空冷単気筒界の救世主!ゆったりクルーザーに味わいのエンジンがマッチ【ロイヤルエンフィールド メテオ350】

写真:長谷川徹

メテオ350は、350ccエンジンを搭載するJシリーズプラットホームの第一弾モデルとして2021年に日本に上陸。それ以来、ロイヤルエンフィールドは販売台数を伸ばし続け、メテオ350は日本戦略に大きく貢献してきました。さまざまな世代にフィットするキャラクターで、2024年には新シリーズのオーロラも登場。独自のカラーリングセンスも抜群です!

味わいのある単気筒エンジンを心から楽しむ

2021年、初めてメテオ350に乗った時の衝撃は、今でも鮮明に蘇ってきます。日本ではヤマハSR400がディスコンになるタイミング。それだけに「この時代にこんな空冷単気筒が作れるのか」と感動したのを思い出します。

350ccとは思えない、後押しするトルク感、重々しい排気音、気難しさのないイージーさ、それは単気筒好きの僕が長年求めていたフィーリングだったとも言えます。スロットルを開けるとエキゾーストノートがとてもクリアに聞こえ、マシンとの対話が素晴らしく楽しく、ゾクゾクする気持ちよさに興奮したのを思い出します。

その後、Jシリーズと呼ばれるこのエンジンをプラットホームにした、クラシックハンターブリットといった350モデルが登場。良いエンジンが様々なキャラクターとして活かされることがとても嬉しく、僕の中では空冷単気筒界の救世主とも言えるエンジンです。

今回、メテオ350には久しぶりに対面しました。スタンダードモデルはキャストホイールを装備したシンプルなクルーザーですが、ここで紹介するオーロラシリーズはスポークホイールやスクリーン、ツーリングシートを装備。カラフルなカラーリングも魅力です。

また、メテオ350オーロラは高級感のあるメッキパーツを多用。クロームメッキされたホイールやマフラー、ヘッドライトに映る青空がなんとも言えない雰囲気を醸します。またエンジンのクランクケースカバーはアルミのバフ(地肌)仕上げで、そこにも様々な景色が映り込みます。こうした昔ながらのディテールを持つバイクは本当に少なくなってきました。磨いていても手触りがよく、綺麗にするというよりは自然と愛でる気持ちになっていくから不思議です。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_右向き1

プラスチックを多用したバイクにはない金属の塊感が魅力。重厚感があり、それが高級感にも繋がっています。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_左向き1

メテオ350はこのオーロラ・グリーンだけでなく9カラーを用意(2025年1月現在)。この記事の後半で全色紹介しているのでお楽しみください。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_走行写真1

メテオ350は所有感と乗った時の楽しさ、さらに磨き込んだりカスタムして自分のものにしていく楽しさに溢れています。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_エンジンまわり右側

349ccの空冷単気筒エンジン。ボア×ストロークは72×85.8mmのロングストローク。最大出力は20.2PS/6100rpm、最大トルクは27Nm/4000rpm。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_エンジンまわり左側

シリンダー&シリンダーヘッド、クランクケースにもフィンを設けたエンジン。クランクケースカバーはアルミの地肌。磨けば輝くし、放置すれば白くくすんでしまいます。磨くことをライダーに託したエンジンなのです。

ゆったりとした時間の中に身体を委ねるのが堪らなく心地よい

スタイリングはクルーザーですが、車格は350ccにしては若干大柄。跨っても350ccよりは大きな排気量を感じさせ、ゆとりのあるポジションを約束してくれます。軽量&コンパクトを追求するバイク作りとは明らかに異なるアプローチですが、存在感と重厚感があり車体の中のエンジンがとても凛々しく見えるのも特徴です。

そのエンジンはセルを押すと簡単に目覚め、「トトトトッ」とすぐに呼吸を整えます。1速に入れる際のギヤのタッチも抜群。クラッチを繋ぐとアイドリングの少し上の回転あたりでもしっかりと車体を前に進めるのです。

パワーは20ps。現代においては大きな馬力ではありません。ただ、その出力特性にとても味わいがあるのです。例えば、同排気量のホンダGB350は、数値上はメテオ350と同じパワーですが、パワー&トルクを出すタイミングが異なります。「速さ」という点ではレスポンスの良いGB350に分があるでしょう。ただメテオ350は、20psに辿り着くまでの時間、そこまでの過程に「味わい」を感じるのです。

どちらが良い、という話ではなく「速さ」と「味わい」、どちらが好みか、という話です。

この「味わい」はボア×ストロークはもちろん、クランクシャフトやフライホイールのイナーシャ(重さ)によるところが大きく影響します。ただ、単気筒エンジンは構造がシンプルな故に、ここの作り込みはとても難しく、メーカーによって乗り味がまるで異なるのです。

メテオ350の加速はトルクフル。大きな人が広い歩幅でダイナミックに地面を蹴る印象です。クルーザースタイルにこのロングストロークエンジンがとてもマッチします。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_走行写真2

季節の移ろいや、山や街並みの匂いをゆっくりとした時間の中で感じられるのがメテオ350の魅力です。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_足つき右向き

身長165cm、体重68kgの筆者(小川勤)がメテオ350オーロラに跨った状態。適度なフォワードステップでそのポジションはとても自然です。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_足つき後ろ

