
2002年、主に欧州へ向けた輸出モデルのVストローム1000から始まったスズキ”Vストローム”の歴史は、その後ミドルクラスや今回ピックアップするVストローム250などレンジを広げ、現在ではVストローム1050/800/650/250と排気量を分けた多くのモデルをラインアップしています。
ただ良く見てみると250クラスにはVストローム250とVストローム250SXの2モデルが存在しており、シングルと並列二気筒とエンジンの形式からして異なるモデルです。
これは、きっと購入するとき悩んでしまいますよね。
そこで今回は、Vストローム250にフォーカスを当てるとともにVストロームSXとの違いなどを探っていきたいと思います!
目次
実は名機GSR250系が設計のベース だから信頼性も高いのです!

今回のVストローム250の初代モデルが登場したのは2017年のことです。上位モデルのアイデンティティであるクチバシスタイルを持つ普通自動二輪免許で乗ることのできるアドベンチャーモデルです。
エンジンはフルカウルスポーツモデルであるGSX250Rと型式を共通とする250ccSOHC並列2気筒エンジンを採用しており、設計のベースとされたのは実は以前ラインアップしていたGSR250系でした。
話は逸れますがGSR250は250ccクラスとしては大柄な作りであり、左右2本出しのマフラーなどからワンランク上の高級車というような存在で、しっとりとした走りも楽しめることからファンを多く持つモデルでした。
この記事を書く私自身もGSR250登場時にはスタイルこそ今一つピンときませんでしたが、乗ってみるととても素晴らしく即座にぞっこんとなったことを今も覚えています。
その流れをくむVストローム250なので、やはり乗り味も上質でありエンジンのフィーリングから足まわりの動きまで、クラスを超越した印象を受けます。
高いコストパフォーマンス 業界人からも支持熱!


初めてVストローム250を目の前にされた方は、きっと“思った以上にデカい!?”と思うかもしれません。
モデルにもよるのですがスズキは、同クラスライバルモデルの中でもやや大きめサイズで作ることが多いと思います。
シート高を見てみると800mmとそれなりの数値となっていますが、足を地面に下ろした際に内ももが当たるシートの角の部分が削られているので、足つき性が悪いと思うこともありません。
対してVストロームSXは傍から見たサイズ感こそ大差ないのですが、シートは835mmとされており若干高いと感じます。
ただこれが足つき性だけで比べる問題でもないのです。例えばVストローム250の車重は191kgであり、Vストローム250SXは164kgと27kg(!!)も軽量なのです。
これは乗り心地にも表れており、Vストローム250は高速道路などでも落ち着いたクルーズを楽しめます。
そして軽量なVストローム250SXの方が未舗装路などではメリットがありそうだとも思いました。
エンジンフィーリングが良好! ハンドリングもナチュラルテイスト!


80~90年代にかけて250~400ccクラスのレーサーレプリカモデルで育った私としては、2000年に入ってからの普通免許クラスはスポーツモデルであってもエンジンに物足りないと感じていたことは事実です。
ただ一方で時代的に過剰なパフォーマンスが求められなくなったこともあり、体の方が勝手に慣れていきました。その中でもVストローム250にも搭載されているスズキの並列2気筒エンジンのフィーリングは心地よいと思います。
どの回転域からでもしっかりとしたトルクが感じられ、しかもスムーズかつシャープな回転上昇を楽しめます。
ハンドリングに関してはスタイリングこそアドベンチャータイプなのですが、現在のロードスポーツモデルの定石となっている前後17インチタイヤを採用していること、安楽なライディングポジションであることから、ワインディングロードで攻めるような走らせ方をしてもとてもナチュラルな旋回フィールをもたらしてくれます。
エンジンや足まわりのセッティングなどはロードバイク的なセッティングとされていると言えます。
日常的な使い勝手に関しては 良いの? 悪いの? どうなのよ!?


