
いよいよ2024年もラスト。本年末現在、購入できるバイクの中から初心者でも乗りやすく、扱いやすいモデルを選んでみました。251~400cc、401cc以上の部門別で、独断と偏見交じりでピックアップ。さて、どんなバイクが選ばれたでしょうか!?
目次
まずは選定基準から!乗りやすさを構成する4要素とは?
普通二輪免許を取って間もない、または大型二輪免許を取得したけど最初は乗りやすいビッグバイクから始めたい……そんなライダーにオススメしたいモデルを紹介しましょう。
ビギナー向けのバイクと言えば当然250ccクラスがオススメですが、250ccばかりになってしまうので今回は除外させてもらいました。
ビギナー向けとして重視したいのは「乗りやすさ、扱いやすさ」。これを実現するために必要なのが「1.足着き性」「2.軽さ」「3.ライポジ」「4.出力特性」の4項目だと考えます。
まず「1.足着き性」は、扱いやすさにかかわる非常に重要な要素。両足が地面にしっかり着けば、停車時に安定してバランスを取れます。乗車する瞬間から、信号待ち、バイクを降りる時まで、安心感に常にかかわってくる要素です。
また、ビギナーにありがちなのが停止時の“立ちゴケ”やUターンなど低速時の転倒。足着き性がよければ、バイクを支えられ転倒を回避しやすくなります。
続いて、車体の「2.軽さ」も乗りやすさに大きく影響してきます。バイクの押し引きや押し歩きがラクですし、小回りも簡単。軽い方が加速性能はよくなり、停止するまでの距離も短くなります。コーナリングでも曲がりやすく、思いどおりにバイクを操れます。これはまさに扱いやすさに直結している要素と言えるでしょう。
立ちゴケなど停止中にグラッときた時でも軽い方がバイクを支えやすく、何かとラクです。
「3.ライポジ」=ライディングポジション、つまり乗車姿勢も重要です。前傾姿勢でヒザの曲がりがキツイバイクは、スポーティに走るにはいいのですが、普段使いでは扱いにくく感じます。ハンドルが手前にあり、ステップが前側寄りだと、リラックスしたライポジとなり、乗りやすさにつながります。
また、アップハンドルの方がハンドルでの操作がしやすく、ラクちん。転倒しそうな時にも抑えが利きます。
最後に「4.出力特性」。これは“エンジンがどんな感じでパワーを出すか”を意味します。低回転からパワフルすぎるバイクは、やはり扱いにくく感じます。適度に穏やかで過激すぎない出力特性の方が乗りやすいです。
傾向としては、大排気量で4気筒など気筒数が多いモデルの方が過激です。なお、最近は出力特性を変更できる車種も増えており、パワフルさと扱いやすさを両立したモデルもありますが、こうした機能を備えるのは大排気量モデルが多いです。
また(例外もありますが)排気量が大きいほど一般的に車体は重くなります。
注目のオススメ1位は……2023年に登場した、あのクルーザー!
前置きが長くなりましたが、これらの基準から選びました(あとデザインや価格という観点も除外しています)。スペック表の数値だけでなく、実際乗った印象もプラスしています。
結果として、足着き性のいいクルーザー、ライポジがラクなネイキッド、排気量少な目のモデルが選ばれました!もちろん「合う」「合わない」は人それぞれなので、あくまで参考にして下さい。
1.エリミネーター(400)/SE [カワサキ]

往年の車名を復活させたモデルで2023年にデビュー。Ninja400ベースの398cc並列2気筒を独自フレームに搭載し、クルーザー然としたスタイルながら運動性の高さが魅力です。
全長2250 軸間距離1520 シート高735(各mm) 車重177kg 水冷並列2気筒398cc 最高出力48PS/10000rpm 最大トルク3.8kg-m/8000rpm 価格81万4000円/91万3000円
このクラスで私がビギナーに最も推したいのがコチラのカワサキ エリミネーター400。ポイントは何と言っても足着き性です。735mmのシート高は、このクラスで最も低い部類(ちなみに私が調べた限りヒョースン GV300Sのシート高710mmが最低でしたが、エリミネーター400はそれに次ぐ数値でした)。
実際またがってみると、両足がベタ着き、なおかつヒザが曲がるほど余裕。筆者は身長177cm&体重63kgですが、多くのライダーが足着き性の恩恵に預かれるでしょう。ライポジは少しだけハンドルが前寄り&狭めですが、自然でラクチンです。
このクラスにはもっと軽いバイクもあるのですが、十分軽く、しかも低重心設計なので重さがさほど気になりません。
そして走りが軽やか。外見はロング&ローなのですが、想像以上に軽快かつ自然なコーナリングが可能です。スッと車体をバンクできる一方で、しっかり安定感もあり、実に運転しやすいです。出力特性に関してもスムーズに回転が上昇し、ギクシャクしにくいのがポイントです。
加えて、アシスト&スリッパークラッチを採用するため、クラッチレバーの操作がとても軽いです。渋滞などでのノロノロ運転や長距離走行でも左手の疲労度がまるで違います。
外観はまさしくクルーザーなのですが、通勤通学、ツーリングなど幅広い用途で使えるのもマルです。
2.MT-03 [ヤマハ]