身長165cm、体重68kgの筆者(小川勤)がシート高765mmのメテオ350オーロラに跨った足つき。シートの厚みや幅があるため足つきはそれほど良くありません。しかしオプションのローシートで11mmシート高を下げることが可能。ちなみにローシートはブラックとブラウンがあり、1万890円(税込)とかなりリーズナブル。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_右向き2

昔ながらのスチール製ダブルクレードルフレームに空冷単気筒エンジンを搭載。このフレームも穏やかな乗り味に貢献しているのです。

バイクをコントロールする原点的な楽しみを教えてくれる

ハンドリングはとても穏やかです。ポジションはクルーザースタイルですが、極端に足を前に投げ出す感じではありません。ライダーの着座位置はとても良好で、荷重バランスでバイクを操っている感覚を作り出せます。

19インチのフロントのホイールがなんともいえない大らかさを約束し、ゆったりと優雅にコーナリングを楽しめます。これならキャリアの浅いライダーでも不安がないでしょう。

このエンジンはシフトタッチが良いのも特徴です。穏やかかつ節度の高いフィーリングは気持ちの良い走りにおいてとても重要です。「ストッストッ」っと思い通りのタイミングでギヤが入り、適度なエンジンブレーキを発生する感覚は走りのリズムを掴むのにとても重要なのです。

また、4速、5速といった高いギヤの低回転から大きめにスロットルを開けると後輪のグリップが増え、スロットルを開けて曲がる感覚をもたらしてくれます。この排気量でここまでトラクション(駆動力)を生かす走りができるのも驚きでした。クルーザーポジションでライダーの荷重が自然と後輪に載っていることもこの走りを支えるメリットといえるでしょう。

試乗を終え、爽やかかつ綺麗なカラーリングのメテオ350オーロラを前にすると、特別な感情が湧いてきます。気持ちの良い走りのリズムが色濃く身体の中に残っていること、さらに2021年に初めて乗った時の感動が重なってきて、「良いバイク」「良いエンジン」への理解をより深めたい気持ちになってきます。

そう思っていると再び乗りたくなり、僕はもう一度メテオ350オーロラのキーをオンにしました。試乗中、キャリアの浅い頃からこのバイクに出会えていたら幸せだろうな、とも思いました。Jシリーズエンジンにはそう感じさせてくれる、バイクが大好きになるためのファクターがたくさん詰まっているのです。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_左向き2

他メーカーにはない感性でバイクを仕上げていくロイヤルエンフィールド。表面的な数値やこだわりよりも、内に秘めた趣味性の高さやライダーとの関わり方を大切にしています。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_正面

メテオにはファイヤーボール、ステラ、スーパーノヴァ、オーロラの4シリーズが用意されていますが、オーロラとスーパーノヴァにはスクリーンが標準装備されます。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_リアビュー

350ccのクルーザーですが、その作りは本格的。ゆったりとした気分で長距離ツーリングも楽しめます。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_メーターまわり

アナログ式のシンプルなスピードメーター。小さなメーターは簡易ナビのトリッパーでスマホアプリと同期させて使用可能。2024年モデルからメテオ350全車に標準装備されています。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_フロントホイールまわり

オーロラシリーズの特徴がスポークホイール。メッキリムがクラシカルな雰囲気を強調します。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_リヤショックまわり

リヤサスはメッキが美しい、2本ショック。しっかりと腰のあるダンパーで、スポーツライディングもダンデムも快適です。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_ヘッドライトまわり

高速巡行時や極寒時に役立つ大型スクリーン。スタイリングの好みがありますが、抜群の快適性を約束してくれるアイテムです。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_燃料タンク

容量15リットルの燃料タンクは、丸みを帯びた可愛らしいデザインが特徴。エンブレムも豪華です。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_シートまわり

ツーリングシートは快適性抜群。シーシーバー付きシートはパッセンジャーの快適性と安全性も考慮。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_チェンジペダルまわり

前後にペダルがついたステップ。かかとでもシフトアップできるようになっているのはインドのライダーはサンダルで乗るからなのです……。

ロイヤルエンフィールド_メテオ350オーロラ_USB電源

ハンドルにはUSB電源を用意しています。

メテオ350は、4シリーズ、9色から選べる!

メテオ350は、ファイヤーボール、ステラ、スーパーノヴァ、オーロラの4シリーズを用意。

ファイヤーボールは単色でホイールはキャスト、マフラーはブラックアウト。シートにもシーシーバーがつきません。ステラはシーシーバー付きシートやメッキマフラーを装備したブラックの単色。スーパーノヴァはツートンカラーを採用し、スクリーンやシーシーバー付きツーリングシートを装備。オーロラはカラフルなカラーにスポークホイールとシーシーバー付きツーリングシートを装着。各部にメッキパーツを多用しています。

オーロラ・ブラック/74万3600円

メテオ350の基本スペックをチェック!

ROYAL ENFIELD METEOR350 [2025]主要諸元

  • 車重:191kg
  • エンジン:空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒349cc
  • 最高出力:20.2PS/6100rpm
  • 最大トルク:27Nm/4000rpm
  • 燃料タンク容量:15L
  • 変速機:5速リターン
  • ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
  • タイヤ:F=100/90-19、R=140/70-17
  • シート高:765mm
  • 価格:71万600〜74万3600円

この記事にいいねする

おすすめの記事