世界唯一!ヒマラヤ山脈を走破するために生まれたミドルアドべンチャー【ロイヤルエンフィールド ヒマラヤ】

ロイヤルエンフィールドとしては初となる水冷エンジンを搭載したモデルがここで紹介する「ヒマラヤ」です。ヒマラヤはその名の通り、インド北部のヒマラヤ山脈を走るために開発された世界唯一のモデル。海抜4000m、5000mといった日本では考えられない環境で生まれたとてもタフなバイクですが、実は自然と共存するための優しいパッケージが与えられたバイクでもあります。

独自路線を貫く、452ccの本格派ミドルアドベンチャー

近年、全メーカーが力を入れているアドベンチャーカテゴリーですが、ロイヤルエンフィールドは独自路線を貫いています。同社のヒマラヤは、その名の通りヒマラヤ山脈を走るためのバイクとして開発。ヒマラヤ山脈を走る…といってもなかなかピンとこないと思いますが、アドベンチャーバイクの開発においてこれ以上過酷な環境はなかなかないでしょう

実は、僕はインドのヒマラヤ山脈を1度、ヒマラヤ山脈の麓を1度訪れていますが、そこでは神々しい景色の中を信じられないほど多くの新旧様々なロイヤルエンフィールド(主に旧型のヒマラヤ)が走っていたのです。

インドでのヒマラヤの存在は、小排気量車やスクーターライダーの憧れの的。多くのライダーが「ヒマラヤでヒマラヤ山脈へ」と夢を抱いているといいます。それにはアクセスしやすいパッケージが重要で、それが他にないミドルレンジの馴染みやすいアドベンチャーを生み出しているのです。

ヒマラヤと富士山の2ショット。新車価格は88〜89万9800円。

2023年末に訪れた、ヒマラヤ山脈の麓のクルという街で行われた水冷ヒマラヤの試乗会の模様。絶景の中を突き進むヒマラヤ本来の力強さを実感しました。

2022年8月に「MOTO HIMARAYA」という空冷ヒマラヤでヒマラヤ山脈を1週間走るツアーに参加しました。1日に1000台以上のヒマラヤにすれ違う世界に驚愕。ツアー中に偶然、海抜4500mオーバーで水冷ヒマラヤの開発部隊に遭遇したのも思い出です。

2018年に登場した初代ヒマラヤのエンジンは411ccのSOHC空冷単気筒でしたが、2024年モデルのフルモデルチェンジで452ccのDOHC単気筒エンジンに変更し、車体周りも全てを刷新。それが、ここで紹介する最新のヒマラヤです。

ロイヤルエンフィールドが初めて水冷エンジンを搭載するモデルにヒマラヤを選ぶところに、彼らがいかにヒマラヤを大切にしているのかがわかります。

前モデルよりスイングアームを伸ばし、ホイールベースを延長。車体は若干大柄になったものの、長距離時の快適性やアベレージスピードは大幅にアップしました。

シェルパエンジンと呼ばれる452cc水冷単気筒エンジン。ロイヤルエンフィールドのラインナップの中で唯一のショートストロークですが、そのキャラクターは扱いやすさに富んでいます。

すべてを刷新した水冷エンジンを搭載するヒマラヤ

ヒマラヤは最新モデルになって激変。アクセスのしやすさはそのままに近代化され、前モデルとの共通部品はまるでありません。水冷452ccエンジンは扱いやさと力強さをアップし、ミッションも5速から6速へと進化。近代的な軸配置となったエンジンは、単体で10kgも軽量化されています。ちなみにDOHCエンジンもメーカー初です。

また、スロットルバイワイヤを使用した電子制御も装備。エンジンモードはエコとパフォーマンスから選べダート走行時はリヤのABSをカットすることも可能です。

車体も刷新し、もちろんフレームは新設計前後サスペンションは日本のショーワ製が採用され、タイヤは専用のシアット製で、前19、後17インチサイズを採用しています。

自然に馴染むヒマラヤ。ビッグアドベンチャーでは躊躇するような未開の地も冒険することが可能です。

スマホの専用アプリと同期させることでナビ機能を使うことも可能です。

TFTデジタルメーターですが、タコメーターはアナログの式のデザインで視認性は高めです。

ヒマラヤは、走り出す前にシート高を選ぶといいでしょう。シートは825mmと845mmから選ぶことができ、シートを外して裏側のストッパーを入れ替えると簡単に変えられるからです。身長165cmの僕の場合、基本的に低い方がデフォルトになりますが、高速道路を長時間移動する際は高い方が断然楽です。峠も高い方がハンドリングが良いですが、この辺りは足着き性やご自身の経験値と相談する必要があるでしょう。

