【バイクツーリング 実行編】さぁ出発、道中で注意すべきポイントとは?魔の時間帯がある?

【文:沼尾 宏明】

前回記事までに計画、準備を行い、いよいよツーリングに出発する日がやってきた。道中ではどんなことに気を遣うべきか、解説していきましょう。事故が起きやすい時間帯をはじめ、休憩を取るタイミング、突然の雨、そして転倒してしまったらetc……様々なトピックをお届けします。

走り初めの5分と夕暮れが危険タイムと覚えておこう!

ベテランでも久々にバイクに乗った際は、走り始めに操作に気をとられて周囲の状況確認がおろそかになりがち。ビギナーならなおさらです。こんな時こそ事故に遭いやすいのです。特に冬場などの走り始めでタイヤが冷えている時は滑りやすい。最初の5分程度は体とバイクを慣らし運転するように走るといいでしょう。

また交通事故統計のデータを見ると、死亡事故は17時台が最も多く、18時台、19時台がこれに続きます。これは夕方で薄暗くなり、クルマや自転車、歩行者などの発見がお互いに遅れたり、距離や速度が分かりにくくなることが理由と言われています。

なお薄闇の時間帯(日の入りの前後1時間)における月別の統計だと7月以降に増加し、特に10月~12月にかけて最も多く発生しています。

時間帯別の死亡事故件数(2018~2022年 グラフは警察庁より)。17~19時に最も死亡事故が発生しています。夕暮れ時は疲れてくる時間帯ですが、最も注意したい時間帯でもあるのです。

「1時間サイクル」が休憩の基準、ただし自分なりのリズムも大事

適度な休憩はツーリングに必須です。では、どれぐらい走ったら何分の休憩を挟めばいいのでしょうか?

一般的に人間は1時間程度で集中が切れると言われています。そこで50分走ったら10分休む「1時間サイクル」が一つの基準となります

一方で休みすぎるとリズムが崩れる人がいるのも事実。頻繁にダラダラ休むと却って疲れるタイプの人がいます。こうした人は、2時間ごとにトイレ休憩程度の小休止をして、6時間目に30分程度の中休止を取るのも手です。

休憩のリズムは千差万別で人それぞれ。疲れてボーッと運転せず、気持ちよく走れるような休憩のやり方を見つけ出してください。ただし、疲れる前に休んだ方が疲労回復しやすいことを覚えておきましょう。

休憩時にぜひやっておきたい2つのポイントとは?

休憩の際にぜひやっておきたいのがマシンのチェック。出発前に愛車を点検したとしても、出先でバイクの状態をざっくり点検することが大事です。

いきなりエンジンオイルが減ったり、チェーンが伸びたりすることはまずないでしょうが、タイヤが釘などの異物を踏み抜いていないか、バイクに積んだ荷物が緩んでいないか。緩みやすいボルトも確認しておきましょう。さらにガソリンの残量もチェック。残りの航続距離と、給油ポイントを確認しておきます。

同時にライダーの方もメンテしておきましょう。走行中はほぼ動かさずに凝っている肩や首、足のストレッチをしておくのがオススメ。手首や指を伸ばし、首と肩を回す、前屈&後屈、ヒザの屈伸、アキレス腱伸ばしなどで全身をほぐしましょう。

特に見たいのがタイヤ。異物が刺さったり、挟まっていないか、空気圧が抜けていないかなどチェックしましょう。

パンク修理キット/防止剤を見る
ウェビック

出発前の雨と出先の雨では対応が異なる

突然の雨に出くわしたらどうするか?これはかなりの悩みどころ。まず出発時点で予報にない雨が降っていたら、天気の降水予報サイトを見て、ルート上に雨雲がないかを見て決めるといいでしょう。特に台風のような強風を伴う豪雨は危険なので、ツーリングを中止にする決断もアリです。

出先で多少の雨ならあまり問題はないと思いますが、これから向かう目的地が豪雨などの悪天候とわかった場合は、ルートを変更したり、プランを短縮するのも手。

困難に負けずに進むのも勇気ですが、時には撤退する勇気も必要です。

雨は降り出したタイミングが最も滑りやすい。路面のゴミや油分などが浮き出してくるためです。雨の際は全体的に丁寧に操作を行い、マンホールなど鉄板の上で急動作は避けた方が無難です。

もし転倒したらバイクより自分の身の安全を最優先しましょう!

あまり考えたくはありませんが、万一転倒した場合は自分の身の安全を第一に確保すべき。その次に後続車へ転倒を知らせる合図を出しましょう。発煙筒があればベストですが、ヘルメットや荷物など目立つものを転倒場所の手前に置いて注意喚起しましょう。

転んだ場合、すぐにバイクを起こそうとしがちですが、重いバイクは瞬時に起こせるとは限りませんし、転倒で体にケガを負っている場合も。その間に追突される危険性もあるので、注意喚起が先というわけです。

【まとめ】何かあっても「ネタになる」ぐらいの気持ちで楽しみましょう!

ツーリングに限らず、旅というものは「楽しむ気持ち」が何より大切だと筆者は考えます。いくら計画や準備がカンペキだったとしても、旅にアクシデントはつきものですし、プランどおりに進まないこともよくあります。こうした事態が発生したとしても、身体や命に関わる深刻なトラブルでない限り「ネタになる」ぐらいの大らかな気持ちでいたいものです。

トラブルに遭わないよう神経質になっていたら、旅を楽しむことは難しいです。余裕と寛容な気持ちこそツーリングを成功させる最大の秘訣かもしれません。では皆さん、よい旅を!


ウェビックバイク選びでバイクを探す この他のモトガイドを読む

この記事にいいねする

おすすめの記事