かなりコワイ!強風時のツーリングテクニックはあるの?

【文:沼尾 宏明】

クルマに比べ、風に弱いのがバイク。特に高速道路や橋の上は風の影響を受けやすく、ヒヤリとする場面も多いです。本来、強風時は走らない方がベターですが、それでも走る場合のテクニックをレクチャーしましょう!

「吹き流し」が水平になる、風速10m/s以上が強風の目安

ツーリング中に強風の中を走らなければならないケースがあります。特に高速道路や橋の上は風にあおられやすく、ハンドルを取られたり、車体が風に流されたりして、転ぶ危険性が高まります

中でも海の近くは強風になりやすいです。その上、高速道路や橋という遮る物が少ないシチュエーションが重なるととてもコワい。筆者の体験では強風時にバイクで東京湾アクアラインやレインボーブリッジ、ベイブリッジ、明石海峡大橋などを走るのはとてもヒヤヒヤします。これらの道路は、風に強いクルマでさえ、強風で全面通行止めになるケースが珍しくありません。

まず前提として、台風などの強風ではなるべくバイクで走らないのが原則。速度が高い方が風の影響を受けるので、特に高速道路は危険性がアップします。前述の海、山間部も風が強くなり、こうした場所を回避できるルートがあるなら、そちらを選ぶのも手です。

さて「強風」と一口に言っても、どこからが危険なのか。 気象庁では、高速道路を走る際の風の強さの度合いを次のように解説しています(※以下引用)。

風速10~15m/s

風速10~15m/sは、高速道路に設置されている吹き流しが水平になるくらいの強風です。
気象庁が強風注意報を出す基準(おおむね10m/s)に相当し、高速道路を走行していると横風に流されるような感覚に陥りやすくなります。

高速道路にある吹き流しが水平になることが「強風」の目安です。
※写真はイメージ


風速15~20m/s

風速15~20m/sは、人が風に向かって歩くのが困難になったり、傘を差せなくなったりするほどの強風です。
高速道路の走行では、風の影響を受けてハンドルを取られる感覚が強くなり、通常のスピードでは運転しにくくなります。

風速20m/s超え

風速20m/sを超えると、人が立っていられなくなるほどの強風となります。
車両の軽い軽自動車や二輪車、背の高いワンボックスやミニバンなどは、横風をまともに食らうと横転する危険性があります。(※引用ここまで)

これによると「風速10m/s」が強風の目安ということがわかります。ツーリングで高速道路を走り始めて、最初は大丈夫でも「風が強くなってきたな」と感じたら、“吹き流し”を見ることで大体の風速が把握できます。

風速を確認するには、天気アプリが便利。
ツーリングする際は風速10m/s以上に達していないかチェックしましょう。

比較的強いのはクルーザー系、フルカウルは横風を受けやすい

バイクの車種やカウルの有無によっても強風での走りやすさは異なります。

低重心で車体が重く、ホイールベースが長いバイクほど安定感がありますが、強風の時もこれは同様。主にクルーザー系がこれに該当します。ただし全長があるバイクは横風を受けやすく、重いバイクは一度風でフラついしまうと慣性や遠心力で動きが大きくなりがちです。

そしてフルカウルのバイクは前方向の風には強いものの、車体の面積が増えるため横風に弱いです。全高が高く、軽量なオフロード系もあまり横風に強いとはいえません。

前述したようにクルマよりバイクは風は受けやすいので、極端に風に強いバイクはないと覚えておきましょう。

特にフルカウルのスーパースポーツは横の面積が大きいため、風を受けやすい。また車体も軽量なのでフラついてしまいがちです。


それでも走る場合の6ポイント、速度を落とし、風に向けて荷重する

強風での走行は避けるべきですが、それでも走る場合についてのポイントを上げていきましょう。

  • 1.速度を落とす
  • 2.ニーグリップで車体をホールドする
  • 3.風に向けて重心移動する
  • 4.スロットルを閉じない
  • 5.風の向きで自分のポジションを微調整する
  • 6.周囲にクルマがいない状況をつくる

まず速度は安全な範囲で落としましょう。速度が高いほど強風を受けて車体が振られたり、ハンドルを取られたりした際に動きが大きくなり、危険性が増します。

強風の場合、高速道路でも最高速が制限される場合が多いです。ただし、これはクルマなら問題のない速度。バイクはさらに風の影響を受けやすいため、より遅めのペースで走りたいところです。

とはいえ、あまりに遅いと追突される恐れもあるので、状況を見て速度を調整しましょう。

そしてニーグリップが重要。しっかりと膝と足首で車体を挟み込むと、バイクが安定します。加えて、風の向きとは反対側に荷重(重心を移動)します。例えば、風が右側から吹けば右側に重心をかけてバイクをわずかに傾けます。

風が吹いてくる側に重心移動して風に対抗しながら、真っ直ぐ進むイメージです


風が不意に止むとバイクが倒れ込んでいくので、すぐ重心をセンターに戻せるよう気を張る必要があります(長時間だと結構疲れます)。

また、スロットルを完全に閉じたり、クラッチを切っていると風でフラつきやすくなります。速度は抑えながら、加速しない範囲でスロットルを少しでも開けていた方が車体は安定します

風でバイクが流されても大丈夫な状況をつくる

状況によって変わってきますが、左から強風が吹いて右側に車体が流されそうなら車線の左寄り、逆から風が吹く場合は車線のセンターをキープするのも手です。これはバイクが隣の車線や壁に振られても安全性を確保するのが狙いです。

また、なるべく周囲にクルマがいないポジションを走りましょう。特にトラックやバスなどの大型車は一般の乗用車より面積が大きいので、横風の影響を受けやすいです。大型車の近くを走っていると、横風を受けた大型車が車線をハミ出してくる可能性があります。

さらに大型車を追い抜いたり、追い越された際、急激に風がやんだり吹いたりします。
なるべく車間距離を取るのはもちろん、左右にも近づかないよう意識しましょう。

なお、駐車時はセンタースタンドの方が倒れにくいイメージですが、実はサイドスタンドの方が風に強いと言われています。さらにギヤを1速に入れておくと車体が動く可能性が減ります。


【まとめ】やっぱり無理は禁物、出先では風が収まるまで待つのも手

強風でも走る場合の方法をまとめてきましたが、極端な強風の中、無理に走り続けるのはやっぱり危険です。少しでも危険を感じたら、高速道路ではサービスエリアやパーキングエリアなど安全な場所に避難し、強風が収まるまで待機するのも方法です。くれぐれも安全第一でお願いします!


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