その整備、違法かも!?「認証工場」で確実なメンテナンスを [ショップ編~まとめ]

【文:沼尾宏明】

<ユーザー編>では、バイクショップがバイクの分解整備を行うには認証工場の資格が必要であること。どの作業が分解整備にあたるのか。ユーザー自身が整備を行うのは違法か?など、バイクユーザーに向けて認証工場に関する基礎的な知識を解説した。

今回は「バイクショップと認証工場」という視点で解説していこう。

 

認証工場の資格を得ることは、事業所としてもメリットが大きい

資金や敷地面積などの問題があり、認証工場の資格を取得していないバイク店もある。しかし、やはり資格を得て営業するメリットは大きい。

まず当然と言えば当然だが、最大のポイントは法律の面だ。未認証工場が前述(ユーザー編に掲載)の分解整備を行うと、道路運送車両法第109条により「50万円以下の罰金」が科される場合がある。

またユーザーとのトラブルに発展するケースも。未認証工場のショップが分解整備を行った後、ユーザーが認証工場でないことに気付いてクレームを入れ、ショップが返金したという事例も実際にある。

そして整備に関わる最新情報を得られるのもポイントだ。認証工場になり、地域の整備振興会に所属することで、ニューモデルやパーツに関する研修会に参加でき、常に整備に必要な情報をアップデート可能。また、整備技術向上のための技術研修も実施される

バイクとともに、法律や規制も目まぐるしく変化している昨今。ショップにとって新しい知識や整備技術向上のために組織的な取り組みはますます必要になっている。

資格を得るにはハードルもあるが、条件は緩和された

認証工場になるには、一定以上の工場面積があり、2級以上の整備士、国が指定する工具や測定器などが条件となる。

「整備士免許のある人以外は整備できない」というイメージがあるが、実はそんなことはない。工場には分解整備するスタッフが2人以上必要だが、少なくとも1人が整備士資格を持っていれば、無資格の人が整備してもOK。分解整備を行う従業員の数が増えるごとに、整備士の数を増やす必要はあるが、全員が有資格者である必要はないのだ。

また、工場面積の条件が緩和され、認証工場への門戸が昔より広がった。なお、法人ではなく、個人でも条件を満たせば、問題なく認証を受けることが可能だ。

整備内容と整備士資格、認証の有無による関係をまとめた表
整備内容と整備士資格、認証の有無による関係をまとめた表

車両整備作業場や点検作業場の面積は間口3m以上、奥行3.5m以上などの基準がある。


ユーザーもショップも認証工場は重要な存在

ユーザーにとって、国から認可された認証工場は頼もしい存在。高度な技術を持つ整備士と充実した設備が揃い、合法的に分解整備を任せられる。その後、整備&点検による不具合があったとしても無償で整備をしてくれる「保証」までつくのだから安心だ。

特に車検では、事前に排ガスのテスターなどで点検も行うため、車検場で不合格になるといったタイムロスもない。命を預ける愛車の整備を任せるなら、やはり認証工場がお薦めだ。

そしてバイク店を営む事業所にとっても、認証工場なら合法的に分解整備を行うことができ、ユーザーとの信頼関係を築ける。さらに最新情報を得られ、質の高い整備を維持することも可能だ。
コストがかかり、事業所によっては工場面積を確保するのが難しい場合もあるだろうが、やはりメリットは計り知れない。

ユーザーにとっても、ショップにとっても、認証工場は安心と安全の証になるのだ。

整備内容と整備士資格、認証の有無による関係をまとめた表

東京都自動車整備振興会 二輪自動車支部の会員に話を伺った。写真右から同品川地区長の小川功さん(モトショップ功和)、モトウイング須賀の須賀譲之助さん、同練馬地区長の清野勇作さん(RED ZONE)。

整備内容と整備士資格、認証の有無による関係をまとめた表

取材は認証工場のモトウイング須賀で実施。スタッフ全員が国家整備資格を取得している。

取材協力店

認証工場ショップを探す ウェビックバイク選びでバイクを探す その他のモトガイドを読む

この記事にいいねする

おすすめの記事