【文:沼尾 宏明】
「ニンジャ」という名前がつくバイクはたくさんあるし、よく耳にする。なぜ、そんな名称で、どんなバイクがニンジャなのか知らないビギナーも多いのでは?そこで初心者にもわかるニンジャシリーズの歴史と魅力について解説します!
目次
カワサキを代表するシリーズ、初代は1984年に誕生
カワサキの現行ラインナップを見ると、ニンジャ(Ninja)の車名を持つバイクは18車種中8車種、グレード違いを含めると40車種中15車種もあります。
そもそもなぜ「ニンジャ」という名称なのでしょうか?
初めてニンジャの名称が採用されたのは1984年に生まれた北米仕様のニンジャGPZ900Rでした。
アメリカのカワサキ現地法人が、GPZ900Rを見て名前を「Ninja(忍者)」にしたいと言い出したことが始まりです。当時、欧米で忍者映画がブームになり、オリエンタルでスーパーマンを連想させることが理由のようです。日本のカワサキは反対したのですが、北米の猛プッシュもあり、ニンジャの名称が使用されることになりました。
Ninja GPZ900R
ニンジャGPZ900R(北米仕様 正確には1984~1985年型はZが小文字)。カワサキ初の水冷並列4気筒DOHC4バルブエンジンを搭載。排気量908ccで最高出力115psを発生し、最高速240km/h以上、0-400m加速は10.976秒で世界最速を誇りました。
北米仕様では、サイドカバーにNinjaロゴがありますが、写真の欧州仕様(GPZ900R)にはロゴが入っています。
当時のロゴはフチがザラザラしていますが、これには「逸話」が残っています。日本でロゴを製作し、ファックスで北米カワサキに送信したところ、解像度が荒い状態でロゴが届いてしまいました。ところが、それを見た北米カワサキ側が気に入ってしまい、そのままロゴが使用されたと言われています。
GPZシリーズの販売車両を見る初代ニンジャ以降も後継車がネーミングを襲名
GPZは大ヒットし、その後継モデルもニンジャを名乗るようになります。
1988年にニンジャZX-10(欧州名ZX-10)、1990年にニンジャZX-11(欧州名ZZ-R1100)が登場。ともに北米仕様のみニンジャを名乗りました。1994年には軽量ハイパワーを追求したニンジャZX-9Rがデビュー。そして2004年には現代に続くニンジャZX-10Rが登場しています。
このように初代以来、当代のスーパースポーツにニンジャの称号が付けられていきます。しかし2000年代になると扱いやすいストリートスポーツであるニンジャ650R、ニンジャ250Rもニンジャのネーミングを襲名。以降、カワサキのフルカウルスポーツ=ニンジャというブランディングが強化され、現在に至ります。
ちなみに2000年代後半からニンジャブランドの再編がなされ、車名に「R」がつくニンジャはスーパースポーツに限定されることになりました。例えばニンジャ650Rは2012年型からニンジャ650に車名変更、ニンジャ400Rは2013年型からニンジャ400に変更された経緯があります。
そのため一口にニンジャと言っても、フルカウルスポーツという共通点はあれど、キャラクターは大きく異なります。
Ninja ZX-9R
1994年型ニンジャZX-9R。それまで北米仕様のみに付けられていたニンジャの名称が、世界共通の車名として採用されました。
Ninja ZX-10R
完全新設計で2004年にニンジャZX-10Rに進化。175psのハイパワーで大反響に。
ZX-Rシリーズの販売車両を見る現代のニンジャは3つのキャラクターが存在
それでは現行ニンジャを詳しく見ていきましょう。大きく分けて3系統のニンジャが存在します。
1.スーパースポーツ系=ZX-R(ZX-10R、ZX-6R、ZX-25R)
スーパースポーツ系は運動性能を追求したキャラクターで、最高峰のZX-10Rはエキスパート向け。スーパーバイク世界選手権のベースマシンであり、200psを発生する直列4気筒を搭載します。
2.ツアラー系=SX (H2SX、1000SX)
ツアラー系は、スーパースポーツの運動性能と、長時間でも安楽なライディングポジションを両立したモデル群。H2SXは走行風をエンジンに送り込むスーパーチャージャーを搭載する唯一のツアラーで、200psをマークします。
3.ストリート系=無印 (650、400、250)
ストリート系は万人向けのスポーツモデルです。①②が全車とも並列4気筒なのに対し、並列2気筒を搭載。扱いやすい特性が魅力です。ニンジャ250はエントリーモデルでありながら、ツーリングもこなせるマルチなキャラクターです。
[まとめ]ニンジャはカワサキスポーツモデルのシンボル
いかがだったでしょうか。ニンジャは世界最速機から始まり、様々なフルカウルスポーツに付けられていく歴史があったのです。まさにカワサキを代表する一大ブランドと言えるでしょう。 現在は「スポーツできるフルカウルモデル」という点では、どのモデルも共通。走りをそこまで重視していなくても、スポーティな雰囲気のバイクに乗りたい人にストリート系=無印のニンジャがオススメです。
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