バイクのメンテナンスサイクルはどれが正解?【教えて!バイクの暗黙のルールQ&A その4】

【文:沼尾 宏明】

バイクの基本的な点検項目であるエンジンオイルやエアフィルター、チェーンといった部品の定期交換はいつ判断するのでしょうか?走行距離なのか、年月なのか?さらに自分でやってもいいのか、お店に任せた方がいいのか……?お悩みを解決していきましょう!

バイクのメンテナンス時期はどうやって判断するの?

バイクを走行させていると、劣化が進む部品があります。外見からは異常が判断できず、「まだ使えるのでは?」と考えてしまいがちですが、定期的な交換が必要です。

今回はビギナーでもわかりやすく、自分でもできる項目に絞って、エンジンオイル、オイルフィルター、エアフィルター、チェーン調整などのメンテナンス時期について解説します。

まず基本中の基本として、交換の目安は「走行距離」なのか、「年月」なのか? これはどちらもあり、「早く到達した方」が交換時期になります。例えば「3000kmごと」または「1年ごと」などと決められていた場合、使用から1か月だったとしても3000kmに到達したら交換になります。

メンテ時期を一挙紹介、頻度が高いのはやはりエンジンオイル

では各項目の具体的なメンテナンス時期を見ていきましょう。メーカーによって若干の違いはありますが、ほとんどは同様。今回はホンダが設定している交換時期をベースに解説します。

いずれも交換時期が来たら、唐突に性能がダウンするわけではなく、徐々に劣化していきます。なので時期は多少前後しても大丈夫でしょう。もちろん早いに越したことはありません。


エンジンオイル

種別 交換時期
A 空冷車
※ドライサンプ車及びオイルクーラー付き空冷車を除く
初回1000kmまたは1か月
以後3000kmまたは1年
B 250ccまでの水冷車
ドライサンプ車及びオイルクーラー付き空冷車
初回1000kmまたは1か月
以後6000kmまたは1年
C 251cc以上の水冷車 初回1000kmまたは1か月
以後1万kmまたは1年

250cc以下と空冷モデルで差がありますが、いずれも新車では初回1000kmまたは1か月で交換が必要。その後はサイクルが長くなります。

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オイルフィルター

種別 交換時期
A カートリッジタイプ 初回1000kmまたは1か月
以後2万km
B カートリッジタイプを除く 初回1万3000km
以後1万2000km

オイルフィルターは、エンジンオイルの汚れや不純物をろ過するパーツ。
エンジン内部に収める内蔵式が昔は一般的でしたが、近頃はエンジン外部に取り付けるカートリッジ式が増えており、整備しやすくなっています。
なお、交換時期内だったとしてもオイル交換を2~3回したらフィルターを1回交換します。

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エアフィルター (ビスカス式&乾式)

種別 交換時期
A 99cc以下 1万km
B 100cc以上 250cc以下 2万km
C 251cc以上 4万km

エンジン内部に送り込まれる空気に混じったゴミやホコリを除去してくれるエアフィルター。
ビスカス式はオイルを染み込ませたろ紙を用いたタイプで、乾式は乾いた不織布などを使ったタイプです。
前者はエレメントを交換。後者はエアブローなどでホコリを飛ばして使うことができますが、洗浄ができないため、汚れたら交換します。
競技車両やカスタムで多い「湿式」エアフィルターもあります。スポンジにオイルを塗布しており、何度も繰り返し使うことが可能です。ただし専用オイルを塗ったり乾かしたりする手間があります。 メンテナンスサイクルは3~6か月、または走行距離 3000~5000km 程度になります。

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点火プラグ

種別 交換時期
A 白金及びイリジウムプラグのみ 4万km

エンジンの混合気に点火させる役割を持つスパークプラグ。貴金属の白金やイリジウムを用いたプラグは、非常に長寿命です。ただし一般的なプラグは5000km程度ごとの交換が推奨されています。

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約500kmごと!チェーンはさらに頻繁なメンテが必要

中でも点検サイクルが短く、重要なパーツがドライブチェーンです。バイクチェーンメーカーのDIDによると、メンテナンスの目安は長くて約500km走行ごと。汚れが付着していないかチェックして注油し、2回に1回はクリーニング後の注油が推奨されています。ただし雨天走行後はチェーンオイルが流れ出てしまうため、注油などのメンテが必須です。

そして1,000~2,000km走行ごとにチェーンのたるみ量が適正値か点検(適正値は車両によって異なります)。超えている場合は張り調整を行います。

交換時期はノンシールチェーンで5,000km、シールチェーンで1万5,000~2万km未満とされています。

一部ケースに収まっている車種もありますが、多くはむき出しで、雨や砂、ホコリの影響を受けやすいのがチェーン。緩んだ状態だと走りに大きく影響します。

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エンジンオイルは安いものを頻繁に交換した方がいい?


昔から論争されてきたのが「安いオイルを短い距離で頻繁に交換するのと、高いオイルを長めに使うのは、どっちがいいか?」というテーマ。これは、ユーザーの乗り方や使用頻度による所が大きいです。

そもそもオイルの値段はピンキリです。メーカー指定グレードを選ぶのはもちろんですが、1Lで1,000円以下のオイルもあれば、4,000円以上のオイルもあります。高いオイルは、精製時に不純物が取り除かれた化学合成油で、潤滑性能が高く、添加剤によって劣化も少ないです。

一方、安いのが鉱物油。酸化が進みやすく、必然的に交換サイクルが短くなります。

理想なのは、高いエンジンオイルを定期交換時期より前に交換することですが、オカネがかかります。そこで、年間の走行距離が少ない人は、耐久性が高い高級エンジンオイルを指定交換時期に合わせて交換するのが向いています。また、スポーツ走行をする人はやはり高性能=高級なオイルがオススメです。

一方、年間の走行距離が多く、あまりオカネをかけたくないなら、その車両に対応した適度な価格のオイルを半年程度で早めに交換した方がいいでしょう。

ただし、この場合は自分でやることが前提。ショップで頻繁に交換してもらった場合、オイル代が安かったとしても、工賃に加え、交換の時間がかかります。さらにショップまでの移動時間や手間も加味すると、高いオイルを自分で交換した場合と様々なコストがさほど変わらないこともあります。

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そもそもメンテナンスは自分でやっても大丈夫?

上記の内容と重なりますが、簡単なメンテナンスは自分でやるといいでしょう。上に挙げたエンジンオイルとフィルター、エアフィルター、プラグなどの交換、チェーンの清掃&注油&調整あたりはビギナーでもやりやすいはずです。

バイクのメカに対して理解度が高まりますし、何より自分のバイクへの愛着が深まります。

とはいえ、近頃はメンテナンスを全てショップにおまかせする人が多いのが実状です。メンテをするにしても作業スペースが必要なので、マンションなどの共同住宅ではなかなか作業できません。さらに工具も必要です。

加えて、ネイキッドならまだ容易ですが、スーパースポーツのようなフルカウル車は、カウルを外す手間があるので、作業のハードルが高くなります。こうしたハードルを乗り越えられる人や、オカネを節約したい人は、自分でやることをオススメしたいです。

ただし、自分で整備する際は説明書をよく読みましょう。特にチェーン調整は締め付けトルクなどをしっかり守ることです。命を乗せて走るわけですから、少しでも不安な人はショップに任せましょう。

設備、技術の面で、もちろんショップに依頼した方が安心安全。気力や工具などは必要ですが、自分でやるのも楽しいです。


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