フルカウルのYZF-R3をベースとするネイキッド。YZF-R25やMT-25と車体が共通で、250クラスと同等のコンパクトさが魅力です。
全長2090 軸間距離1380 シート高780(各mm) 車重167kg 水冷並列2気筒320cc 最高出力42PS/10750rpm 最大トルク3.1kg-m/9000rpm 価格68万7500円
次点はヤマハ MT-03です! 320ccという実に中途半端(失礼)な排気量ながら、250ccの車体に必要十分なパワーを融合。YZF-R25とMT-25、YZF-R3と並んで、ビギナーおよび女性に人気のシリーズです。
シート高の数値は780mmで、250クラスとしては標準的ですが、このクラスでは上々。ヤマハのHPによると155cm&50kgで両方のつま先が着き、170cm&60kgで足着きが良好とのことです。
車重は250版のMT-25と同じ167kgで、前述の軽量なエリミネーターより11kgも軽いです。250感覚で取り回しできるのがいいですね。
そして最大のポイントは乗りやすさです。エンジンのパワーは、排気量が少ない分マイルド気味ながら必要十分。さらに出力特性がフラットなため、扱いやすさ抜群です。足まわりがスムーズに動き、乗り心地はしなやか。コーナーでは多くの人が思い通りのラインを描けるハズです。とにかくフレンドリーで、不安感が少ない走りです。
なお兄弟車のYZF-R3と比べ、ハンドルが手前&アップで、ライポジがラクなため、こちらを選びました。
ただし!海外でMT-03(およびYZF-R3)は新型にモデルチェンジ済み。日本仕様に関してはアナウンスされていませんが、導入される可能性が高いです。シート高の数値は780mmから変更されていませんが、サイドカバー形状が変更され、足着き性が高まっているようです。新型の発表を待つのも手です。

海外で発表された新型はテールカウルを刷新し、待望のアシスト&スリッパークラッチを採用。スマホ連動機能付きの新型液晶メーターも導入しました。
3.G310R [BMW]

2016年にデビューしたBMW最小排気量モデルで、312cc水冷単気筒を搭載するネイキッド。電子制御スロットルや倒立フォークなどの先進メカを搭載します。アドベンチャーモデル、G310GSと並んで、普通二輪免許で乗れるBMWです。
全長2025 軸間距離1380 シート高785(各mm) 車重164kg 水冷単気筒320cc 最高出力34PS/9250rpm 最大トルク2.8kg-m/7250rpm 価格66万9000円~
推しの3番手は外国車のBMW G310R。このクラスの単気筒ネイキッドとしてはややボリュームがありますが、シート高が785mmと低め。しかもシート幅が狭いため、外に足がふくらみにくく、足着き性は良好です。筆者は両足がベタ着きで、身長160cmでも両カカトが少し浮く程度。アップライトなハンドルによるライポジも自然でラクです。
エンジンは312ccでまたも400ccに届かない排気量ですが、低回転域で粘りがあり、ギクシャクしにくい。また、スリッパークラッチを搭載し、強いエンジンブレーキを緩和してくれる上に、クラッチの操作が軽いです。
最大のポイントは、とにかく自由自在に操れる感。MT-03を3kg下回る車重164kgに加え、独特な設計にヒミツがあります。それは、普通のバイクとは逆の「前方吸気&後方排気」というレイアウト。難しい説明は置いといて(笑)、重いエンジンを車体の中央に位置させることで、優れた車体バランスを実現。自然かつ安定感のある操縦性のため、安心して走れるハズです。
4.GB350 [ホンダ]

クラシカルなルックスが特徴のネイキッド。今では珍しい空冷単気筒を搭載します。2021年7月の登場以来、このクラスのベストセラーを記録しています。
全長2180 軸間距離1440 シート高800(各mm) 車重179kg 空冷単気筒348cc 最高出力20PS/5500rpm 最大トルク3.0kg-m/3000rpm 価格56万1000円
トガッた部分が少なく、とにかく扱いやすいのがホンダ GB350です。まずライポジがラク。上体がほぼ直立し、ヒザの曲がりもキツくないため、リラックスして乗れます。
ちなみにGB350Sというバージョンもありますが、ハンドルがやや前方、ステップが若干後方というスポーティ寄りのライポジのため、GB350を選びました。
エンジン特性も実にマイルドかつ味わいがあります。発進から十分トルクフルで、下道でよく使う低中回転域を重視した特性。「速さ」よりも「乗りやすさ」を感じられるはずです。高回転まで回しても振動があまりないのもいいです。
アシスト&スリッパークラッチにより、クラッチレバーが軽く、強いエンジンブレーキのショックを和らげてくれるのもポイントです。
ハンドリングも気難しさはなく、直進時はドッシリ安定。コーナーでも穏やかに向きを変えていくので安心です。HSTC(トラクションコントロール)を搭載し、スリップを抑えてくれるのも嬉しいです。
まさにビギナー向けの1台と言えますが、残念ながら足着き性はそれなり。身長170cmで両足先がしっかり接地、160cmでつま先が着く程度となります。シート下のサイドカバーが張り出し、太モモが当たってしまうため、「シート高800mm」という数値以上に足着き性はよくないです。
惜しくも選外となったバイクはコチラ!
1.Z400 [カワサキ]

