2024年にフルモデルチェンジしたハスクバーナ・モーターサイクルズのヴィットピレン401とスヴァルトピレン401。前作まではファッション要素の強かった2台ですが、2024年モデルはこのスタイルからは想像できないほどスポーツ性を高めてきたのです!
目次
何にも似ていない、一目でハスクバーナとわかる存在感
なんて個性的なデザインのバイクでしょう…。ヴィットピレンのデビュー時の衝撃は今でも鮮明に思い出すことができます。
2013年にKTM傘下となったハスクバーナ・モーターサイクルズ(以下ハスクバーナ)は、2014年のEICMAでヴィットピレン401のコンセプトモデルを発表。そのデザインはバイクのカタチの常識から完全に逸脱していましたが、とてもモダンでセンセーショナルでした。そして、2017年のEICMAで市販モデルのスヴァルトピレン401とヴィットピレン401を発表し、2018年から市販化。そして2024年にフルモデルチェンジを果たしたのです。
かつてない北欧スタイルを全面に打ち出したこの2台は、まさに新しいトレンドの出現でした。その後は世界中で人気を博し、日本でも市街地やツーリング先でよく見かける存在に。僕の中ではクリエイティブな方が選ぶバイクとしてのイメージも強く、ライダーのファッションにも注目したくなるバイクでした。
ちなみに、スウェーデン語で「ヴィット」は「白」、「スヴァルト」は「黒」、「ピレン」は「矢」を意味し、それが車体色に反映されています。
前作までは、ヴィットピレン401はセパレートハンドルでスヴァルトピレン401はアップハンドルでしたが、2024年のフルモデルチェンジでどちらもアップハンドルに変更。ヴィットピレンの方が若干前傾ポジションですが、身長165cmの僕には大きな違いはありません。ただ180cmオーバーの友人はスヴァルトピレン401の方がリラックスできるとのこと。2台の違いは、このポジションと前述した色、そしてホイール&タイヤなどになります。
前モデルとは別物。クラス最高スペックのパワーを生かせる車体を獲得
北欧デザインの未来的なバイクとして登場したこの2台は、前作まではスポーツ性は磨かれていませんでした。エンジンは速いのですが、ライダーの着座位置やハンドルの角度に自然さがなく、走りよりもファッション要素が強かったのです。
なので、中古車を含めてスヴァルトピレン401とヴィットピレン401を検討している方はよく考慮するのが良いでしょう。それは2024年にフルモデルチェンジした2台は、北欧スタイルはそのままに驚くほどスポーツ性も磨き込んだバイクに生まれ変わっていたからです。
改めてフルモデルチェンジした2台を見ると、とてもシンプルかつ上品。車体は前作から一回り大きくなっているものの、シート高が下がっているため安心感が高く自然なポジションを実現しています。エンジンは400ccクラスの単気筒としてはトップクラスの45psを発揮し、電子制御も充実。フレームやスイングアームも一新され、前後サスペンションは調整機構付きのWP製を採用しています。
機能パーツの充実と質感の高さを考慮すると、ヴィットピレン401の83万1000円(2024年11月現在)、スヴァルトピレン401の84万7000円(2024年11月現在)という新車の車両価格はかなり頑張っていると思います。
ベテランも納得のスポーツ性。街から飛び出しスポーツを楽しみたい!
ネイキッドやスーパースポーツ、ネオクラシックといった既存のバイクのカテゴリーを完全に無視したそのスタイリングは、さまざまなシチュエーションで存在感を披露。今回はスペインのマラガでの試乗でしたが、欧州の街並みにもよく似合います。モダンにも未来的にも普遍的にも見える2台の走りは、そのデザインから想像がつかないほどスポーティです。
エンジンは、スタート時に大きめにスロットルを開ける必要があり、その時点でこのエンジンが超高回転型であることがわかります。通常走行時は3500rpm、スポーツ走行時は6000rpmをキープするイメージ。なかなかの割り切りです。シフトアップ&ダウン対応のイージーシフトを使って回転をキープすることを意識します。
市街地でもきちんとスロットルを開けていないとギクシャクする場面がありますが、一方でエンジン回転と速度がシンクロした時には抜群の一体感をもたらしてくれるのです。これは峠に入るとさらに明確な答えとしてライダーに快感をもたらしてくれます。
峠でアベレージを上げ、コーナリングを楽しみます。トラクションコントロールやコーナリングABSなどの電子制御に頼り、WP製サスペンションに負荷をかけてみるとどこまでも応えてくれる運動性を披露。切り返しなども抜群の軽さを見せ、完璧なコーナリングマシンに変貌するのです。国産の400cc単気筒のバイクでここまでライダーの荷重コントロールをレスポンス良く感じ取ってくれるバイクがあったでしょうか……。ちょっと思いつきません。
ただしスヴァルトピレン401とヴィットピレン401は低速でトコトコ走ったりするのは苦手です。キビキビと元気よく走るバイクなのです。ちなみに走っていてもスヴァルトピレン401とヴィットピレン401に大きな差はなく、好みのスタイルで選んで良いと思います。もちろんタイヤに関しては、グリップやハンドリングに微妙な差はありますが、こちらは距離を重ねた際に好みの使い方に合わせてさらに吟味してみるのも良いでしょう。
NEWピレン401シリーズは、このデザインのバイクがこの運動性を披露するギャップがたまらなく刺激的なバイクです。個人的にカテゴリーを作るなら近未来カフェレーサーの一択です。何にも似ていないファッション性、機能性、スタイルでオリジナリティの高いバイクライフを楽しんでください!
NEWピレン401シリーズ2台の基本スペックをチェック!
HUSQVARNA MOTORCYCLES SVARTPILEN401&VITPILEN401 [2024]主要諸元
()内はヴィットピレン401- ホイールベース:1368±15.5mm
- 車重/燃料含まず:159kg(154.5kg)
- エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒398.6cc
- 最高出力:45PS/8500rpm
- 最大トルク:3.98kgf・m/7000rpm
- 燃料タンク容量:13L
- 変速機:6速リターン
- ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
- タイヤ:F=110/70-17、R=150/60-17
- シート高:820mm
- 価格:84万7000円(83万1000円)
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