
前回は電子制御の中でも代表的な機能について紹介しました。
今回は電子制御の肝となるセンサーやユニットを紹介していきます。
車輪速センサー
車輪速センサーとは前後のホイールに装着されたセンサーで、ホイールの回転速度を信号として検出する装置です。仕組みとしては、ホイールに取り付けられた円盤状のパルサーリングが回転することで車輪速センサーが回転速度を速度信号に変換しECUに情報を送ります。メーターに表示されるスピードや、多くの電子制御ではこの前後の車輪速センサーから送られてくる速度信号を基に電子制御の介入を行っています。
例えば、ABSやトラクションコントロールでは前後の車輪速センサーから送られてくる速度信号が設定値からズレることで、ECUがホイールのロックやスリップを判断して電子制御の介入を行います。
電子制御スロットル
電子制御スロットルとは、スロットルの操作によるスロットルバルブの動きをケーブルではなく電子制御によってモーターで開閉するシステムのことです。従来のバイクでは、スロットルとスロットルボディがスロットルケーブルを介して直接繋がれていたため、スロットルを開閉した分だけスロットルバルブも開閉していましたが、電子制御スロットルではスロットルとスロットルボディが機械的に繋がっていません。スロットルを操作すると、センサーがスロットルの開度を電気信号として検出し、ECUがエンジンの回転数、車速などの情報と併せて総合的に車両の状態を判断しエンジンの出力が最適な状態となる様にスロットルバルブや燃料を制御します。
例えば、モードセレクト機能のあるバイクでパワーを落としたモードに設定した際に、スロットルを大きく開けたとしてもECUが設定されたモードに併せて適切な開度に制御するため、通常時よりもスロットル開度に対してスロットルバルブはゆっくり開きパワーを抑えることができます。他にも適切なスロットルワークを補助することから燃費の向上やエンジンの効率化が図られます。
ちなみに、電子制御スロットルもメーカーによって呼び方が異なり、「スロットル・バイ・ワイヤ」「ライド・バイ・ワイヤ」と呼ばれています。
電子制御スロットルを装備しているバイクの一例
シフタースイッチ
シフタースイッチはシフトチェンジの動作を感知する装置です。現在では純正品も社外品もシフトチェンジによって発生するシフトロッドの圧力を検知してシフトアップとダウンを判断するタイプのスイッチが主流となっています。また、圧力も少し前までは押すか引くかのどちらかしか検知できませんでしたが、現在では1つのスイッチでどちらも検知できるようになり、クイックシフターとオートブリッパーの同時搭載が可能となりました。
クイックシフターはシフタースイッチがシフトアップを検知すると、スロットルが開いた状態でもエンジンの点火をカットすることでスロットルを戻した時と同じ状態を作りクラッチ操作無しでシフトアップを行います。オートブリッパーはシフタースイッチがシフトダウンを検知すると、スロットルを閉じた状態でも電子制御スロットルがスロットルバルブを開き燃料を噴射することで疑似的にブリッピングを行います。
クイックシフターを標準装備しているバイクの一例
慣性計測ユニット(IMU)
慣性計測ユニット(Inertial Measurement Unit、IMU)は、バイクの動きを計測するセンサーの集合体です。加速度計、ジャイロスコープなどの複数のセンサーから構成されており、バイクの傾き、加速度、角速度、方向などの情報を計測することができます。
IMUは前述の車輪速センサーや電子制御スロットルと組み合わさることで、ECUがより高い精度でバイクを制御することが可能となります。例えば、ABSも車輪速センサーからの情報だけでなく、IMUの情報が加わることで車体の傾き角度を考慮した制御を行えるようになります。これがコーナリングABSです。他にもトラクションコントロールも車速とスロットル開度だけの制御でなく、IMUからの車体情報が加わることでより細かい制御が可能となります。
電子制御搭載モデルの中でもIMUが搭載されいてるのは一部のフラッグシップモデルとなり、まさにハイテクバイクの象徴と言えるでしょう。元々はアプリリアやドゥカティと言った海外メーカーを中心に搭載されていましたが、2015年には国内メーカーで初めてヤマハがYZF-R1にIMUを採用しました。
慣性計測ユニット(IMU)を装備しているバイクの一例
まとめ
電子制御の肝となるセンサーやユニットについて紹介してきましたが、これらの凄いところはバイクの使用環境に耐えられるように作られていることです。車と違ってスペースが限られるためコンパクトになっているだけでなく、屋外に晒されているため雨風にも耐えられるように作られています。電子制御はとはまさに開発者たちの努力の結晶と言えますね。
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