【冬を乗り切れ!バイクの寒さ対策:ライダー編】最強の防寒対策は○○!実はプランも重要

【文:沼尾 宏明】

風を切って走るライダーにとって、冬は厳しいシーズン。でも様々なアイテムやノウハウを駆使すれば、十分楽しむことは可能です。ライダー向けとバイク用の対策について、2回に分けてお届けしましょう。
まず今回は「ライダー編」。どんな対策があるのか、要チェックです!

まず結論、最強なのは自ら熱を発生する、あのアイテム

冬の走行中、ライダーの体感気温は凄まじく下がります。気温5度で50km/h走行の場合、理論上の体感気温は約マイナス11度。100km/hでは何とマイナス16度にまで下がってしまいます。

そんな中、ライダーの防寒対策で最も効果が高いのは「電熱アイテム」だと私は考えます。

普通のウエアは体温を蓄積して寒さを防ぐため、温度が奪われ続ける極寒時にはやはり限界があります。しかし、電気を用いて熱を自ら作り出す電熱ウエアなら「寒くない」どころか「温かさ」を得られます

電源は、車載バッテリーのほか、スマホ用や専用のモバイルバッテリー対応タイプも登場。車載バッテリーから給電するタイプは配線する手間や、電熱アイテムとコードでつなげる必要があります。その分、連続使用ができ、暖かいタイプが多いです。

モバイルバッテリータイプは容量によりますが、4~8時間程度は使用可能。暖かさも十分確保されているため、手軽に電熱ウエアを使いたい人にオススメです。

ジャケットのほか、ベスト、ズボン、靴下、グローブなどが販売されています。

電熱ジャケット

電熱ジャケット

電熱アイテムは最強の防寒対策。車載バッテリーから給電するタイプは稼働時間に制限なしですが、車体から電源を取り出す必要があります。またコードの着脱が煩わしい場合も。一方、モバイルバッテリータイプは充電する手間があります。


電熱グローブ

電熱グローブ

こちらは専用バッテリー付きの電熱グローブ。最も走行風を受けやすい手を電熱で暖めることができます。


重ね着の基本は役割を分担した「レイヤード」、電熱にも必要です

しかし電熱アイテムだけでは万全ではありません。また、「もっとシンプルに防寒対策したい」と思う人もいることでしょう。そこでオススメしたいのが「効率的な重ね着」「レイヤード」とも言われます

寒いからと言って無闇に厚着すると、着ぶくれ状態になって、ライディングに必要な体の動きを妨げたり、重くて疲れやすくなる可能性も。また温度調節をするのも大変。汗をかいた場合、内部の温度を調整できず、汗冷えしてしまうケースもあります。

そこで「アウター、インナー、アンダー」の3種のウエアに防寒の役割を分担させるのがポイントです。

最も外側のアウターで防風、中間のインナーで保温、肌と接するアンダーで吸汗&保温の役割を分担させると快適です。


まずアウターウエア、つまり最も外側に着るジャケットやパンツは、外側からの風と冷気をシャットアウトするのが役目。防風素材のナイロンなどを使ったタイプを着用します。サイズが大きすぎると冷気が侵入するので、適正なサイズを選ぶのも大事です。

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インナーウエアは、保温性を高めるのが目的。素材は中綿やダウン、フリースが主流で、肌とアウターの間に暖かい空気の層を溜め込んでくれます。また、アウターで防ぎ切れなかった風を止める補完的な役目を持つ製品もあります。

日中は暖かく、日没後は激寒といった場合、インナーを脱ぎ着して体温を調節するのに役立ちます

なお、アウタージャケットとインナーが一体になっているタイプのほか、アウターにインナーが付属し、着脱可能な製品もあります。着脱式は幅広いシーズンで使用でき、温度調整に便利ですが、保温性のみなら一体型の方が優れているケースが多いようです。

