ユーウツな雨を安全に乗り切る方法を教えて!【ギア&用品編】

【文:沼尾 宏明】

「梅雨」など雨天時の走りはライダーにとって実に不快。少しでも快適に走るためには、雨をしのぐアイテムも重要です。どんなギア&用品を選べばいいのかレクチャーしましょう!

シールドの曇りは安全に直結、まずは視界を確保しましょう

雨の日の必須アイテムと言えばレインスーツ(カッパ)。しかし、これと並んで重要なのが「視界」を確保することだと筆者は考えます。
雨の日はシールド内部が曇りやすく、シールド外側には雨粒が付着して周囲の状況が確認しづらくなります。快適さはもちろんのこと、視界を確保するという安全性も同様に重視すべきです。特に夜の雨は視界が最悪です!

シールドの曇りを劇的に防いでくれるのが「ピンロックシート」です。

シールド内側に、シリコンシール付きのシートを貼ることで、シールドとの間に空気の層をつくり、内外の温度差を緩和して曇りを防ぎます。この理屈はサッシの二重窓を思い浮かべるとわかりやすいと思います。
さらに、シートの材質は水分を吸収するプラスチック製。結露を防ぎ、シールドが曇りにくくなります。

シールド内側に貼り付け、曇りを防ぐピンロックシート。フチにシリコンシールを備え、シールドが二重構造になります。フルフェイス用は3000円前後~。近頃はジェットヘルメットでも採用するモデルがあります。

ピンロックシートを装着した状態。その名のとおり「ピン」付きの対応シールドが必要です。


ピンロック非対応シールドにも装着できる汎用タイプの曇り止めシートもあります。こちらも効果的なので、ぜひ試してみてください。

なおメガネをしているとシールドは曇らなくてもメガネが曇る場合があるので、メガネ用の曇り止めを塗ったり、コンタクトレンズを着用するなどの対策が必要です。

また、シールド表面には雨滴を弾く撥水剤を塗ると、よりクリアな視界をキープできます。

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浸水を防ぐためにレインスーツの耐水圧は2万mm以上が欲しい!

同様に大事なレインスーツ。選ぶ基準になるのが「耐水圧」「透湿性」です。

「耐水圧」は、防水性を示す数値。この数値が大きくなるほど防水性が高いカッパと言えます。

一般的なナイロン傘の耐水圧は250~500mm程度で、これでも十分雨を守ってくれます。ただしバイクの場合、速度が出て静止時より何倍にも水圧が高まるため、より高い耐水圧が必要です。

街乗りなら「1万mm」、ツーリングや高速道路で使うことを考えれば「2万mm」は欲しい。可能なら「3万mm」以上欲しいところです。

一般的な耐水圧で耐えられる雨の目安がこちら。レインウェアには耐水圧が表記されているので御参考に!

カッパのムレを防ぐ透湿性も重要、数値が高いほど高額な傾向

もう一つのポイントが「透湿性」です。

透湿性とは、衣服内の湿気を外に出す性能のこと。生地の素材1㎡あたり24時間で何グラムの水分を外に出せるか、を数値で表し、高いほどムレにくくなります

特に湿度が高くなる梅雨や夏場にカッパを着て走った際、内部がムレて汗だくになるなど不快感を覚えたことがある人は多いと思います。気温にもよりますが、そんな場合、透湿性の低い製品を使っていた可能性があります。

また、バイク用は、登山やアウトドア向けより高い透湿性が求められます。バイクでの走行時は、首元や前タテをしっかり締めないと雨水がすぐ侵入してしまうため、熱がこもりやすいのです。

こちらが透湿性の目安。人が日常生活でどれぐらい汗をかくかを示し、軽い運動はウォーキングなど、激しい運動時はランニングなどを指します。


バイクは「軽い運動~激しい運動」に相当するので、5000g/㎡/24hは最低限でも欲しいところ。もちろん数値が高い方がムレにくく快適ですが、透湿性が高いほど高額なモデルになる傾向にあります。

サイズはやや大きめを、アウトドア向けよりバイク向けの方が機能満載

アウトドア向けの高性能レインウェアもありますが、バイク用を選ぶのがオススメです。なぜなら、二の腕や裾にバタつき防止ベルトを装備したり、圧力がかかって浸水しやすいお尻をシームレス構造とするなど、バイク乗車時に役に立つ機能が満載だからです。

高速走行では二の腕がバタつきますが、ベルト付きなら快適。こうした機能はバイク向けならではで、アウトドア用にはありません。


サイズに関しては、バイク向けであれば余裕を持たせた製品が多いため、いつものウエアと同じで構いません。とはいえ、冬場には重ね着することも考え、大き目のサイズを選ぶのがオススメです。試着できればベストですね。

また、筆者は前身頃にポケットが付いているタイプを選びます。ポケットがないと、ちょっとした小物を入れるにも、カッパの中をまさぐって出し入れしなくてはならないからです。

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浸水しやすいグローブはレイン用か、割り切ってニトリル製もアリ

続いてはグローブ。ガード類があれば別ですが、常に風雨にさらされる部分のため、とても浸水しやすいです。「防水」を謳う製品でも大雨だと、すぐ浸水してしまった経験があります。

一般的に「防水グローブ」より雨に特化した「レイングローブ」の方が浸水しにくいです。カッパと同様に耐水圧は2万mm以上を選ぶといいでしょう。また、グローブの裾は長めで、ドローコードで絞れるタイプがオススメです。

防水性だけを重視するなら作業用のゴム手袋やニトリル手袋もアリ。荷物に忍ばせておき、雨が降ったら装着します。ニトリル手袋の中には透湿性を備えたタイプもあります。転倒時の保護性能が不安ですが、大きめのサイズを用意しておき、薄手のバイク用グローブの上から着ける、あるいはバイク用グローブの中に極薄のゴム手袋を中に着けることで安全性も確保できます。

シリコンやゴム製のワイパー付きグローブもあります。シールドの雨粒を払えて便利です。

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防水シューズやブーツのほか、カバーという選択肢も

最後にシューズです。防水透湿性のあるシューズやブーツはやはり快適です。ゴム製などの安価な長靴に比べて、靴底が滑りにくく、濡れたステップやペダルでもグリップしやすいのがポイントです。とはいえ、大雨では浸水したり、履き口から水が入ってしまう場合もあります。

絶対濡れたくない人にオススメしたいのがブーツカバーやシューズカバー。非常に防水性が高く、まず浸水しないハズです。特に暑い季節だと靴の中がムレがち。そこで晴れている時は通気性のいいシューズやブーツで走行し、雨が降ってきたらカバーを装着するのです。

走行中に雨が降り、停車できないシチュエーションでは困りものですが、比較的簡単に装着でき、携帯にも便利なので急な雨対策としてもおすすめです。

ちなみに、出先で防水シューズやカバーがない状態で雨が降られたら、応急処置としてコンビニ袋を被せるのも手。あくまで靴の中を濡らしたくない場合に限りますが、短時間で多少の雨なら防げます。

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【まとめ】雨でも楽しく走るために好みのギアを見つけましょう

雨の走行を少しでも快適にするオススメギアをお伝えしてきました。私も色々失敗してきましたが、色々なアイテムを使ううちにあなたにピッタリのギアが見つかるはずです。雨でも楽しく走りましょう!


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