みなさんツーリングには行かれてますでしょうか?
ツーリング好きなわたくしですが、どこそこへ行ったという記録よりも、良い景色や感動的な風景に心がときめくような記憶に残る体験をしたいと常日頃から抱き、バイクに乗っている次第であります。
四国カルストもそのうちの一つ。バイクツーリングの目的地として、多くのライダーの注目を集める景勝地ですが、わたくし地蔵もその風景に憧れてバイクを走らせた一人です。
当時、1,000km近い旅路の相棒としてBMW K1600GTLをチョイスし、二泊三日を過ごした経験を交えつつ、所謂"ツアラー"と言われるバイクについて語っていきたいと思います。
ツアラーバイクとは
大前提として、ツアラーバイクをざっくりと定義すると、「大きな風防・快適装備が盛り込まれた、長距離を快適に移動するためのバイク」です。所説ありますが、総じて大柄で、存在感のあるフルカウルのバイクであることが特徴です。
しかしながら前傾の強いスポーツバイクとは異なり、ネイキッドバイクの様なおおらかなポジションと、贅を凝らした構造・装備が奢られている事が多く、重量を除けば非常に快適な特性を持たされているのがポイントと言えます。
筆者が所有していた「BMW K1600GTL」は、この手のバイクでは最大級の排気量を誇ります。バイクとして搭載しうる最高級の装備が奢られており、快適性において一切の妥協を排除したバイクに仕上がっていました。
BMW K1600GTL
類似のバイク
類似のバイクとして挙がるのは、ホンダ ゴールドウィングやヤマハ FJR1300ASといった、ホイールベースが長く、ステップ位置もどちらかといえばキツくない、サイドパニアを装備した、いかにも"ツアラーらしい"バイクです。
高速道路走行:明石海峡大橋
さて、ツーリング催行当時、地蔵は関西に住居を構えていたため、明石海峡大橋を渡っての四国旅行となりました。
排気量に余裕があり、風防もこの上なく凝ったものを搭載した大型ツアラーでの高速クルージングは、体力的・精神的にかなりの余裕があります。この特筆すべき「疲れにくさ」は遠出をするにあたって大きなアドバンテージと言えるでしょう。
また、強風の吹く明石海峡大橋などの大型橋梁上においても、その図体とウインドウプロテクションの効果故、安心感のある巡行が可能であり、車並みに快適な旅路を約束してくれます。
弊害として強いて挙げるならば、あまりに快適なので、ついつい長距離を走ってしまいがちな事でしょうか。旅程を決めずに気ままな旅へ出られる方は、あっという間にオイル交換周期を走破してしまうことでしょう(筆者はオンシーズン、毎月オイル交換を強いられておりました)。
四国山間の秘境路:四万十川名物・沈下橋
続きましての四国紀行、高速を降りて市街地を抜ければ、秘境への旅路が現れます。
おおらかなワインディングはツアラーでもストレスなく通過可能なのですが、ニッポンの道路は、山間に進めば進むほど路面状況の雲行きが怪しくなってきます。
狭路、道路の斜度、鋭角なカーブにはかなり気をつかっての走行となりました。K1600GTLはフルパニアの空荷状態で350kg程度の車重があり、筆者と荷物を合わせた重量を合算すると、500kg近くにも及ぶため、機敏な取り回しが困難です。
また、安定性を追及するためロングホイールベースを与えられており、お世辞にも小回りの利く車両とは言えません。小刻みな右へ左への切り返しについては、ライダーがバイクを積極的にコントロールする必要が発生し、風によるものとは違う疲労感に襲われる事もしばしば。
四万十川名物である沈下橋の走行も緊張の連続です。先述の重量故、変なところでバイクを倒してしまうと引き起こせなくなる可能性がある為、常に気を使いながらの秘境路となりました。
率直に申しまして、ツアラーバイクは極端な旋回性や走破性が求められる場面に適したバイクとは言えない特徴があります。
いよいよ、四国カルスト・天空の道へ
そして旅路の目的地、四国カルストとそこへ通じる天空の道へ到達します。
尾根に広がる、雨水がもたらした神秘の光景。標高1500mの圧巻の風景を眺めながら、しっかりバイクをリーンさせられるカーブの連続。正に至高のツーリングロードの名に恥じない道路でした。
実はここにたどり着くまでが大変だったりするのですが、筆者の様にあちこち寄り道せず、道さえきちんと選べば、ツアラーはライダーを非常に疲労感が少ない状態で目的地まで連れて行ってくれます。
実車で移動し、実車で現地を楽しみ、そして実車で帰ってくる。ツアラーバイクはこの行動範囲をぐっと広げてくれますので、より遠くの目的地を楽しむ為には最適な選択肢と言えるでしょう。
ツアラーバイク総論
この手のバイクに乗っていると、必ずと言っていいほど「もうそれ車でよくない?」という言葉を耳にします。
クルーズコントロール、自動で昇降する風防、グリップヒーター、シートヒーター、オーディオ、電子制御サスペンション等々、至れり尽くせりの装備を満載したこのジャンルのバイクは、並みの自動車より車体が高額であるケースもしばしばです。
しかしながら、彼らに跨って赴く遥かな旅路には、他の手段では得難い感動があります。そして、こんなにも排気量が大きいのに、高速道路の利用料金は軽自動車と同等。1,649ccも排気量があるのに、軽自動車と同じ料金で通過できるのは何だか得をした気するのは筆者だけでしょうか。
今までロングツーリングだと思っていたものが散歩に感じてしまうような、旅のスケール感をより大きくしてくれる頼もしい相棒、ツアラーバイク。彼らと一緒に、遥かな旅へ貴方も飛び出してみませんか。
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