Vストローム250を試乗テストのために1週間ほどお借りしていました。その間、自分自身が所有する大型フルカウルスポーツバイクやビッグスクーターはもとより、期間を被る形で他メーカーからお借りしていたシングルエンジンを採用したクラシックスタイルのニーゴークラスバイクよりも、Vストローム250を選んで乗ることが多かったです。
その理由として第一に使い勝手の良さがあります。近所の買い物やコンビニに行くのであればビッグスクーターやシングルエンジンのバイクの方が気軽でしたが、往復40km程度の行動範囲となると荷物を沢山載せても何ら問題のない、というか荷物を載せたくなってしまうほどの積載性の高さや、ちょっと高速道路を使った移動というのも気軽なのです。
シフトインジケーターやメーターディスプレイサイドにUSB電源が備わっているのも重宝しました。
強いて言うならばギア比の問題から高速道路走行時に6速トップでも結構な高回転を使って走るようになるので、もう少しロング気味のギア比設定であっても良いかもとは感じました。
オフロードも入れるけれど……。まあ無理することもないかな!




“アドベンチャーバイク=冒険できちゃう!”と連想するのは当たり前。本当に荷物を満載にしてどこへでも行けてしまいます。
が、しかし、オフロードバイクではないので未舗装路の走破性は今ひとつだと考えておいた方が良いかもしれません。
先述しましたがフロントタイヤは17インチでありますし(通常オフロードモデルはフロント19インチ以上、本格的なものは21インチです)、サスペンションのストローク量やセッティングもオンロード志向です。
未舗装のフラットダートなどには持ち込んでみましたが、そこがメインステージではないと思いましたし、最低地上高も低めなので段差を乗り越えるようなことも苦手ではあります。
ただ四輪車マーケットを見回すと、格好だけSUVスタイルのルックモデルも多く、それが一般的に受け入れられています。
なのでVストローム250もそれらに近い立ち位置なのかと思うとともに、“駄目かも”と思いながらオフロードに入っていっても割とイケてしまう。そんなキャラクターに仕上がっています。
独断と偏見で伝えたい”勝手にGood&Bad!!”
テストライダー小松男が独断と偏見で決めるグッド&バッド


ザ・アドベンチャー的でありVストロームシリーズだとしっかり訴えかけてくるスタイリングがまず好きです。
そのうえで使い込んでいくと、グラブバーを兼ねたキャリアやタイダウンベルトのベルトループにもなっている純正サイドケースのベース部分など、積載性の高さ、そしてタフな作り込みが最高にグッドだと思えました。
バッドポイントは私の体格からするとハンドルバーはもう少し低いほうが好みですね。スタンディングポジションはしやすいのですが、シッティングポジションだとハンドルが高すぎる印象です。
ただ良くハンドルを見てみるとラメ塗装となっていることが分かったので、それは良し!!
結局のところ兄弟モデルとどっちにする? 価格差や使い方もイメージして選んでね!!

これまでも原産国や出荷地域などの事情によって、Vストローム250とVストローム250SXのように同じ排気量であっても、シングルエンジン、ツインエンジン別々のモデルがラインアップされることはありました。
選択肢が多いことは嬉しいのですが、どちらを選ぶか悩ましいことでもあります。そこで今一度両者の違いを見てみることにしましょう。
Vストローム250とVストローム250SXにおいてエンジンの気筒数、シートの高さと車重の差は先述した通りです。
注目すべきはフロントタイヤで、Vストローム250が17インチなのに対して、Vストローム250SXは19インチとなっており、その上、最低地上高は前者が160mmで205mm(SX)です。
そう、これでわかってきましたね。
軽量かつ未舗装路走破性が高いのはVストローム250SXで、日常的な使い勝手や長時間に及ぶロングツーリング、上質な乗り味などを求めるのならば、今回のVストローム250ということになります。
そもそも車両価格を比べてみてもVストローム250SXは税込みでも60万円を下回る59万1800円、対してVストローム250は66万8800円と結構な差があるのです。お財布状況から考えても良いでしょうね。
もし私がどちらにしようか悩んだとしたならば、一台所有のメインバイクでは全部盛り感の強いVストローム250、他のバイクも所有しておりセカンドバイク的な使い方ならばVストローム250SXという選び方かなぁ!(あくまでも個人的な考えです)
Vストローム250[2025]主要諸元
- 全長×全幅×全高:2,150×880×1,295mm
- ホイールベース:1,425mm
- シート高:800mm
- 車重:191kg
- エンジン:水冷4ストローク直列2気筒SOHC 248cc
- 最高出力:24PS(18kW)/8,000rpm
- 最大トルク:22Nm/6,500rpm
- 燃料タンク容量:17L
- 変速機:常時噛合式6段リターン
- ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
- タイヤ:F=110/80-17、R=140/70-17
- 価格:66万8800円
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