Ninja400のネイキッド版で、アップハンドルを装備。サスセッティングなどの足まわりは専用設定です。
全長1990 軸間距離1370 シート高785(各mm) 車重166kg 水冷並列2気筒398cc 最高出力48PS/10000rpm 最大トルク3.8kg-m/8000rpm 価格72万6000円
MT-03と迷う人も多いのが、このカワサキ Z400。私も悩みました。320ccのMT-03に対し、排気量はクラス上限に近い398cc。それでいてMT-03と比べて車重が+1kg、シート高は5mm高いだけ。軽快で足着き性も悪くないです。
実際パワフルさやエンジンの元気さはMT-03を上回っていますが、ハンドルが幅広&やや前寄りのため、体格によってはかなり前傾します。また、サスなどの乗り心地がやや硬く、乗りやすさという面ではMT-03が上回っている印象です。
とはいえ現行MT-03にはないアシスト&スリッパークラッチを搭載し、クラッチの軽さやエンブレでギクシャクしにくい点などはメリット。何よりパワーを重視したい人はMT-03よりZ400がオススメでしょう。ちなみにベース車のZ500が海外仕様で新型になっており、日本仕様のZ400もモデルチェンジが近そうです。
2.X350 [ハーレーダビッドソン]

歴代のハーレー日本モデルでは最小排気量。普通二輪免許で乗れるハーレーです。エンジンはベネリ302Sの水冷並列2気筒がベース。
全長2110 軸間距離1410 シート高777(各mm) 車重195kg 水冷並列2気筒353cc 最高出力36PS/8500rpm 最大トルク3.1kg-m/7000rpm 価格69万9800円
ハーレーダビッドソン X350はフラットに吹け上がる、扱いやすい出力特性と777mmのシート高が魅力です。ただしシート幅があるため、数値より足着き性は悪化するほか、車重が195kgとややヘビーでズッシリ感があります。とはいえ重心が低めなので、そこまで気にはならないと思います。
3.390DUKE [KTM]

KTM自慢の鋼管トレリスフレームに水冷単気筒を搭載するファイター系ネイキッド。カラー液晶メーターやWP製倒立フォークなど装備が豪華です。
軸間距離1357 シート高820(各mm) 車重165kg(半乾燥) 水冷単気筒398.7cc 最高出力45PS 最大トルク3.9kg-m 価格82万9000円
KTM 390DUKEは排気量398.7ccながら軽さが魅力。ただしシート高が820mmあり、身長165cm程度で両足先が接地するという足着き性がややネック(ただしステップの位置が後ろ気味なので足が真下に降ろしやすいです)。
また、パワー特性が高回転型でやや過激。全体的にスポーティな1台に仕上がっています。
4.トリシティ300 [ヤマハ]

前2輪+後1輪のコミューターで、コーナーや不整地での安定感が抜群。バイクと同様に車体を傾けてコーナリングできます。静止時などに自立するスタンディングアシストが安心。
全長2250 軸間距離1595 シート高795(各mm) 車重237kg 水冷単気筒292cc 最高出力29PS/7250rpm 最大トルク3.0kg-m/5750rpm 価格104万5000円
ヤマハ トリシティ300は「転ばないバイク」として登場したトリシティシリーズの最大排気量版。絶対に転ばないわけではありませんが、走行中はとにかくフロント2輪の安定感が抜群です。直進やコーナリングでももちろん、濡れた路面、凹凸でも安心して走れます。急制動した場合でも前輪がロックしにくく、旋回中にやむなくフロントブレーキをかけても動きが穏やかです。
シリーズの中では唯一、自立機構のスタンディングアシストを採用するのもポイント。10km/h以下など一定の条件下でスイッチを押すと作動して、車体を支えてくれるので、転びやすい極低速や停止時に倒す心配がほぼありません。
オートマなのでギヤチェンジに気をつかわずに済み、エンストの心配がないのも大きなポイントです。
デメリットは、車体が大きく重い点です。車重は237kgとリッターバイク並み。シート幅が広いため足着き性も今一つで、身長165cmはないと厳しいでしょう。ただし、これらは上手にスタンディングアシストを使うことで、かなりクリアできるとは思います。
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