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そしてアンダーウエアは、いわゆる肌着です。人間は真冬でも発汗しており、これが溜まると汗冷えの原因に。肌着で一般的なコットンは肌触りもよく快適ですが、汗をかいて濡れると乾きにくく、急速に体温が奪われてしまいます。

そこで有効なのが速乾性や吸湿性に優れる高機能アンダー。汗を素早く吸い、外部に放出して、汗冷えを防いでくれます。

まとめると、アウターで防風、インナーで保温、アンダーで吸汗&保温の役割を分担させることになります。

なお電熱ジャケットやベストは、アウターの下に着る「インナーウエア」が多いです。この場合も別途アウターやアンダーウエアがないと十分な効果を発揮できません。

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人体の「首」が付く場所をガードするとさらに効果的!

さらに効果的なのは、首、手首、足首といった「首」の付く場所を冷やさないこと。こうした箇所は血管が体の表面を走っているため、冷えると体温が奪われやすいのです。このセオリーは電熱ウエアを使う場合も同様です。

この箇所は衣服のスキ間から冷気が侵入しがちなので、袖口や首元のアジャスターをしっかり締めること。さらに、ネックウォーマーやサポーター、リストバンドなどを活用しましょう。

ちなみに首元はマフラーよりネックウォーマーがオススメ。巻いたマフラーが走行風などでほどけて落としてしまったり、最悪の場合、チェーンやホイールに絡まるケースもあるからです。

筆者は、極寒期にフード付きの中綿インナーを着て、フードを被った状態でヘルメットを被ることも。首の後ろや耳が冷えないで済みます。

袖のアジャスターはすき間がないように締めます。それでもすき間ができるならリストバンドを中に入れ込むのも手です。


筆者は首元から顔まで覆うネックウォーマー兼フェイスガードを長年愛用。素材は薄くて防風効果の高いゴアウインドストッパー製です。


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個人的には昔懐かしいオイル式カイロも使います

筆者は個人的にカイロもよく使います。使い捨てカイロではなく、いわゆる「ハクキンカイロ」として古くから親しまれているオイル式カイロです。これは気化したライターオイルやベンジンと、火口内に固定したプラチナ触媒を反応させることで生まれる熱を利用したもの。

電気式のようにカンタンにオンオフできるわけではありませんが、とにかく高温!下手するとヤケドするぐらい熱いのですが、お腹に入れておくとポッカポカですし、休憩時に手を暖めたりするのに便利。条件や燃料によっては24時間以上保ちます。

なおZIPPO用のライターオイルはコンビニなどでも手に入りやすいものの、高価。ベンジンはもっとリーズナブルですが、最近は一部のホームセンターなどでしか売ってません。

ZIPPO製のオイル式カイロ。火口をライターで炙って使用します。直接だと凄く熱いので、フリース製などの袋に入れて使います。


暖かい時間帯と場所を走るプランもオススメ

ライダーが身に着ける防寒対策を紹介してきましたが、そもそもあまり寒くない時間帯や場所を通るプランニングも大事です。

なるべく太陽が出る夜明け前後に出発し、日が沈む夕方には帰路についているようなプランです。朝食をゆっくり取り、体をストレッチしてから出発するといいでしょう。

また、山間部や高所を避けるのも方法。気温は、標高が100m上がるたびに0.6度下がります。峠道などの山間は終日、日陰になる場所が多いですし、路面が凍結している確率も高まります。できるだけ標高の低い平野部を通過したり、目的地にするのがオススメです。

目的地のオススメは沿岸部。伊豆なら中央の高原地帯ではなく、海沿いになります。房総や常総(茨城~千葉)、東海道、瀬戸内など、標高が高くない地点でも走っていて楽しいコースはたくさんあります。

高速道路を使うルートで寒さや雪の影響を受けやすいのが中央道や名神高速です。特に名神の関ヶ原IC~米原JCT間は積雪で有名。天気予報に注意するのはもちろんですが、新東名を使えば、この区間をパスすることが可能です。


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