【文:沼尾 宏明】
カワサキのラインナップでニンジャと並ぶビッグブランドが「Z」。どこか硬派でハードルが高いイメージがあるかもしれません。でも、250や400版のZがあり、意外と取っつきやすい一面もあるんです。今回は丸眼ヘッドライトではない、トガッた外観のストリートファイター系Zの魅力を解説していきます!
目次
カワサキのZは丸眼だけじゃない、ストファイもあるんです
「カワサキのZ」と聞くと、ワルっぽいビッグバイクを連想する人が多いようです。1971年に誕生した名車Z1をはじめ、近頃ではそのイメージを引き継いだZ900RSが大人気。こうした「Z」は、丸1眼ヘッドライトや丸みを帯びたタンクなどのクラシックスタイルが特徴です。
Z900RS
4年連続ベストセラーのZ900RSは、丸眼ヘッドライトや流線的な外装で普遍的なバイクらしいスタイルを演出。他にもZ650RSが伝統的なZフォルムを踏襲しています。
一方で、異型ヘッドライトやエッジの立った外装を採用した「Z」も存在します。現行モデルではZ H2を筆頭に、Z900、Z650、Z400、Z250がこれに該当。いわゆる「ストリートファイター」で、より現代らしいエッジの立ったデザインと、走りを重視したネイキッドとなります。
Z H2 SE
Z H2 SEはストリートファイター系Zのフラッグシップ。
H2SX譲りのスーパーチャージド998cc水冷直4を搭載し、驚きの200ps+αをマークします。2023年型の国内モデルは、電子制御サスを採用したSEグレードのみ設定されています。外観も強烈!価格は225万5000円。
Z900
Z900は、Z800の後継車として2017年にデビュー。
エンジンは新設計の水冷並列4気筒DOHC4バルブ948ccで125ps/9500rpmを発生し、Z900RSのベース車でもあります。価格は116万6000円で、Z900RSより約26万円安いプライスも魅力的。
Z650
Z650は、ニンジャ650やZ650RSの兄弟車で、並列2気を筒搭載。軽量コンパクトと適度なパワーを両立しており、扱いやすさが魅力です。4.3インチのカラーTFT液晶を採用し、2023年型でトラクションコントロールも獲得しました。価格は95万7000円。
2003年デビューの水冷Z1000が現代版Zの源流!
そもそもストリートファイター系の現代版Zは、2003年に生まれたZ1000が始祖。往年の空冷Z1000に対し、水冷エンジンを搭載して過去のZを現代的にアレンジしたモデルでした。
Z1000
2003年にデビューした新時代のZ1000。
ビキニカウルにトガッた外装、4本出しマフラーなど過激デザインが特徴です。600クラス並に軽い車体に旧ZX-9Rベースの953ccエンジンを搭載し、俊敏な運動性能も自慢でした。
そして2014年型Z1000から「SUGOMI」(凄み)をテーマにしたデザインを採用。これは、馬力などの数値ではなく、圧倒的な迫力でライダーの心を昂ぶらせるものを表現しています。
2014年型以降のZ1000は、低く構え、獲物を狙う猛獣の姿をイメージ。
排ガス規制に対応せず、2022年型で生産終了に。
このSUGOMIが現行のストリートファイター系Zに共通するデザインコンセプトとなっています。
普通二輪免許で乗れる250と400をラインナップ
このようにハードなイメージのあるZシリーズですが、普通二輪免許で乗れるZ250とZ400もラインナップされています。これはクラシック系のZ-RSシリーズにはない特徴です。
Z250は2013年型から導入。ニンジャ250のネイキッド版として、当時のZ800風2眼ヘッドライトや足着きに配慮したシート形状、やや幅広でアップライトなハンドルを採用しました。
そして2019年型で新型ニンジャ250をベースにフルチェンジを敢行。6kgもの軽量化を果たした車体は、優れた安定性と軽快で自然なハンドリングを実現し、イージーな取り回しを実現しています。もちろんZシリーズ共通の「Sugomi」デザインも注入されました。
Z250
2023年型Z250。低く構えたLEDヘッドライトと跳ね上がったテールは、シリーズ共通のフォルムです。フルカウルのニンジャ250と比べ、2kg軽く、価格は約3万円安い63万8000円。
兄弟車のZ400は2019年型でデビュー。Z250とほぼ共通の車体に、48psを発生する398cc並列2気筒を搭載しています。車重はZ250よりわずか2kg増の166kgながら、最高出力は11psアップとなり、バツグンの運動性能を見せてくれます。
Z400
2023年型Z400。ニンジャ400をベースに、Z250と同様のSugomiデザインを踏襲しています。2023年型で新排出ガス規制に適合。価格は70万4000円で、ニンジャ400より5万5000円安価です。
走りはニンジャより一段と軽快で扱いやすい!
気になるのはベース車であるニンジャとの違いでしょう。フルカウルのニンジャに対し、ネイキッドとすることで車重もスタイルもより軽快です。
また、ニンジャはハンドルが低めで前輪に荷重がかかりやすく、コーナリングでより安定する設計ですが、Zはニンジャよりハンドルがアップタイプ。より自然で気負わない走りが可能です。気軽にライディングでき、ロングランでの腕や上体がラク。さらにハンドル入力がしやすく、存分に振り回すことができます。
250と400に関しては、バランスのよさが光る250に対し、400はかなりスポーティ。250と同等の軽い車重に、48psのハイパワーを融合するのだから当然かもしれませんが、このクラスでの運動性能はピカイチです。
防風性能はニンジャが上ですが、Zはライディングポジションがラク。軽快さはZが一枚上手です。
ニンジャと異なり、バーハンドルを採用。ややフラット気味で幅広のハンドル形状は、ニンジャより適度に起きています。幅が広いため、特に低速域で取り回しやすい。※写真はZ250
Z250と400の前後サスはニンジャと同様の構成ながら、Zの特性に合わせ、リヤサスのリンク比、特性を最適化。上質なライディングフィールに貢献しています。
[まとめ]クラシック系のZとは違う魅力がアリ!
ストリートファイター系Zの魅力は、やはり最新スタイルと走り。落ち着いたクラシック系のZに対し、刺激的な外観が好みの人にオススメです。また普通二輪免許でも乗れる250~400ccクラスにラインナップが展開されているのもありがたい。クラシック系のZとは一味違う魅力があるのです。
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