エンジン別で聞く「バイクの鼓動感ってこんな感じ」

バイクの鼓動感とは?

一般的に鼓動感とはエンジンの振動のことを指します。
もっと広い意味で"バイク全体の乗り味"という意味での"鼓動感"もありますが、今回はエンジンの振動のことについてお話していきます。

最近では排ガス規制により、空冷エンジンは水冷化され、新車でキャブ車はほぼ絶滅危惧種(一部残っていますが)。インジェクション車が圧倒的に増えました。
「インジェクション車よりもキャブ車、水冷エンジンよりも空冷エンジンの方が鼓動を感じやすい」なんて声もよく耳にしますが、実際その通りだと思います(この話は機会があればまたいずれ)。

次の項目から並ぶバイクの画像は、クリックした先で動画付きのバイク販売一覧ページに移動します。エンジンを始動する動画がほとんどですのでぜひ聞いてみてください。それぞれの鼓動感の違いがよくわかると思います!

1~6気筒まで実際に聞いてみる🔊

単気筒(シングル)

最もシンプルで分かりやすいのが単気筒エンジンです。
構造がシンプルで小型軽量なエンジンを作りやすいことから、原付からモトクロスバイクまで幅広く使われています。
そんな単気筒エンジンのキャラクターは、太い低速トルクからフラットに吹き上がっていき、それほど高回転は回らないといったイメージです。
低回転のピックアップが良く、街中で乗るには相性の良いエンジンで、実用性の高いエンジンともいえます。
サウンドに関しては、大きな1つのピストンから放たれる野太いサウンドが体に響いてくる感じです。
排気音は「トコトコトコ」「ドッドッドッ」「ストトトト」といった感じでしょうか。

2気筒(ツイン)

同じ2気筒でも、シリンダーの配置によって全くキャラクターが異なるのが2気筒エンジンの面白いところです。
おおまかに分けると並列2気筒、V型2気筒、水平対向2気筒の3種類に分けられ、2つのピストンの燃焼タイミングの違いで音もフィーリングも全く違ったものになってきます。
燃焼タイミングが等間隔のエンジンは「ビィーン」と軽やかに回っていきますが、不等間隔のエンジンは「ドドドドッ」といった鼓動感を伴って回転を重ねていきます。
旧いキャブ車のハーレーは独特な三拍子サウンドが有名で、中には現行車を三拍子サウンドに近づけるチューニングなんかも存在するそうです。
乗り味や鼓動感を全面に押し出しているハーレーらしいVツインの文化と言えます。

並列2気筒

45度V型2気筒(Vツイン)

90度V型2気筒(Lツイン)

縦置きV型2気筒(縦置きVツイン)

V型2気筒の記事を読む

水平対向2気筒(ボクサーツイン・フラットツイン)

水平対向2気筒の記事を読む

3気筒(トリプル)

2気筒の鼓動感と4気筒のスムーズで高回転まで回る感じを足して2で割ったようなエンジンと形容されることが多い3気筒エンジンです。
2気筒ほどではないものの十分な低速トルクを発生し、高回転までまろやかに吹き上がっていきます。
高回転の伸びは4気筒の一歩手前で終わるようなフィーリングです。
トルクと伸びのバランスの良い3気筒エンジンですが、魅力はそれだけではありません。
回転によって音色が変わっていくのも3気筒ならではの特徴として挙げられます。
低回転では「ギュルギュル」といった音がしますが、回転が上がるにつれて澄んだ甲高いサウンドが発生します。

4気筒(マルチ)

並列4気筒はなんといっても甲高いサウンドが持ち味です。
バイクの並列4気筒エンジンは日本発祥のエンジンで、「欧州車に負けない高性能車を」とホンダが世界で最初に作ったのがCB750フォアでした。
高性能車を目指して作られたことからも分かるように、並列4気筒エンジンは高回転高出力であることが特徴です。
低回転のトルク感は薄いものの、緻密に回るエンジンは非常に扱いやすく、意外と街乗りにも使いやすいエンジンです。
その扱いやすさから、教習所の中型免許車両もホンダのCB400スーパーフォアが採用されていました(現在は違うようですが…)。
なお、4気筒エンジンは並列の他にV型も存在しており、こちらは並列4気筒に比べるとトルク感があって"鼓動感"もあり、2気筒寄りなエンジンと言われています。

並列4気筒(直列4気筒)

V型4気筒

6気筒

現行の量産バイクのエンジンで最多気筒エンジンが6気筒です。
車のV6エンジンで"シルキーシックス"と呼ばれるように、振動が少なく気持ちよく吹け上がります
現在新車で買える6気筒のバイクは、ホンダのゴールドウイングと、BMWのK1600シリーズのみです。
どちらもロングツーリングに適した旗艦モデルで、4気筒以上のなめらかさと上質で鋭い吹け上がりが特徴です。
どちらもそれなりの車重があるため、トルクが太いようには感じないかもしれないものの、巨大な車体をスルスルと推進していくエンジンには車に乗っているかのような頼もしさを感じるはずです。

並列6気筒

水平対向6気筒

まとめ

実際に動画で聞き比べて音の違いからそのバイクの"鼓動感"を感じることが出来たでしょうか?
ちなみにこれを書いている私は単気筒とそれ以外しか聞き分けることしか出来ません(苦笑)
バイクの楽しみ方として、「見て楽しむ」「乗って楽しむ」など、その他色々ありますが、バイクの鼓動感は「乗って楽しむ」ほうです。
バイクそのものを感じながら車体に乗っていると言葉では表せない素敵な気持ちになれますよね。
乗り物の中でバイクは特に振動が大きい乗り物です。
本来、振動が大きいというのは移動の手段としては不快なはず。
しかし、私たちはバイク乗り。その振動も私たちにとっては大きな魅力の一つであり、ある意味ではバイクに乗っている理由そのものなのかもしれません。
バイクに乗っていく上で一番大事にしていきたいことがバイクの鼓動感を楽しみながら乗ることかなと私は個人的に思っています。

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