座り心地の良いシートに腰を降ろし、自然な位置にあるハンドルに手を伸ばすと、TFTの丸型液晶が視界に入ってきます。現在はベア650にも採用されていますが、この高性能メーターもヒマラヤの特徴です。

ブレーキはバイブレ製。フロントフォークはショーワ製の倒立です。

リヤサスペンションはショーワ製のリンク付きモノショックです。

身長165cm、体重68kgの筆者が、シート高の高い845mmに跨った状態。両足を着くことはできませんが、片足でバイクをきちんと支えられます。

身長165cm、体重68kgの筆者が、シート高の低い825mmに跨った状態。市街地や未舗装路ではこちらの方が格段に安心感があります。

シート裏のストッパーを入れ替えるだけでシートの高さは簡単に変更することができます。

バイクで冒険するアドベンチャー本来の魅力を楽しもう!

走り出して際立つのはエンジンのスムーズさ。そしてオフロード経験のない僕にもすぐに馴染むフィット感の高さです。「これなら林道に行けそう」と、ポジティブな気持ちになることができます。車体とサスペンションは、上質な乗り心地を約束。確かに452ccのバイクにしては大柄ですが、それが大らかで自由な感性を楽しませてくれるのです。

エンジンの最大出力は、40.02ps/8000rpm。最大トルクは40Nm/5500rpmで、90%のトルクを3000rpmで発揮します。スロットルを開けていくと驚くほどスムーズに回転を上げ、高いギヤの低中回転域でも余裕で走れます。このあたりの味付けはロイヤルエンフィールドの上手さといっていいでしょう。

サスペンションの動きやブレーキのタッチも過度なところが一切なく、それが穏やかさや余裕としてヒマラヤのキャラクターを築いているのがよくわかります。

峠ではライダーとの一体感を得やすい素直なハンドリングが魅力です。

ハンドルにはUSB-Cの電源ソケットも用意されています。

ススキがなびく未舗装路を発見したので、飛び込んでみましたが難しさはありません。ツーリングの途中のこんな寄り道が、新たな景色や道との出会いに繋がっていくのです。未舗装路ではスロットル開度を抑え、自然に溶け込むことを意識して走ります。そもそもビッグアドベンチャーだったら、僕のオフロード歴ではこんな寄り道すら選択肢に入らなかったでしょう。でもヒマラヤはどんどん自然の中を進ませてくれます。スタンディング時のホールド性も高め。大きなギャップもよく動くサスペンションが吸収してくれるので、不安はありません。

高速道路の移動も苦にならず、ワインディングでは軽快感を披露。途中に現れる未舗装路もヒマラヤと一緒なら、ポジティブに開拓できるでしょう。いつものツーリングが小さな冒険に変わり、経験や知識を積むことで大冒険へとなっていくアドベンチャー本来の魅力を身近に味わうことができるのがヒマラヤなのです。

未舗装路では軽快感と安定感、そして高い走破性が魅力です。

スチール製の燃料タンク容量は、17リットルです。

ショートタイプのサイレンサーがスポーティさをアピールします。

センタースタンドも標準装備。洗車はもちろん、さまざまなメンテナンス時に役立ちます。

転倒時にタンクを守ってくれるガードにはオプションのバッグを装着することも可能です。

タイヤは専用のシアット製。オールラウンドな特性を持っています。

小さなスクリーンを装備するヘッドライトまわり

ヒマラヤのカラーバリエーションを見てみよう!

ヒマラヤにはグレードが2タイプあり、プレミアムはチューブレスホイール、スタンダードはチューブホイールとなります。

ブラック以外のカラーは、大自然が由来で、Kamet Whiteは雪山、Slate Poppy Blueはポピーというヒマラヤに咲くブルーの花、Slate Himalayan Saltはヒマラヤソルト、Kaza Brownは荒野をイメージしています。

HIMALAYAN Standard (Slate Poppy Blue)/88万円

 

 

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