【文:沼尾 宏明】
海外に比べ、電動バイクがあまりメジャーではない日本ですが、徐々にラインナップが増えてきました。しかしモーターで走る電動バイクは当然ながらエンジンを積んでいません。排気量がないため、どの免許乗れるのか理解しにくい一面があります。そこで、どういった区分になるのかまとめてみました。
エンジン車と違い、電動バイクには車検がない!
ヤマハのEビーノやBMWのCE04など国内にもメジャーなバイクメーカーの電動スクーターが発売中です。さらに近頃はイタリア製スポーツバイクのエネルジカ、オフロードのサーロン、スクーターXEAMといった海外産の電動バイクが増えてきました。
従来のバイクのようにエンジンがないため、排気量による区分が通用しません。そこで、電動バイクは電動モーターの「定格出力」で区分が決まります。定格出力は、最高出力と異なり、一定の条件で発揮する出力のこと。定格より最高出力の方が数値は高くなります。
まず自動車の種類を決める道路運送車両法では、区分が三つのみとなります。
0.6kW以下(馬力換算0.8ps以下):原付一種(50cc以下)
0.6kW超1.0kW以下(1.4ps以下):原付二種(50cc超125cc以下)
1.0kW超((1.4ps超):軽二輪(125cc超250cc以下)
つまり、いくら定格出力や最高出力が高くても、軽二輪クラス扱いになるため、車検がないのです。これはガソリンエンジンバイクとは違う大きな特色です。
定格20kW超は大型免許が必要だが、やはり車検はナシ
一方、運転免許を区分する道路交通法では、通常のエンジン搭載バイクと同様四つに分けられます。
0.6kW以下:原付免許
0.6kW超1.0kW以下:小型限定普通二輪免許
1.0kW超20kW以下(27.2ps以下):普通二輪免許
20kW超(27.2ps超):大型二輪免許
2019年12月に道交法が改正され、道路運送車両法にはなかった「定格出力20kW」という基準が設けられたのです。そのため、定格出力20kW超の電動バイクに乗るには大型二輪免許が必要ですが、車検はないという不思議な現象が起きています。
とはいえ、定格出力20kW超の電動バイクは、国内ではエネルジカのEgo、Eva Ribelle、EsseEsse9ぐらいしかありません。今後さらに車検なしでビッグバイク並みのパワーが味わえる電動バイクが増えてくるかもしれませんね。
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