二気筒・四気筒はよく聞くけど、『三気筒』・・?となってしまう人は多いはず。
車種は多くないものの、この魅力的なエンジンは直近10年で一気に普及しました。
今回は”二気筒と四気筒の良いところどり”などとも評される、『三気筒エンジン』が広まった背景や特徴について紹介していきます。
目次
ここ10年で市民権を得た『三気筒エンジン』
二気筒・四気筒エンジンの特徴を併せ持ち、中間に位置する『三気筒エンジン』。
日本ではここ10年で急速に一般化しましたが、バイクにおける三気筒の歴史はより古く、1916年にロイヤルエンフィールドというイギリスの車両メーカーが開発したのがはじまりとされています。
日本でも1971年にカワサキ・スズキが三気筒バイクを販売開始していたものの、その後は単気筒/二気筒/四気筒バイクの生産が主流で『三気筒』は街中で見かけるようなものではありませんでした。
しかし2014年にヤマハ・MT09が発売され、2016年には同エンジンを積んだXSR900が登場。そのスタイルから多くのライダーに好評のバイクとなっています。また2019年からはトライアンフがMoto2へ「三気筒エンジン」の供給を行ったことで、その存在感はさらに大きくなりました(この記事のメイン画像はMoto2へ供給されたエンジンの写真)。
『三気筒エンジン』の特徴
バイクの乗り味は、そのエンジンに大きな影響を受けます。エンジンは爆発の力を加速力に変換する装置。もちろん排気量が大きくなればなるほどパワフルになりますが、その気筒数によってもアクセルを開けた時の感覚がまったく変わるものです。気筒数=エンジンの燃焼室の数であり、同じ排気量でも1つの大きな燃焼室の爆発力を使うのか、3つの小さな燃焼室の爆発力を使うのかという差が乗り味に直結します。
今発売されているバイクの気筒数は、単気筒、二気筒、四気筒、そして今回紹介する三気筒が主流。単気筒エンジンはバイクの排気量を1つの燃焼室の爆発で賄うため、一発一発の大きな爆発を乗り手が明確に感じることができます。またそのシンプルでスリムな形状から、小排気量のバイクに多く採用されている・メンテナンスしやすいといった特徴があります。
二気筒~四気筒エンジンは分割した燃焼室で順番に爆発を起こしていく「小さな爆発の連続」であるため、単気筒よりも振動が軽減され、その点では比較的疲れにくくなります。
また単気筒よりも吹け上がりが良く、高回転域でのトルクが力強いというのも大きな特徴です。
気筒数が多いほどこの傾向が強くなり、二気筒は低~中回転域、四気筒は高回転域のトルクが強い傾向があると言われています。一方で、二気筒では高回転域、四気筒では低回転域でのトルク感が物足りないといった声もあるため、自分の好みに合わせたエンジンのバイクを選ぶ必要があると言えるでしょう。
三気筒エンジンはこの二気筒と四気筒の中間に位置しており、低回転域から高回転域までのバランスが強み。二気筒・四気筒と比較してそれぞれの得意分野で打ち勝つことは難しいものの、二気筒の中回転域の粘り強さ、四気筒の高回転域の爆発力を併せ持った”良いところ取り”のエンジンなどと評されています。
『三気筒エンジン』を積んだバイクたち
このような特徴を持つ三気筒バイク。しかし生産するメーカーはまだまだ少なく、代表車種は海外のメーカーであったりするため馴染みにくいかもしれません。
ここでは三気筒エンジンを採用している有名車種を紹介していきます。
ヤマハ MT-09
非常に高いパワーと乗りやすさを兼ね備えていると評判の、あらゆるライダーの欲求を満たす人気車両です。ヤマハ公式の開発ストーリーによれば、このスリムで軽そうな印象は『三気筒エンジン』の細身を活かして意図的に作り上げられているとのこと。
兄弟車として同エンジンを積みながらもクラシックなデザインを実現した「XSR900」、アドベンチャースタイルを実現した「トレーサー9」があります。
トライアンフ ストリートトリプル
印象的なヘッドライトとアグレッシブな外見が特徴的なストリートファイターです。
車両重量:189kgと同排気量クラスの中でダントツの軽さを誇り、実は小柄なライダーにもオススメなバイク。扱いやすさを重視する方にはストリートトリプル「S」、スポーティーな走りを求める方には「R」、そのままサーキットに遊びに行けてしまう最上位グレード「RS」がラインナップされています。
ちなみに、トライアンフがMoto2に提供する「レース専用チューンを施した765cc 3気筒エンジン」はストリートトリプルRSのエンジンがベースです。
排気量違いの兄弟車である「スピードトリプル1200RS」もパワフルな三気筒エンジンを積んだオススメバイク。
トライアンフ TRIDENT 660
Moto2に三気筒エンジンを供給するトライアンフが生み出した、三気筒の丸目ネイキッド。
ストリートファイターのストリートトリプルよりエンジンの出力特性・取り回しが扱いやすくなっている街乗りオススメバイクです。なおトライアンフは様々な三気筒バイクを開発しており、このネイキッド以外にもアドベンチャークラスの「TIGER850」や世界最大排気量となる2,500ccの三気筒エンジンを積んだ「ROKET III」が発売されています。
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