された パーペキなスーパーバイクです!

数年前のことですがハヤブサのようなハイスピードスーパーバイクがめっきり少なくなったので気になっていたところ、昔ご縁があった方が乗らなくなったというBMW・K1200Sを譲り受けたのです。
乗ってみるとこれがまた最高ではあるのですが、高速域で走らせるとミラーは折りたたまれてしまうし重くて取り回しもしにくい。
そう、ハヤブサのグッドバッドで選んだ点に通じているのです。
BMWはその後この手のモデルの生産を辞めてしまったのですが、それもありここにきてハヤブサの魅力が際立っていると感じています。

3000回転程度を使ってストリートをクルーズできて、7000回転も回せばお腹いっぱい、9000以上は異空間に飛び込めます!
そしてスタイリングや走らせた時の感触などがレーサーレプリカほどギラギラしていない点も僕的には良いことと思っています。レプリカの加速は脳みそを揺さぶる感じですが、ハヤブサは吸い込まれるようでそのフィーリングに陶酔できます。つまり高級感を持つ大人のスポーツバイクなのです。

「中古でも良いかなあ?」と思っている方は車両の状態を確認することをお薦めします。初代モデルであれば50~100万円でゴロゴロ流通していますが、何せハイパワーモデルですので、エンジンは良いとしても足まわりなどしっかりとした整備記録が残っているものを選んだ方が後々苦労せずに済むと思います。
新車であっても223万3000円、私はこれは破格だと思います!
世界一のバイク大国ニッポンが世界に誇るハヤブサ、一度手に入れてみるのも良いですね。

Hayabusa [2025]の基本スペックをチェック!

Hayabusa [2025]主要諸元
・全長×全幅×全高:2,180×735×1,165mm
・ホイールベース:1,480mm
・シート高:800mm
・車重:264kg
・エンジン:水冷4ストローク直列4気筒DOHC 1,339cc
・最高出力:188PS(138kW)/9,700rpm
・最大トルク:149Nm/7,000rpm
・燃料タンク容量:20L
・変速機:常時噛合式6段リターン
・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70ZR17 M/C(58W)、R=190/50ZR17 M/C(73W)
・価格:223万3000円



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